3日後の結末を超えて
僕は五郎。
両親と歳の離れた弟がいる。母さんが再婚して産まれた子だから異父兄弟なのだ。
父とはなんだか上手くいなかい。でも弟は僕にとても懐いていた。
弟の名前はアキラだ。
あきら「お兄ちゃん、あそぼー!」
五郎「無理だよ。今からバイトに行くんだ。明日遊んであげるから!」
「お兄ちゃんこれあげるー!!」
そう言うとアキラは僕に何を折ったのか分からないくらいの折り紙を渡そうとしていた。
最近毎回そうなのだ。僕が急いでる時に限って声をかけてきては足止めをくらっていて、正直面倒くさいと思っていた。
でもバイトに遅れそうだったので気づかないふりをして急いで外に向かい自転車を飛ばした。
アキラ「お兄ちゃん待ってー!!」
キキィー!!ドーン!!(車にぶつかる音)
五郎「アキラーー!!!!」
振り向くとアキラは車に轢かれ地面に横たわっていた。
僕のせいだ!追いかけてきたことを気づかずにいたから。。!
五郎「アキラー!!」
名前を叫ぶと同時に眩暈がしてその場で倒れてしまった。
気がつくと目の前に知らない人がいた。周りは真っ白でどこにいるのか分からないくらいだ。
五郎「アキラは?!車に轢かれて、、。」
天使「私は天使です。アキラ君のことは残念でした。」
五郎「天使?!アキラは、、アキラは死んだの?
信じられない!救急車を呼べば助かるはず!
アキラを助けたいんだ!」
天使「アキラくんは一旦こちらで預かっております。事故の3日前までなら戻れますが、どうされますか?」
五郎「3日前まで戻れるの?!早くもどして!」
天使「はい。かしこまりました。但し3回しか戻れませんので宜しくお願いします。」
五郎「分かった。今度はアキラを絶対死なせない!」
目を覚ますとそこは3日前に戻っていた。
すぐさまアキラの元へ向かった。
自転車でどこかに行こうとしていた。
五郎「アキラ!今日は雨が降りそうだし中で遊んだ方がいいんじゃはいか?」
アキラ「お散歩行きたいの!!」
五郎「ワガママゆうな!3日間は家にちゃんといるんだぞ!」
そう言い残して僕はバイトに出掛けた。
そして3日経った。今日はアキラが事故に遭う日だ。絶対阻止しなくてはいけない。
五郎「今日も外に出るなよ!分かったな。母さんと一緒に家にいるんだぞ!」
これで安心だ。
また折り紙を折ったものを握りしめて追いかけてこようとしていたので、振り切り鍵をしっかり閉めて出て行った。
キキィー!!ドーン!!(車にぶつかる音)
アキラは自分で鍵を開けて追いかけて来たのだ。
五郎「アキラー!!」
また気を失う。。。
目が覚めたらまた天使がいた。
五郎「もう一回戻してくれよ!3回戻れるって言ってたよな?今度こそ上手くやる!」
天使「かしこまりました。」
また3日前に戻り今度は母にずっと見張るように頼んでおいたが、母の目を盗みまた事故に遭って死んでしまった。
また目の前に天使がいた。
五郎「おい!何でだよ!!何でアキラはアキラは!」
天使「後一回チャンスはありますがいかがなさいますか?」
「戻るに決まってるだろ!早く戻してくれよ!」
「前も言いましたが戻れるのは3回目までです。3回目は3日前に戻れますが、アキラ君が亡くなると言う結果は変わりません。」
五郎「おい!何で3回目だけ運命を変えれないんだよ!そんなの聞いてない!」
天使「そう言う決まりになっておりますので。アキラ君のことを監視ではなく、ちゃんと見てあげて下さい。しっかりあきら君と向き合って下さい。それでは戻ります。」
3日前に戻った。これが最後だ。運命は変えられないと聞いて、もうなす術もなく、天使の言葉を思い出した。
ーアキラ君とちゃんと向き合ってー
3日後に一緒の運命になるのなら、もうバイトも行かない。できるだけアキラと一緒にいよう。
とても嬉しそうなアキラ。こんな時間いつぶりだっけ。いつものようにアキラは折り紙を持って来た。よく見ると花のようだ。その裏に文字が書いてある。
事故に遭う当日も折り紙を僕に渡そうとしてたな。家にあるものを片っ端から探した。
色んな所にぼくが受け取らなかった折り紙の花が出て来た。
それを繋げると
ま た あ そ ぼ う ね
そうだ、アキラはもっと僕と話したかったんだ。
遊んで欲しかったんだ。本当にごめん!
当たり前の日々でアキラがいることが当たり前になってて、いつも僕の後をついてくるから面倒だとかうざいとか思ってた。ごめん!アキラ!
今頃気づいても遅いよな。3日後アキラはアキラは、、、。
どうか。アキラを死なせないで下さい!お願いします!
天使は思った。
結果は同じになるかもしれない。けれどそれまでどう大事にすごすかは自分たちで気づいて変えられるのだ。
選択肢を変えれば、あきらが死ぬことがなくなるとか、運命は変えられると思えばきっと五郎は事故をさけるようにするだけになって大事なことに気づくことができない。天使はあえて何も言わずに見守ることにした。
そして一週間が過ぎ、、、。
アキラ「お兄ちゃーん!!あげる!」
五郎「ありがとう!帰ったら遊ぼうな。」
しっかり折り紙を受け取り、バイトの鞄の中に入れると急いで自転車に乗る。
アキラはとても嬉しそうだ。以前より家族の雰囲気も良くなった気がする。
僕が変われたのはアキラのお陰だ。
あと、、、あの天使のお陰かな!
そう。 天使はただあなたたち人間の成長を願っているのだ。
これからもずっとあなたの傍に。