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 「紙書類ってなんでなくならないんだろうな」

机の上に積まれた山を見ながら、天音香子(あまねきょうこ)はため息を吐いた。

 「姐さんみたいな人が一目見てわかるようにっすよ」

隣の机から、鮫島キヨ(さめじまきよ)がそれに答える。電子書類になったらこれ以上に溜め込むでしょ、と言われて天音は閉口した。図星だ。目に見えないとやらない。

比較的平和な地域の捜査一課の仕事は、書類整理が多い。事件調査の間に差し込まれる書類書類書類の山。見るだけでげんなりしてしまう。

まあ、事件が多ければ多いほど書類は増えるんだけれども。これで済んでるだけ有り難いのかもしれない。

 「手が止まってるっすよ」

 「ニコチン切れたからかも」

ちょっと休憩、と天音は立ち上がる。腰までかかる長い髪が、それに合わせて動く。デスクの煙草と携帯だけをひっつかんで、伸びをした。

伸びに合わせて上下する豊満な胸を眺めながら、鮫島は声を掛ける。

 「喫煙室、今月から電子専用になりましたからね」

 「え 聞いてないんだけど」

 「姐さんの耳が聞いてなかっただけっすね」

吸うなら外っすよ、とひらひらと手を振る鮫島に舌打ちをして、天音は警察署の外へと向かった。


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