帰郷そして……
この回は前半視点が変わります。
ブーン子爵の前で女性騎士のスーザンはマジックポーチを差し出しながら言った。
「あのトミーと言う男の子の推理はまっこと見事なものでした。初めて見るのに六人の罪人の死体を見て真っ先にリーダーのクロードを言い当てました。そして売り払ってないものがあるとすれば、クロードが自分で独占したに違いない。でもそれを表立ってやればメンバーの不満が出るので、こっそり隠したに違いない。とここまで推理して、家探しして何も出て来ないとすれば、誰かがクロードを見張っていて隠したところから持ち出したと断言したのです。そしてモルガンが斥候タイプの盗賊であることを言い当てて、それができるのはモルガンだと言いました。さらにモルガンだけが町中に身内がいて、それが彼の妹のネリーだと聞いて、彼女の家に隠してあるに違いないと……」
一気に説明し終わるとスーザンは肩で息をして深くため息をしました。
「全く……全くもって、あの子供には感心します。感心したのは罪人の死体は腐敗が始まっていてかなり臭いのに一人一人手で触れて観察して行く姿には敬服しました。死体に触れて見ただけで実に明快な答えを引き出していくのです。あの子は稀代の天才児です」
「スーザン」
「はい、お館さま」
「して金貨100枚はあの子に渡したか?」
「はい、確かに。父親が預かって学校に通わせる資金にするとか言ってました」
「そうか。で、女の子についてはどうなった?」
「はい、一度家に戻ってからブーンシティの子爵邸まで来させるように手配しました。騎士になる為の訓練は私の方ですることになります」
「そうか、ご苦労だった。下がって宜しい」
「はっ、では失礼致します」
スーザンが出て行った後、ブーン子爵は独り言のように呟いた。
「問題はあのトミーをいつのタイミングで取り込むかということだ……だとすれば娘のアドラをぶつけてみるかな?」
僕は金貨百枚を貰ったので、父さんが文官になる為の学校の学費にすると良いと言ってくれた。
例のでっち上げの推理は結構精神的に疲れたが、無事誤魔化せて良かったと思ったが、後で考えると悪魔のスキルを隠したいがためにかえって神がかり的な推理力を持っている印象を与えてしまって、却って目立ってしまったのではと些か落ち込んでいる気分だ。
それと例の悪魔のスキルのレベルアップが途中であったが、吸収L2になった後もL1の時と同じ秘密・弱点等々を見ることに専念した。
実際はL2では『死者から全ての情報知識を得るか、または選択した条件下での死者情報をピックアップして知ることができる』
という内容でL1と実用的にはあまり変わらない内容で少しがっかりした。
レベルアップしたときの胸のときめきを返してほしいっ。
僕らは男爵様から馬車を出して貰いそれでウォルナッツ村に帰ることにした。
二日かけて村に戻った時僕らは茫然とした。
村が焼けてなくなっていたのだ。
事件が解決して村に戻ったところ……
続きます。面白いなと思ったり、続きが読みたいと思った方はぜひぜひ
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