3
ずらりと並んだ新鮮なネタを口の中に放り込む。寿司を前に固まっている男二人を見ながら、茶を啜った。
昼休憩ついでに、困っていた二人の話を聞くことにした。あれほど必死に探していたのだ、何か力になれればと思った。
紫の髪の男は藤姫匡、緑の髪の男は杜本奏と言うらしい。
「とりあえず食えよ」
二つ目の寿司を掴みながら天音は二人に促した。藤姫と杜本は戸惑いながら寿司を口に運ぶ。
ビビらせてしまってなんだか申し訳ないな、と思う。昼間で個室で誰も聞かれないような場所が寿司屋くらいしかなかったのだ。許せ。
「高瀬彰人。顔がいいスタントマンだろ。ラビットライダーやってた」
三つ目の寿司を頬張りながら天音は二人に話しかける。二人の男は顔を見合わせて、こちらに向き直りコクリと頷いた。
ラビットライダー。日曜日の朝に放送している特撮ヒーローだ。俳優は変われど昔からスタントマンは変わらなかったが、最近顔がいい若いスタントマンが少しだけ務めていると話題になっていた。
スタントマンの顔なんて普通誰も気にしちゃいないが、SNSの撮影風景で話題になっていた。朝のニュースでも取り上げられていた程だ。
癖のない顔と、爽やかな笑顔。そして燃えるような赤い髪が一目見ただけでも強く残っている。
「行方不明、なのか?」
「いえ、連絡は取れてるんですけど」
「戻ってこないんです」
もぞもぞと歯切れの悪い回答が返ってくる。まだこちらを信用していないのか、それとも何と言っていいのか分からないのか。二人は何度も寿司と互いの顔を交互に見ていた。
連絡は取れるけど、戻ってこない。そうするとはじめに思い当たるのは新興宗教か。まあそれに類似したものか。
「なんか変な宗教にハマっちゃってみたいな? そういう感じだと」
「ち、違います!」
「宗教は宗教なんですけど、違うくて!」
二人は天音の発言に否定の言葉を被せた。
ぽかんとする天音に、二人は決意したように頷く。
「刑事さん」
「白い花の咲く教会って知ってますか」




