45.オタメイト、再び!です。①
お店を出て、ふう、と小さく息を吐く。とてもいいお店だった。ご飯も美味しくて、お店の雰囲気もよくて、静かで落ち着ける空間。常連になろうかなと本気で思うくらいには、最高だった。
「三好さん、ご馳走様でした、ありがとうございます!」
「いえいえ、どういたしまして」
ちなみに、今回も知らぬ間に会計が終わっていた。三好マジック、どうなってるんだろう。
「それじゃあ、腹ごしらえもしたところで、オタメイトに出陣しようか」
「はい! いざ!」
今から戦でもするのか? というノリで、オタメイトに向かって歩き出す。三好さんが「影原さんノリよくなったねえ」と笑う。それに、そうだろうか? と思って考えたけれど、わからなかった。私、いつも脳内こんな感じだし、あんまり変わった感じがない。うーん。
「あ、そろそろ着くよ」
歩いて数分。オタメイトが見えてきた。何度見ても外観を見るだけでワクワクしてくる。オタメイト、きたー!
「今回は迷わないように気をつけよう」
「はい、前回迷子になりましたもんね」
「ほんとそれ。まず、階段まですんなり行かないとね」
そう言いながら店内に入って、迷子になった。
三好さんが身長を利用して背伸びをして棚の上から構造を見てくれる。私は何も出来ずに、ただ近くのグッズを見つめた。なんのアニメのグッズだろう、これ。
「こっちだー!」
「はい!」
そうしてやっと階段に辿り着いた。道のり、毎度長すぎ。
「前回と棚の位置もグッズの位置も変わってるとか、もはや樹海」
「・・・・・・棚替え、大変そうですね」
「わかる。少しパンの棚替えするだけでも大変なのに、この量はえげつない」
そんな事を言いながら、階段を上がって3階まで行く。よく考えたらもうナイライコラボ階段をやっていないのだし、エレベーターで良かったのだけれど、それに気がついたのは二階と三階の間の踊り場だった。気が付かなかったことにした。
「さあて、ナイライのコーナーまでに迷子になるぞ。どこだと思う? 影原さん」
「・・・・・・あっちな気がします!」
「よし、じゃあ、そっち行ってみよう!」
一発で辿り着いた。
「マジか」
「なんとなくの勘だったのに・・・・・・」
「第六感ってやつ?」
「ナイライにしか発動しなさそう・・・・・・」
そんなわけで、二回目のナイライコーナーの前に着いた。ううん、相変わらず壮観! 素晴らしい!
「おー、やべー。ゴルトさんのアクスタ新しいの入荷してる。買お」
「秒ですね」
「この絵アド良くね?」
「綺麗ですよね。ヴァンパイアの格好、凄くお似合いですし」
「だよねー!」
意気揚々と三好さんがカゴにゴルトさんのグッズを入れていく。本当に好きだなあ、と見ながら、私もヴァイス様のグッズを見つめる。アクスタ、アクブロ、アクリルストラップ、ラバーストラップ、カード、缶バッチ。
「・・・・・・よし」
少し悩んだあと、アクリルストラップを手に取った。牧師の格好をしているヴァイス様が手のひらの中で微笑んでいる。それを、ぎゅっと握りしめ、心の中でもう一度よし、と言った。
「あれ、影原さん、買うの?」
それを見て、三好さんが驚いたような声を上げた。そりゃそうだ。あれだけ買うのをためらって、怖いと言っていたのに、買おうとしているのを見たらそうなる。
それに私は、こくりと頷いた。
「はい」
「そっか・・・・・・そっかあ」
三好さんは少し頬を緩めたかと思うと、次第に満面の笑顔になっていった。なんだか、凄く嬉しそうだ。
「影原さん、それ見せて」
「はい」
手のひらに乗せたアクリルストラップを、三好さんに見せる。それを見て三好さんは「ほう」と言ったあと、指先でつまんで、自分のカゴの中に入れた。
「っ、え!? 三好さん!? 返してください!」
「やだ。これは俺が買う」
「な、何故!?」
「俺からのプレゼント。そうだなー、誕プレ?」
「限定画像頂きましたが!?」
「それはそれ、これはこれ。本当はプレゼントも画像じゃなくてグッズにしようと思ってたし、改めてってことで」
他になにか買う? と聞かれ、今回はそれだけと答えると、三好さんはさっさと歩き出してしまった。カゴは三好さんの手の中。うう、取り返せない。
「今回は隣で待っててね」
今度はエレベーターで降りましょうとなってきちんとエレベーターで降り、一階のレジの前で三好さんはそう言った。前回のナンパ事件を気にしているようだ。
いていいのかな、と思いながらも三好さんの横に立って会計終わりを待つ。・・・・・・おお、総額、結構行ってる。アニメグッズって高いもんなあ。前回もっと多かったけど、いくら使ったんだろう。
「はい、どうぞ」
会計を終えた三好さんに、ヴァイス様のアクリルストラップを差し出された。それを受け取り、見つめる。私の、初めて自分の意思で持つと決めて、選んだグッズ。そして、三好さんからのプレゼント。
「あ、ありがとうございます!」
「ん、どういたしまして」
沢山の気持ちが籠ったアクリルストラップを、ギュッと握りしめた。




