70話
「大気、久しぶりじゃないか？こうやってご飯一緒に食べるの」
「・・・」
一緒じゃなくて、一方的だろ。
とりあえず俺は食べることに集中する。
「なぁ大気」
「・・・」
「食べながら良いから聞いてくれ」
「・・・」
「俺はお前を信頼しなくて、あの時一人にしてしまった」
「・・・」
「人生で始めてだよ。あんなに大切な人を失う気分を味わったのは」
「・・・」
「俺はずっと後悔してんだ。あの時から永遠に」
「・・・」
「だから、これからはお前がどんなことがあっても味方する。償いとして・・・元親友として」
「・・・」
そして、林田は土下座する。
「・・・すまない。一生、許されないことをしたことは分かってる。だが、戻りたいんだ。あの時の関係に！！」
「・・・」
「大気！！」
「・・・うるさいなぁ、静かにしてくれ」
「大気！！頼む、許してくれないと俺は俺は」
足の下で男が泣いてる。
「つか、さっきからなんの話をしてるんだ？」
「・・・聞いてなかったのか？？」
「いや、聞いてたぞ。イヤホンとか付けてないし、こんな至近距離で言われたらいやでも耳に入る。」
小学生のやり取りみたい。近くにいるのに、「聞こえてませんー」みたいなやり取りする年じゃない。
「なら・・・答えてくれ」
「だから、さっきからなんの話をしてるんだ？」
「だから、それは」
「はぁ・・・まず、えっと、俺はお前の信頼しなくて、あの時一人にしてしまっただっけ？」
「そうだ。」
「お前が一人にしたんだ。何俺がボッチで構ってほしいみたいな言い方をしてんだ？」
「・・・っ」
「次に、人生で初めてだよ。あんなに大切な人を失う気分を味わったのはだっけ？」
「そうだ。」
「いつのこと言ってんだ？俺は２回裏切られた。それが１回目ならともかく、２回目も裏切り、後悔しても同じだといった結果に出てるぞ。」
「・・・っ」
「あと、許されないって分かってるなら謝るなよ。そもそも最初に席に座る前から嫌だと言ったろ。なんだ、その後に食べながら聞いてくれって、何様だ？」
「俺は、なんとしてでも、元の関係に戻りたくて」
「それって過去をなくすってことか？」
「・・・違うそんな意味じゃない。」
「いや、そう意味だろ。違うなら、どう意味だ。」
「また、親友に戻りってことだ。」
「今までの行いで、よく言えるよなぁ」
「・・・ぁあ、本当に俺が言えた義理じゃないよな、すまない」
そして、自分の席に戻って行った。過去の俺もなんであんな奴と仲良くしたいのだろうか。
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