8話
他の人の邪魔にならない程度に居るつもりだったが、もう俺は有名人すぎたらしい。校舎から見えないベンチでゆっくりしている。
娯楽が欲しいな。
「暇そうにしているわね。」
今の一瞬で暇が無くなった。
「違うよ、休んでた。」
「暇なんですね。」
クラスメイトの一人の、岡ノ宮さんだ。
「隣座りますね。」
「俺はもう休憩終わったし行こうかな。」
「ついさっきでしたよね。」
見てたのかよ。プライバシーも無いのか。
「待って下さいよ。前みたいにここで二人でお話しませんか?」
瞬時にここから逃げる言葉が思いつかない。それにこれから行く先もない。
「いいよ、」
「ありがとうございます。」
「俺は話すことなんて特にないよ。」
「いいです。だから前みたいに私の話を聞いて下さい」
昔、岡ノ宮さんがこのベンチで泣いてる姿を見つけた。俺はほっとけなくて、話しかけた。
「私、好きな人が居たんです。」
知ってる。前に泣いてた時も失恋だったから。だからそんな話を切り出されると返事に困る。
「その人は、私の為にいつも相談に乗ってくれる優しい人です。」
へー、俺以外にも相談してる人が居たんだ。
「前に失恋した時も相談に乗ってくれました。」
内容も、同じかよ
「いつも優しく相談に乗ってくれる彼が好きになりました。」
俺への当てつけ?嫌味か?お前より、相談に乗ってくれる優しい好きな人が居るって言いたいのか?
「恋人にはなれなくても、いつかは恩返し出来たら、ずっとそう思っています。だから彼が傷つくことがあったら今度は私が相談に乗ってあげようと思ってました。」
「なのにですね。」
一粒の涙が溢れている。
「私はその好きな人を見捨ててしまいました。」
俺以外にもされてる奴が居たのかよ。俺の場合は嵌められたが正しいが
「冤罪を掛けられ、とても傷付いていました。」
俺の時と同じようだな。
「なのに、私は冤罪を掛けられた時、味方をする所か、好きな人の事を信じきれず、冤罪を掛けた人の味方をしてしまいました。」
幾ら前に相談に乗ってたとはいえ、その話を俺にする?
「貴方なら、そんな恩を仇で返す女を好きになれますか?」
急に振ってきたな。
「絶対お断りかな。」
「正直ですね。そうですよね・・・そうですよね。」
岡ノ宮の涙はさっきより溢れている。流石に察した。
「とりあえず、これ使ってよ。」
「ありがとうございます。やっぱりいつも持ち歩いているんですね、ハンカチ。」
半年経っても忘れない習慣。
「また、これ洗ってから返しますから。」
「いや、そのまま上げるよ。」
返して欲しく無いし、前のハンカチは下駄箱に失望しましたと書いてある紙と置いてあった。
「いや、今度こそは、しっかり返します!」
次はラブレター付きで返ってくるのだが、中身を見ずに捨てた
「面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!」
次はラブレター付きで帰ってきて、中身を見ずに捨てる話は今度書きます。
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