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さすがに1000年は飽きたから。  作者: ボヌ無音
002 第二章 魔女、冒険者と貰い物。

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冒険者登録。1

 ギルドは頻繁に利用されるせいか、街の中心部に建てられていた。

 周囲には武器を持った者たちが多く、一般人よりも冒険者の方が行き交っている。

 先程の少女のこともあるし、力を持たない一般人はあまり近寄らないのだろう。

 来るとしても、依頼のあるものだけだ。


 ギルドの扉をくぐり――当たり前のようにブラムウェルがドアを開けた――私はギルドへと入った。

 ガヤガヤと人がごった返し、いくつかのカウンターが見える。

 待合室も兼ねているのか、長椅子と、テーブルが幾つかあった。


 ――おお、やっと異世界に来た実感がある。

 家の中では見れない景色だった。新鮮で、少年のような心がわくわくする。


 私がきょろきょろと中を見渡していると、ヒソヒソ話が耳に届く。


「アレって……」

「ブラムウェルか……?」

「ブラムウェル・レイナー!? なんでここに!?」


 一気に中がざわつき始めた。

 ここでもブラムウェル、ブラムウェル。看板と一緒に歩いている気分だ。


「お前って有名なんだな、すごい」

「はい! 一応名は通っております!」


 私に褒められて嬉しいのか、ニコニコと笑顔を見せている。

 弟子だと思うとなんだか可愛らしく見えてくる。


 親戚や友人の小さい男の子を預かって世話しているような感じだ。それか、犬や猫。

 さすがに撫ではしないが、そんなような類の感情が湧き出る。

 おー、よしよし。可愛いな。オヤツでもやろう。それともオモチャで遊ぶか?――そんな気持ち。

 年齢も900歳以上は離れているし、こうして見ていると人間というものは可愛い生き物なのかもしれないな。


 犬――じゃなかった。ブラムウェルを連れ、受付カウンターへと向かう。

 複数のカウンターがあるが、入会、依頼相談、依頼受領、などなど全ての業務を、どのカウンターでも引き受けてくれるそうだ。

 私は適当にひとつのカウンターを選び、近づいた。


「い、いらっしゃいませ……」


 妙に緊張している女性スタッフが一人。

 笑顔を作っているようだが、明らかに固まっている。

 なるほど、原因はこの有名人だな。

 となると有名なのも善し悪しだ。


「こちらの方の、ギルド登録証を用意して欲しいのです」

「かしこまりました」


 いそいそと取り出したのは、紙とペン。

 よくある入会用の紙と、少し派手なペンだ。

 派手と言っても装飾がこっている高そうなペンで、こういう荒くれ者も多いカウンターに置くには珍しいと思えた。


「こちらにご記入ください」

「分かった」


 ペンを受け取り、さて書こう――と思った矢先。

 パン、と破裂音がして、握っていたペンが壊れた。


 強く握った覚えも、人よりも力が強い覚えもない。

 もちろん人間時代に比べると力は強いが、ペンやその他雑貨を破壊するほどの力は日常生活で使わない。

 屋敷の食器だって壊したことないのに。


「壊れたぞ」

「え……!?」

「もっと強いペンを持ってきてください」

「お、お待ちください……!」


 スタッフはバタバタと忙しそうに、カウンターの奥へと消えた。

 一体何事なんだ。


「何?」

「ギルドの登録用紙とペンは特殊仕様でして、書いている最中に魔力の測定が出来る優れものなのです」

「へー……、ん? なら私は書けない」

「え? あっ」


 魔力の測定が何を意味しているのか知らないが、単純に魔力量という意味ならば書けない。使えない。

 人間程度が作る測定器に収まる器ではない。

 魔力の上限がないのだから。


 スタッフは思ったよりも早く戻ってきた。

 ぜぇはぁと息を切らし、裏から新しい備品を持ってやって来た。

 デザインは先程のものと同じだったが、本当に上位アイテムなのだろうか。


 気配も完全に同じだ。そもそも人間が作るレベルのアイテムは、私にとってあまり大差がないように思える。

 下級か超級かくらいの差ならば分かるのだが、同じ等級内での差だとどうにも分かりづらい。


「ど、どうぞ! 我がギルドで最も強いペンです!」

「えー……」

「ふふふっ、とりあえず持ってみませんか、リサ様」

「お前、楽しんでるだろ」


 まぁそう言いつつ、渡されたペンを持つ私も私なのだ。

 当たり前だが、ペンは私が持った瞬間、再びパンッと破裂した。


「へ……あ……うそ……」

「ほらな」


 スタッフはカウンターにへたり込み、ガクガクと震えている。

 その怯え方は尋常ではない。私を化物のように見ているというよりかは、何かの責任に怯えているように見えた。


「ああ、そういえば、このペンの価値は国家予算に……」

「先に言え、馬鹿者!」

「冗談です。非常に高価なのは事実ですけど。私の方から補填しますよ」

「あっ、ありがどうございまずぅ〜……」


 なるほど。一介の受付スタッフではどうにもならない金額の、とんでもない備品だったらしい。

 となると弁償してくれるのは、借りができたということではないだろうか。

 いくらになるのか知らないが、いずれ返すべきだろう。

 あと普通に、こいつに借りを作るのはなんか怖い気がする。


「後で返す」

「何を! リサ様にでしたら、全財産投げ捨て、臓物ですら売る覚悟が御座います」

「この弟子、怖いな〜」

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