表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

第12話 決戦は日曜日!

読み終わったら評価ポイントをポチっていただけると励みになります。

 気軽にポチっていただけたらと。

「ついにこの()()たわね」


 目覚(めざ)めた直後(ちょくご)(おお)きく()びをした(あと)(かがみ)(まえ)気合(きあ)いを()れる。


 決戦(けっせん)日曜日(にちようび)

 中間(ちゅうかん)テスト前日(ぜんじつ)


 名目(めいもく)(じょう)はテスト勉強(べんきょう)仕上(しあ)げだが、本当(ほんとう)目的(もくてき)武藤(むとう)清彦(きよひこ)()とすこと。

 雨鏡(あまかがみ)(のろ)解除(かいじょ)達成(たっせい)のためにも、しくじるわけにはいかないのだ。


「スキンケアもメイクも念入(ねんい)りに……っと」


 (すこ)しでも自分(じぶん)魅力(みりょく)(たか)めるため、おしゃれは絶対(ぜったい)()()かない。

 1パーセントでも武藤(むとう)(こころ)(うご)可能性(かのうせい)()げれるのなら、徹底(てってい)するべきだ。


 雨鏡(あまかがみ)(うつ)った(わたし)姿(すがた)は、中学(ちゅうがく)時代(じだい)よりも(ひど)()きこもりニート。

 あの(ころ)自分(じぶん)……クラスの(よう)キャ男子(だんし)()()っただけで「キモい」と()われていた自分(じぶん)……あれ以下(いか)生活(せいかつ)になんて絶対(ぜったい)になりたくない。


 (いま)(わたし)女王(じょおう)

 クラスカーストの頂点(ちょうてん)なのだから。

 あんな(みじ)めな(おも)いは、もう二度(にど)と……


()ってきまーす」


 この(まえ)(とき)とは(ちが)うギャルギャルしい装備(カッコ)(わたし)出発(しゅっぱつ)する。

 (えき)電車(でんしゃ)()(まえ)数名(すうめい)からナンパされたが華麗(かれい)にスルー。


 事前(じぜん)(おし)えられた住所(じゅうしょ)(もと)に、(わたし)武藤(むとう)(いえ)到着(とうちゃく)した。


「ここね……」


 (むね)()()て、(かる)深呼吸(しんこきゅう)。。

 緊張(きんちょう)()(はら)い、いざ決戦(けっせん)()へ!


 ――ピンポーン。


 お、()しちゃった!

 休日(きゅうじつ)(おとこ)()(いえ)になんて()たことがない、元陰(もといん)キャメガネ文学(ぶんがく)少女(しょうじょ)(わたし)心臓(しんぞう)は、深呼吸(しんこきゅう)(むな)しく(しん)じられないほど()()がった。


『はーい、(いま)いきまーす』


 トトトト――という早足(はやあし)(おと)

 (こころ)準備(じゅんび)出来(でき)(まえ)に、武藤(むとう)()玄関(げんかん)(ひら)かれた。


「お、いらっしゃい。(はや)かったね」

「ま、まあね! ()()わせ時間(じかん)(まえ)()るのは常識(じょうしき)でしょ?」


「はは、(たし)かに……宿木(やどりぎ)さん、その恰好(かっこう)

「わ、(わたし)恰好(かっこう)がどうかした?」


「この(まえ)とは(ちが)(かん)じだね。でも、(いま)格好(かっこう)(ほう)宿木(やどりぎ)さんのイメージに()ってるかも。うん、()ってる」


 やった!

 ()ってる(いただ)きました!

 (すこ)しは武藤(むとう)(こころ)()()めたかな?


(おれ)部屋(へや)二階(にかい)にあるから(さき)()ってて。お菓子(おかし)準備(じゅんび)したらすぐ()くから」

了解(りょうかい)


