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子爵家の令嬢

貴族の令嬢が出てきますが、貴族の令嬢ってどんなだか実はさっぱり分かりません。

もう勝手に書いてます。m(--)m

そして高評価して下さった方ありがとうございます。創作意欲が湧いて来ました!!!

ですから「そんな大したことない」「ほめ過ぎだ」と言うご意見の方がいても、ここは我慢して心を広く持って頂いて星の数を減らそうとせずに人助けだと思って星の数が減らない評価をくださるか何もしないかのどちらかでお願いいたします。

それだけであなたはとても良いことをしたことになるのです。本当です。

 ポール男爵の領主館に着いた時に、子爵家の立派な馬車が止まっていた。

 領主館の中に入り、ゲストルームに行くとブーン子爵とその横に綺麗な少女が腰かけて待っていた。

 横には男女の騎士が一人ずつ立っている。

 僕たち三人は跪き深く礼をした。

「顔を上げて立ちなさい。改めて名乗ってもらおう」

「元ウォルナッツ村の農民の……ダランです」

「長女のミリーです」

「長男のトミーです。ミリーの双子の兄です」

 さすがに子爵様となると言葉も改まる。

「ここにいるのが娘のアドラ―だ。確かお前たちと同年齢になる」

「アドラー・ブーンよ、宜しくね」

「「はい」」

「ミリーはそこにいる女性騎士のスーザンについて騎士見習いになって貰うが、同時にアドラー付きの従者にもなってもらう。侍女ではなく、従者だ。まあ、将来は騎士ということだからそうなる。まあ、この後私と一緒にブーンシティに来て貰うことになるが良いか?」

「はい。でも家に戻って用意する話でしたが、家が焼けて着の身着のままなんですが」

「はっはっは、事情は分かっているから一向に構わん。どうせ館にくれば従者用の制服が支給される筈だ。その他の生活用品も最低限は支給されるから本人だけが来ればよい。ところでトミー」

「はい」

「お前は非常に聡い少年だ。娘アドラの学び相手としてミリーと一緒に子爵邸に来ないか?」

「えっ? あっ?」

 僕は一瞬驚いて変な声をあげてしまった。

 そして子爵令嬢の顔を見て慌てて目を逸らして俯いてしまった。

「あら……君、失礼ね。今私から目を逸らしたでしょ? 目を逸らさないでしっかり見てくれる。で、どうなのかしら? 私のお勉強相手に来て頂けないかしら」

 大変なことになった。目を合わせて話すなんてとんでもないことだ。

 実は昨日賊の死体を触って吸収していたときに途中で脳内アナウンスが流れたのだ。

『悪魔のスキルL5を獲得しました。生体から秘密・弱点・恥の知識を得ることができます。取得条件は1分以上相手と目を合わせることです』

 だからこの令嬢と目を合わせることは非常にまずいのだ。

 こんなきれいな女の子の秘密なんて知りたくはない。

 まして貴族令嬢だ。知ってしまったことがわかったら命が危ない。

「大変……ありがたいお申し……で、でも、僕は父さんと一緒にこの街にいたいと……思うので……思います、はい。だからごめんなさい……あっ」

 いけない。一分経ってしまったらしい。アドラ令嬢の人には言えない秘密や弱点や恥ずかしい情報が僕の頭に流れて来たのだ。

 僕は顔が熱くなった。

「あら、顔が赤いわ。どうして?」

「はっはっは、アドラ、お前の色香に迷ってしまったらしいぞ」

「あら、それならなおのこと都合が良いわ。子爵邸にいらしたらいつでも私の顔が見れるわよ」

 ち……違うっ。そうじゃなくって、あなたの恥ずかしい秘密を知ってしまったから、僕は顔が赤くなったんだってば……って言う訳にはいかないからとにかく……

「あの、とにかくごめんなさい。子爵様、僕は長男だからもう少し父さんの傍で家を支えたいと思う……だから……誘ってもらっても行けないん……です」


 ああ、しどろもどろだぁ。

 だけどなんとか分かってくれ。

 貴族勤めは息が詰まるし緊張の連続だから、でもそれを言ったら無礼だから言えない……ってことなんだよなぁ。


 ところがアドラ嬢は次に爆弾発言をして来たのだ。

「まあ、わかったわ。そういうことなら無理に勧めても駄目ね。でもその気になったらいつでも言って下さいね。ところで話は変わるけど、トミー、あなたは死体を観察して色々なことを言い当てるそうね。それじゃあ、生きてる人間は? 私なんかは見て何が分かるかしら。ねえ、とっても興味があるのだけれど言ってみてくれないかしら」

