0話『シナリオのおさらい①:第35話[悪役令嬢は嫉妬に呑まれる]』
ゲームシナリオのワンシーン的なものです。
※誤字脱字などがあったらすみません。
セシリアは言ってしまった。「私たちは友達じゃなかったんですね」と。
すると、エリザベートは歯を食いしばり、「ええ、そうよ。私は聖女様とは友人になれないのよ。だってーー」と話を途中で終え、胸元を輝かせる謎の魔法陣によって姿を変貌させた。
少女はドロドロとした黒い液体に包まれ、ドプンッと床に沈んだ。地鳴りがして、床が徐々に泥濘になる。少女が沈んだ床は渦を巻き、そして、そこから大きな黒い水の塊を1つ空中に放出し、床を波立たせて元の状態に戻す。
その塊はゆっくりと建物の天井にまで浮遊した。建物の中にいた者たちは皆、危機を感じて逃げ出す。パーティー会場は混乱に支配された。
セシリア含む全員が建物を出た時、それは弾けて怪物に変貌した。
それは大きなクジラだろうか。
真っ黒な巨体は鎧のように鋭い鱗で覆われていた。歯は鋭く、口からは白い炎を吐いている。正しく怪物と言って良い姿をした生き物であった。
そのクジラのような怪物は、建物を壊して夜空に浮上する。水飛沫のように黒い液体を垂らしならが、学園の空を真っ黒にする。
ピュイィイイィイィィーーッ!!
悲鳴を上げながら浮遊するその怪物は、学園内を逃げ惑う者に黒い液体を吹きかける。液体を被った者たちは、「熱い」「熱い」と苦しみ酷い火傷を負ってその場に倒れる。
嗚呼、優しかった少女は、嫉妬に呑まれてしまったのだ。
人間として生きることは難しかったと、魔物は泣き叫び空を泳ぐ。
セシリアはクジラを見つめ、唾を飲んだ。
「 」
次→第1章【慈愛は嫉妬に呑まれない】1話『男のオレが悪役令嬢で良いんですか』
更新:2024/8/25(内容の修正)
2024/8/31(内容の修正)
2024/9/13(内容の修正)