 それじゃ、お邪魔(じゃま)しまーす……。

 同級生(どうきゅうせい)(おとこ)()(いえ)()がるのってちょっと緊張(きんちょう)する。


「あ、お(ねえ)ちゃん。いらっしゃい」


 居間(いま)(とお)()ぎる(さい)(くつろ)いでいた(いもうと)ちゃんに()つかってしまった。

 一緒(いっしょ)にいた御両親(ごりょうしん)(かる)会釈(えしゃく)して相手(あいて)をする。


「お(ねえ)ちゃん(あそ)びに()たの? 今日(きょう)(なに)して(あそ)ぶの?」

「ごめんねー、お(ねえ)ちゃん今日(きょう)(あそ)びに()たんじゃないんだ。お(にい)ちゃんに勉強(べんきょう)(おし)えてもらいに()たの」


「そうなの? 今日(きょう)(あそ)んでくれないの?」

「うっ……」


 (いもうと)ちゃんが(かな)しそうな()()つめてくる。

 (じつ)(わたし)()ども大好(だいす)きなのよね。


 同年代(どうねんだい)(ちが)って()()差別(さべつ)とかしないし。

 純粋(じゅんすい)(した)ってくれるから相手(あいて)してて(たの)しいし。


「じゃ、じゃあお勉強(べんきょう)()わったら(あそ)んであげる」

「ホント?」


「うん、ホント。(いま)のうちに(なに)(あそ)ぶか(かんが)えておいてね」

「うん!」


 ()どもの純粋(じゅんすい)気持(きも)ちは裏切(うらぎ)れなかったよ……。

 でもまあ、御両親(ごりょうしん)()印象(いんしょう)(あた)えれたと(おも)うし結果(けっか)オーライかな?


 (あらた)めて武藤(むとう)部屋(へや)目指(めざ)階段(かいだん)()がる。


「これが、武藤(むとう)部屋(へや)か……」


 (なん)()うか、とても(かれ)らしい部屋(へや)だった。

 本棚(ほんだな)(つくえ)、ゲーム()、PCがキチっとした配置(はいち)()かれており、ゴミ(ひと)つない綺麗(きれい)部屋(へや)だ。


「へえ、武藤(むとう)こんなの()むんだ」


 (わたし)()にしたのは、本棚(ほんだな)()さった一冊(いっさつ)(ほん)

 (わたし)()んでいる少女漫画(しょうじょまんが)だった。


 何気(なにげ)なくその(ほん)()()ばす。


「あっ」


 ()(すべ)ってうっかり(ほん)()としてしまった。

 (ほん)(ころ)がってベッドの隙間(すきま)(はい)ってしまう。


 (わたし)()をかがめて隙間(すきま)(なか)()を――、


「そんな(ところ)(さが)しても(なに)もないよ?」

「うわぁぁぁぁっ!?」


(おれ)()っておくけど叡智(えいち)(ほん)()ってないぜ? そういうの(さが)しても無駄(むだ)だよ?」

「ち、(ちが)うから! (ほん)()()ったらうっかり()として(なか)(はい)っちゃったの!」

「あー、なるほど」


 本棚(ほんだな)()納得(なっとく)してくれたようだ。


「ごめんね宿木(やどぎ)さん。てっきり叡智(えいち)(ほん)(さが)しているものかと。こういう状況(じょうきょう)定番(ていばん)らしいし」

「ああいうのはあくまで二次元(にじげん)だけでしょ。それに、恋人(こいびと)一歩手前(いっぽてまえ)男女(だんじょ)じゃない(かぎ)りそういうのはしないと(おも)う」


「そっか、そういうものか」


 武藤(むとう)はそう()って()ってきたお茶(おちゃ)お菓子(おかし)をテーブルに()いた。


「さて、それじゃあ(はじ)めようか」

()って。その(まえ)にちょっと()い?」


「どうしたの?」

「グラスの(かず)(おお)くない?」


 この部屋(へや)()るのは(わたし)武藤(むとう)

 だけど(かれ)()ってきたグラスの(かず)(みっ)つ。

 (かず)()わない。


(いもうと)ちゃんの勉強(べんきょう)()るの? やっぱ学年(がくねん)一位(いちい)だと余裕(よゆう)あるのね」

「いや、(ちが)うけど?」


 (いもうと)(いもうと)勉強(べんきょう)するから、(いま)まで(おし)えたことはないとのこと。


「じゃあ(なん)(みっ)つ?」

「それは――」


 ――ピンポーン。


「お、きたきた」


 (いえ)のチャイムが()って武藤(むとう)()()った。

 ()のせいか、(なん)だか(いや)予感(よかん)がする。


「おまたせ、じゃあ(はじ)めようか」

「ちょっと清彦(きよひこ)くん、その(まえ)自己紹介(じこしょうかい)(わたし)彼女(かのじょ)初対面(しょたいめん)よ?」

「あ、そうか」


 (いや)予感(よかん)的中(てきちゅう)した。

 いや、的中(てきちゅう)というよりも敵中(てきちゅう)()うべきか?


(はじ)めまして、天峰(あまみね)結月(ゆづき)です」

「や、宿木(やどぎ)琴乃(ことの)です……」


 突然(とつぜん)(ラスボス)出現(しゅつげん)()()てしまった。

 (わたし)(いん)キャ時代(じだい)のように、()()くような(ちい)さな(こえ)自己紹介(じこしょうかい)()えたのだった。

 ご意見ご感想もお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