 えっ、何言ってるの? 何を言って欲しいの? そんなこと分かる筈はないじゃないか。今わかるのはあなたの秘密関係だけだよ。でもそれ言ったら僕の人生は終わるよね。

「アドラ様が……とても綺麗な人だと……今の僕にはそれしか分かりません」

「まあ、それは嬉しいけれど。私の期待していることは誰でも言いそうなそんな言葉じゃなくて、たとえば普通の人が見ても気づかないようなことをスパッと言い当てるとか、そういうのはないのですか?」

 ありますよ。でもそれはあなたの秘密に触れることだから……ああ、そんながっかりした顔をしないでください。じ……じゃあ、ちょっとだけですよ。全部は言えませんからね。

「お嬢様のそのドレス……不思議な形をしていてとても珍しい…と思う……思います」

「あら、面白い。何が不思議?」

「スカートの裾の花模様の配置が……独特で」

「あら……この手のものは村人の君が詳しい筈がないのに、どうしてそう思うの?」

「確かに僕はそう言う華やかな衣装を見ることは殆どない……です。でも裾の飾りの花は普通同じ間隔でつけるのだと思うけど、僅かに横の方の花が間が長い……それは多分正面から見ると横の方は間が詰まって見えるからそうしたのかなと。そういう意味で独特なデザインなのだと思ったです」

 一瞬アドラ嬢は口をあんぐり開けて凍り付いたようになった。でもすぐにその後に表情を繕って笑って見せた。

「あら……そう? なるほどね。よく観察して、このドレスの特徴を見抜いたわね。わかったわ。ああ、面白かった。こんどまた話を聞かせてね。お父様今日はここまでで」

「うん……ああ、そうだな。トミー君今回は大人しく引き下がろう。だがいつでも気楽に遊びに来て顔を覗かせてくれ」

 今回はそれでお開きになって、ミリーだけが子爵たちと一緒にブーンシティに向かった。

 これでしばらく会えないだろう。


 ドレスの裾の花飾りの件は、令嬢の秘密の中でも比較的軽いものだが、実は急にこちらに来ることになって着ていくドレスが間に合わなかったのだ。

 もちろんドレスの予備は沢山あるが、例えばお茶会などで一度着たドレスは余所行きでは繰り返して着ないものなのだ。

 そして唯一着たことのないドレスがこの花飾りのドレスで、アドラ自身の粗相で一度も着ないうちに花飾りを一個破いてしまったのだ。

 その為等間隔につけていた飾りを急遽侍女たちに命じてずらして付け替えさせ、ドレス側面の部分の花の間隔を少し広くとって誤魔化した訳だ。

 もちろん正面から見れば目立たないが正面と横を見比べると確かにバランスが悪い。

 けれどもトミー達と謁見するときは椅子に座ったままだから絶対分からないだろうと着て来たのだが、それを言い当てられてしまって動揺したという訳だ。

 なんとか終わったので僕はほっと胸を撫でおろした。



「お父様、あの者は正面からしか私を見ていません。しかも私から目をそらさないようにしていたので、ドレスの裾模様まで観察できなかったと思ったのですが、何故あのことを言い当てたのでしょう?」

「さあな。ところでトミーはお前を見て顔を赤くしていたから、お前に魅了されたのではないか? だとしたら彼を取り込む余地があるように思えるのだが」

「確かに顔が赤くなっていました。でも、あの者は全く別のことで赤面していたようにも思えるのです。何故だかそんな気がするのです」

「取り越し苦労ではないのか?」

「だと良いのですが」

 帰りの馬車の中での子爵父娘の会話でした。


 領主の所に来たついでに、良い働き口がないかどうかポールタウンの中を見回ることにした。

 そしてその店を見つけた。小さくて古いがしゃれた作りの食堂だ。

 入り口には貼り紙がしてあって、『手伝い募集』とある。

 二年後に王都に行き学校に通うまでは、食堂の手伝いもありだなと思った。

 看板を見ると『こんがり亭』という名前がある。そして食堂の中からとても香ばしい匂いがして来る。

 この匂い……そう言えば村人の記憶の中にポールタウンのこんがり亭の料理はどれも香ばしく、その香りと味は真似できないという評判があった。

 

