プロローグ
りぼん×ボカコレ×カクヨム超メディアミックス小説大賞【ナツガタリ'25】に応募中です!
―青春×呪い×学園モノ― 私の未来のため、気になるあいつを絶対落とす!
努力型一軍女子主人公による『おまじない』から始まる青春学園ストーリー!
――私は、勝ち組だ。
「宿木さん、好きです! 付き合ってください!」
「宿木、俺と付き合ってよ」
「琴乃ぉ、フリーなら俺と付き合おうぜ」
秀才、スポーツマン、チョイ悪。
陽キャ陰キャ問わず、あらゆるタイプの男子から告白された過去がある。
「琴乃ってセンスいいよね」
「どこでそれ売ってんの?」
「今度一緒に服買い行こーぜ♪」
男子は選り取り見取りな上に、女子との仲も良好だ。
流行をいち早くチェックし、ファッションセンスを磨き、美容に絶対手を抜かない私はクラスカーストトップ。
私と付き合うことができた男子は『この私が選んだ男』という栄誉を賜ること間違いなし。
私同様、男女の視線をその身に集め、注目されること間違いなし!
今いるポジションからカーストトップに、一気に上り詰めたシンデレラボーイとして華々しく社交界にデビューできるチャンスなのに。
冴えないパッとしない日常から、光輝く陽の世界に羽ばたけるのに。
なのに――、
「ごめん、断る」
「…………|え?」
「話はそれだけ? じゃ」
こうして、私の人生初めての告白は成功するどころか何のリアクションもなくあっさりとスルーされたのでした。まる。
いや、まるじゃねーから!
何で!?
何で私が振られるの!?
っていうか振られるとか以前に興味すら持たれていなくない?
「ちょ、ちょっと待ってよ武藤!」
私は先に帰った告白相手――武藤清彦に追いつき彼の手を掴んだ。
「私ね、この前五人に告白されちゃった。すごくない?」
「ああ、うん。すごいね」
「しかも全員イケメン。バスケ部のエースに、文化祭でバンドしてた先輩、あとは生徒会の書記!」
「へー」
興味なさすぎだろ!
もっと私に興味持てよ!
こうなったら意地だ。
興味を持つまで話続けてやる。
私がどれだけ好かれてるか、どれだけみんなに求められてるか、ちゃんと伝えて理解させる。
周囲からの私の価値を証明すれば、この地味男だって興味を持つだろう。
駅の改札前で立ち止まり、私は言う。
「だからさ、断るの撤回しよ? 私と付き合えばあんた勝ち組だよ? 周囲の注目も集まるし、みんなに一目置かれるよ? あの宿木琴乃から告白されたのか――ってさあ! 休み時間に窓の外を見ながらボーっとしたり、ソシャゲをポチポチして時間をつぶすような日々にサヨナラできる――」
「悪いけど俺、そんな今の日常が好きなんだよね」
「……え?」
「ってワケだから撤回はナシ。あ、俺あっちだから。んじゃ」
武藤はそう言うと、反対方向の階段をふらっと指差して、そのままスタスタ歩き出した。
振り返りもせず歩いていく背中に、私はギリギリまで叫びそうになるのをこらえて――でも、無理だった。
「ふっざけんなよ武藤清彦ォォォッ!」
心の衝動が赴くまま、彼の消えた方向に向けて中指を立てる。
「絶対に私に興味を持たせてやる! いや、好きだって思わせてやる!」
覚悟しろよ朴念仁め!
「ぜ~~~~ったいに、堕としてやるんだからーーーっ!!」
いつか絶対に「ごめんなさい琴乃さん!僕が悪かったです!」って言わせてやるんだから!
負けてたまるか! 地味男ぉ!!
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