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天界ワースト  作者: 岩井碧月
隠れ家探しは預言者パルテ
9/31

はんぶんはんぶん

 ————そういえば、パルテは?


 魔王フロールが逃げ去ったあと、冷静になった俺は彼女のことを思い出した。


 たしかフロールが家に来たとき最初俺は地下に隠れてたからパルテが奴を出迎えてたはず……。


 そのあとすぐに家が吹き飛ぶ音がして————


「あいつ大丈夫か……?」


 かなり最悪の状況が思い浮かんだ。


「お~いパルテ~……!」


 光輪を頭に乗せ元の姿に戻った俺は急いで崩れた家の方へと向かい彼女を探す。


「返事しろ~、お~い」


 手当たり次第に瓦礫をひっくり返し、体を屈めては隙間をあちこち覗く。


「どこだ~、生きててくれよ~」


 捜索を始めて間もなく、俺は瓦礫の下から覗く血だまりを発見した。


「見つけた……! お~い無事か~!?」


 足元の瓦礫を掴んで持ち上げると、そこには見るも無惨な姿でパルテがぐったりと横たわっていた。


「……パルテ…………」


 収まったはずの怒りが先程とは比べ物にならない強さでこみ上げてくる。


「許さない——許さないからなクソッタレ魔王!!」


 右手で支えていた瓦礫が砕けると同時に、何かが頭の上でピキッと音を立てる。


「ここまで俺から奪ったんだ——そう長生きできると思うなよ!!」


「クロンさん……?」


 ——!?


 その声にハッとして足元のパルテに目をやったが、やはり彼女の体は動いていなかった。

 おもむろに後ろを振り返ると、瓦礫があちこちに散らばる一本道の真ん中でメイリーが困惑した様子でこちらを見ていた。


「花火の途中で急に逃げ出したかと思ったら、こんなところで一体何をしてたんですか……!? 港の方まで大きな戦闘音が聞こえてきてましたよ……!?」


「あー……いや、そのー……」


 まずいメイリーだ!

 まさかこんなタイミングで見つかるとは……なんて誤魔化そう。


 傷ひとつない綺麗な光輪を軽く見上げながら必死に言い訳を考える。

 あれ……? そういえばさっき光輪がひび割れるような音がした気が——


「それにここ、たしか預言者のパルテさんの家ですよね? クロンさんが壊したんですか?」


「いや違う違う! フロールとかいう超迷惑な魔王が——」


「魔王?」


 ————あ。


「今、魔王って言いました?」


「違う、ただの堕天使——」


「堕天使?」


 あの野郎、誤魔化しが効かないレベルでクズな要素しかない。


「もう逃げられませんよ、後で詳しく話を聞かせてもらいますからね。それより、家主のパルテさんは一体どこに——」


 必死に言い訳を考えていた俺はメイリーがいつの間にかこっちに近づいて来ていたことに気付かなかった。


「あっ、メイリーこっちはダメ……!」


 そう言ったときには既に遅かった。


「…………その人、パルテさんですか……?」


「えっと……うん、そう……」


 メイリーの説教を覚悟したのも束の間、突然パルテの体が淡い光に包まれ始める。


「え、なになに? なにごと!?」


「この感じ……まさか神気!?」


 光に包まれるパルテの体と何かに気付いたメイリーを交互に見ながら戸惑っていると、今度はパルテの体のあちこちにできた損傷が段々と修復されていく。


「まさかパルテ——生き返る!?」


「はい……これは確実に自己蘇生の魔法です。でも、普通に考えて死んでしまった人間が自分自身を蘇生なんて出来るはずがありません」


 パルテの体はあっという間に完全修復され、彼女の傍に転がっていたティアラが光を放つ。



「おそらく彼女は————ハーフエンジェルです」



 メイリーがそう言った直後、パルテの背中から二枚の純白の翼が飛び出した。


「——えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 驚きのあまり後退りする俺の目の前でパルテは何事も無かったかのように起き上がると、傍に転がっていたティアラに手を伸ばす。


「んっ……助けてくれてありがとう。えっと……名前」


「あれ言ってなかったけ……クロンって呼んで——じゃなくて! ハーフエンジェルならそう言ってよ! 余計な心配させるなって……!」


「クロンさん……! 天使と人間が結ばれてはいけないことぐらい知ってますよね? いくら相手が天使でも、その間に生まれた子が堂々と自分のことを明かすわけないじゃないですか……」


「まぁ……そりゃそうか」


「隠しててごめん」


「いや、いいよ……そもそも俺がパルテを巻き込んだからこんな事になったわけだし……」


「巻き込んだって何の話ですか? もしかして、さっきの魔王の話と何か関係あるんですか?」


 やばい、メイリーが食いついてきた。


「そ、そうだパルテ……! 今から俺が手伝ってるカフェに行って、俺が借りてる部屋をお前に譲れないか店主に相談——」


「逃がしませんよクロンさん」

 一秒でも早くその場を去ろうとした俺の首根っこをメイリーがすかさず掴む。


「ぐっ——離せ……俺はただフォルティアと相談するだけだって」


 必死に抵抗したものの、俺は僅か数秒でメイリーの馬鹿力に負け呆気なく羽交い締めにされてしまう。


「相談の前に、まずお店のお手伝いをすっぽかしたことを謝るべきですよね?」


「安心して。わたし、もうひとつ家あるから」


「それは良かったです! ほら、パルテさんもそう言ってるんですから、今朝までのこと全部正直に話してください……!」


「わかった——話すっ! 話すから……!」


 俺の平穏な生活はまだまだ先になりそうだ……。

 くそ~! 次はしっかり計画を立ててから逃げてやる! 

次回 『にんむはまだおわっていない』

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