「いらっしゃいませっ」

 看板娘のような愛想の良い娘が僕が店の中に入って行くと歓迎してくれた。

「あのう、客じゃなくて……表の看板を見て」

「じゃあ、店の手伝いに応募して来たんですか? お父さーーん」

「おうっ」

 奥の厨房の方からがっしりした男が出て来た。筋肉質の逞しい人間で兵士や冒険者の方が似合うという感じだ。

「なんだ?小僧。お前看板小僧になる積りか」

「いえ、あのできれば厨房の方も手伝いたいと思って」

「厨房だって? 何ができる」

「ウォルナッツ村の名物料理ができます」

「ほう?面白ええ。何か作ってみろ」

 僕はあまり時間がかからなくて、厨房にある材料でできるものを選んで一品作ってみることにした。子沢山のマーサさんの得意料理『ごっちゃ飯』だ。野菜や肉を混ぜて軽く熱しながら混合タレで味つけをするものだ。

 この混合タレがちょっとコツがあるのだが、事前に作っておいたものを瓶に入れて持ち歩いていたので役に立ったのだ。

 果物や玉ねぎや南蛮や酒などを配分を考えて混ぜて作るのだが、マーサおばさんの秘伝で村の祭りの時はそれで店を出すくらい人気があるのだ。

「お前……そのタレどうやって作った?」

「それがちょっと秘密で」

「ふん……味見してみるか。うっうまいっ!よし、合格だ」

 早速気に入られて厨房の手伝いを任されることになった。

「俺も料理を香ばしくする調味油を持っているが、これが偶然作った調味料でな。今じゃ店の看板の味だ。もちろんお前のタレと同じく秘伝だけどな。がはははは」

 そのとき店に入って来た客が親方に言った。

「親父、知ってるか? 今そこで聞いたんだけどよ。葬儀屋の隠居が死んだってよ」

 葬儀屋の隠居といえば王都にも大きな葬儀屋を開いた人物で今は娘婿に任せて国内の葬儀店の殆どを持っている大物だ。

 そういう情報はウォルナッツ村の誰か彼かの記憶に刻まれているのですぐにわかる。

 隠居には娘が三人いて、長女の婿が事業を継いでいるが、末の三女がこのポールタウンに隠居した老人の世話をしながら町中の小さな葬儀屋を経営しているのだ。

 そういう大物の遺体には非常に関心がある。

 僕はそっちの方に様子を見に行きたくなった。

「親方、働くのは明日からで良いでしょうか? 今日はこれから用事があって」

「そうか?じゃあ明日は開店の前の仕込みに間に合わせるように朝一の鐘までには来てくれ」

「はい、分かりました」

 こんがり亭を出ると、例の町の葬儀屋に向かった。

 初めて行く場所でも行けるから悪魔のスキルは便利だと思う。

『安らぎの家』はすぐ近くにあった。

 僕はその店の中に入って行った。

 すると女の人が出て来て涙を拭きながら言った。

「申し訳ありません。今は営業していませんので」

「違いますでのう。儂はここのご隠居とは昔世話になったもんでのう。亡くなられたと聞いてお別れに来たんじゃ」

 そうなんだ。僕は村の老人の姿と声を借りて一芝居打ったのだ。


 

悪魔のスキル持ちなので死体というと食指が動く悪い癖があります。

主人公は何を企んでいるのでしょう?

面白い、もっと続きを読みたいと思った方は、何も考えずにブクマを入れて下さい。

それだけでこの世界に幸せな人間が一人生まれるのです。嘘じゃありません。

ポッチッと……ただそれだけです。

但し評価に関しては星の数が減るような評価だけはしたくなっても我慢してください。そういう場合は何もせずに温かい目で長い目で見守ってください。お願いします。

私は心の弱い人間です。m(--)m すみません。

でも星が減らない評価は嬉しいので大歓迎です。

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