4.SNSというものはとても素晴らしいものだと思います。
読んでくださっている皆様、ありがとうございます!
エピソード3、900文字分ほどの掲載忘れがありましたので、追加編集いたしました。昨日中に読んでくださった方は前ページの下の方から読んで頂けましたら幸いです。
大変失礼いたしました。
『ルイさあああん』
ここはツブヤイターの世界。
ツブヤイター。それは全世界に発言を発信、受信できるSNSである。
世界規模ともなれば、趣味が合う人は沢山いる。ナイライ好きな人とも繋がり放題。素晴らしいツールだと思う。
だけど、私のようなヘタレは、世界規模相手にしても友達ができない。私の友達は、今このダイレクトメールの画面の向こうにいる、ただ1人だけだ。
『どうしたの、ユウ』
ユウ、というのは私のアカウント名だ。気軽にそう呼んでくれるただ1人の友達に、思い切り縋る。
『職場の人にナイライ見てるのバレた。バレたのはいいんだけど、上手く話せなかった。私はナイライ信者失格だよ・・・・・・』
『あーなる。でも別に布教できたからって信者認定される訳でも無いんじゃないか?』
『世の中の宗教の人は頑張ってるのに。凄いよね。家まで訪ねるなんてさ。私には無理だよ』
『どちらにせよ、あそこまでは頑張らなくていいと思うぞ』
ウダウダと連なる戯言に、ルイさんはバカにすることなく丁寧に返してくれる。その優しさに目がうるみそうになる。
ルイさんは、私がナイライを始めて沼り出した頃、ツブヤイターのアカウントを作った時に『ヴァイス様推しなんですか?』と話しかけてきてくれた、多分男性の方だ。
話し方とか、写真で見せてくれた格好いい大型バイクとかから判断しただけだけれど、まあそこはどっちでもいい。ルイさんはルイさんなのだから。
『まー元気出せよ。今日のヴァイス様もイケメンだったことだし』
『あれもう宗教画じゃない? 引き伸ばして御屋敷の大きい食堂の上座の壁に掛けてもいいレベル』
『いい加減宗教から離れろ(笑) 金貯めてそのうち大きな家建てて実現しな』
『良いー!!』
こうして語れるのはルイさんの前でだけだ。同担(推しが一緒)なのもあり、気兼ねなく話せる。
『まあ、その先輩のことはいいんじゃないか?』
ひとしきり私のヴァイス様語りを聞いたあと、ルイさんが話題を戻した。ああそうだ。三好さんにナイライの話が出来なかったどころか、好きなのを否定して、更にそっけない返事をしてしまったんだった・・・・・・。
『いいと言われても・・・・・・』
『もし嫌われたとしても、ユウにはぼくがいるだろ』
『ル、ルイさーーーん!』
ルイさん、現実で会ったら絶対イケメンだ。ちょっとチャラそうだけど、そういうのも似合うタイプのイケメンな雰囲気が画面の向こう側から溢れだしてくる。
なんか、そう、例えるなら、騎士的な感じの。ナイライの世界の人かな??
『いや、そんなわけないだろ』
思ったまま言ったら、突っ込まれた。
『もしぼくがナイライの世界の騎士だったらヴァイス様を何とかしてユウの前に連れていってるわ』
『イケメンすぎでは?』
やっぱりこの人、次元の壁を超えてきている気がする。そうじゃなければこんなイケメン、ありえない。私の統計上では、だけど。
『でも、ユウ、いつもの脳内の語りを全部表に出せたらいいのにな。愉快で面白いのに』
『それは私も思う〜』
『思うんかい』
『でも一音も出せないんだよね。ルイさんと話してる時はこんなに出てくるのに。SNSでもそう』
呟こうと思って入力しても、次の瞬間には消してしまっている。いいなと思う考察や絵や小説に『良き』を押したり拡散は出来ても、感想を言うことは出来ない。
結果友達が一人も増えなくて、SNS上にも友達ができないという有様だった。
打ちながら、はあと息を吐く。
『まあさ、本当は語れた方がユウにとっていいんだろうけど、無理することはないと思うぞ』
そんな私の心を読んだかのように、ルイさんが言った。
『うん』
『ヴァイス様の話ならぼくがいくらでも聞いてやるから』
『ルイさん・・・・・・』
『妄想でも何でも聞いてやる。だからあんまり落ち込むな』
『ルイさん・・・・・・やっぱり二次元の人では』
『ははっ、まあたしかにSNS越しだと二次元みたいなものかもしれないな。あながち間違っているとも言えない』
ルイさんが画面の向こうで笑っているのが何となくわかる。
ルイさん、現実ではどんな人なんだろう。
気になって、前に一度だけルイさんに『会ってみたいな』と言ってみたことがある。
そうしたら『ダメ』と却下されてしまった。『危ないから』と後で言われて納得したが、そうやって危険から守ってくれるところも騎士っぽいしルイさんがそんな悪い人だとは思えないのにな、と思った。
でもそれ以降そういう事を言い出しにくくなって、結局会えないままでいる。
・・・・・・やっぱりルイさんの次元が違うからかな!? やばい、ヴァイス様と一緒に推しちゃいそう! 推しが増える! うわあ、困っちゃうなあ。主にお財布が。
『おーい。あらぬことを考えているの、何となく返信の速度で分かるぞー』
『流石ルイさん、五年来の付き合い!』
『まあな。で、何考えてたんだ?』
『今日のヴァイス様はやっぱり食堂じゃなくて大広間に飾るべきじゃないかなって』
『そうかwww』
ルイさんは、私の最高の友達だ。




