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31.難易度高めです。


「んらぁ」


 帰宅して、ご飯を食べてお風呂に入ってベッドに転がった瞬間、そんなよくわからない声が漏れた。なんか、今までの誕生日の中で一番濃かった気がする。というか今までなにかあったことすらなかったんだけど。


 そんな訳で濃度高めな誕生日の最後。やっとスマホを開いて、ルイさんからのDMを開けた。


『誕生日おめでとう、ユウ。今年は遅くなってごめん。これ、誕生日プレゼント』


 その文章とともに貼り付けられていたのは、アンニュイな表情がイケメンなヴァイス様のイラスト・・・・・・と、相撲のまわしを付けたヴァイス様のイラストの二枚だった。

 多分両方ともルイさんが描いたものだろう。ルイさんはとても絵が上手い。そして、遊び心がある。そういうところ、好き!


『ありがとう〜! アンニュイでイケメン! そしてやっぱまわし似合う〜!』


 どちらもすぐに保存をして、更にフォルダ内で保護をしてから、返信をする。まわし姿のヴァイス様、和洋折衷で超イケメン!!


『そうかwww まあ、喜んでくれたなら良かったよ』


 画面の向こう側でルイさんが笑っているのがわかる。冗談と思われてるのだろうか。私は本気なのに。


『嬉しいよ! この一年は良い年になりそう!』

『そんなにかwww』

『うん、そんなに!』


 ルイさんからのプレゼントもそうだけど、今年は三好さんからもお祝いをしてもらった。美味しいお菓子もジュースも手に入った。こんなにツイてる誕生日、本当に──。


『いや、逆にツイてすぎて今年やばい気がしてきた』

『急にどうしたwww』

『幸運、今日使い果たしたかもって気持ちになってきた。こんなことあっていいはずがない』

『おーおーおー落ち着けw そんなにいいことあったのか?』


 あわわと震えながらも、私はルイさんに今日あったことの全てを話した。


『ねえ、やばくない? こんなツイてる誕生日やばくない??』

『落ち着けって。誕生日は大体そんなもんだ。お祝いされて、いい事が沢山あるもんなんだよ』

『今まで誕生日にいいこと無かったからぁ』


 本当に、今までの誕生日はいいことがなかった。ルイさんと出会ってからはルイさんが毎年祝ってくれるようになったお陰で少しだけ楽しみができたけれど、でもそれよりも嫌な思い出の方が多い。主に、調子に乗るなと怒られたりとか、何故かその日に限って父の機嫌が悪かったりとか。なんとか。


 だから毎年誕生日が来るのが嫌で、いつからか誕生日のことを考えるのをやめた。今回忘れていたのも、考えると落ち込むから考えないように癖がついていたからだ。


 そんな事情を、ルイさんは深く追求したりせずに『そうか』と言った。


『じゃあこれからは今までの分以上に、沢山いいことがあるといいな。楽しみだな』

『楽しみ・・・・・・』

『本来、誕生日は素敵で楽しみにするものだ。存分に楽しみにするといい』

『そっか・・・・・・ありがとう。楽しみにできるようになるといいな』


 私もいつか、アニメやゲームの中で見るような、誕生日だから楽しもう! みたいなことが出来るようになるのだろうか。

 ・・・・・・あっ、そういえば!


『話は変わるけどルイさん。あのね』

『なんだ?』

『私、先輩に見合うことができるように、色々頑張ることにした』

『おおっ、マジか!』


 食い付きがすごい。


『いやあ、正直このまま何もせずにいるのかとヤキモキしていた。そうか、頑張るか』

『うん。なんかこんなこと言ったら変だけど、もう少し近くの存在になれたらいいなって思って』

『全然変じゃない。んで、何をする気だ? 無知のルイさんが出来るだけ協力しよう』


 そう、そこが問題だ。まず私が思いついたのは、格好を変えることだった。この野暮ったい陰気候の格好を、もう少しなんとかできないかと思った。

 が、私は所詮元々オシャレのオの字も知らない陰キャだ。なんとかしようと思ってもどうしたらいいのかわからずに迷走して失敗して後悔するのは目に見えていた。下手したら三好さんに引かれる可能性もある。そんなの、いたたまれなさすぎるだろう。


 だから形から入るのはナシだ、というのが帰路で考えた結論。じゃあどうするかというと、もう選択肢はほとんど一つしかないと言っても過言では無い。


『友達を、作ろうと思う』

『ほぉっ!』


 多分人とコミュニケーションを普通に取れて、普通に友達がいる人からしたら極々普通の、何言ってんだテメェくらいの話だろうが、コミュ障の陰キャにとってはこれは一大決心である。褒めて欲しい。


『しかし、どうやって?』

『完全にゼロからは、私には難しいと思う。だから、きっかけを探そうと思ってて』

『きっかけ?』

『例えば、大学でナイライのグッズを持ってる人・・・・・・とか』

『なるほど。好きなんですかとか話しかけやすいし、話も広げやすいし、それならユウもオタクできるもんな。一石二鳥というやつだ』

『まあ、話しかけるのが高難易度なんだけどね・・・・・・』

『それな』


 というか、意外だ。ルイさんも私の気持ちわかったりするんだ。結構慕われやすい兄貴タイプだと思うのに。以前『ぼくみたいなタイプは敵を作る』って言ってたけど、本当にそうなのかな。私なら友達になりたいけど。っていうか友達だけどね!


『まあ、頑張れ。画面越しだけど、応援してるよ』

『ありがとう。頑張る!』

『あ、でもぼくに構ってくれなくなったら寂しくて泣くからな』

『あはは。そんなことしないよ。ルイさんは大切な友達だもん』

『そうか。ありがとな』


 こうして、私のお友達を作ろう作戦(難易度:SS)は開始されたのだった。

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