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赤と黒の輪舞曲~【桜咲く国の姫君】続編・ギルフォードルート~  作者: 咲来青
第6章 睦み合う時

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第13話 嫉妬と甘いキスと

「リア? どうかしたのかい?」

「……先生……」

「――先生?」

「うん。いつもだったら、ちょうど今頃……先生の授業受けてる時間なんだなーってこと、思い出して……」



 ……先生、今何してるんだろ?

 私がいなきゃ、授業も出来ないんだし……一人で暇を持て余してるかな?



「……その『先生』って……もしかして、男?」

「へっ?……あ、うん。そーだけど?」

「…………」


 すう――っとギルの顔から表情が消えて、私の心臓はどくんと跳ね上がる。



 ――マズイ。

 ギルがこんな感じになる時は、決まって……。



「その『先生』は、君と幾つ離れている?」

「――え? 幾つ……って、年齢のこと?……えっと、確か……私と一回りくらい……十一とか、十二くらい上だったと思うけど、それがどーかしたの?」

「十一か十二か……。可能性は充分あるな」

「――は?……可能性……?」


 また妙なこと言い出したなー……とぼんやり眺めてたら、ギルは私の頬を両手で包み込むようにして上向かせ、唐突に、


「リア。やはり今、ここでハッキリさせてくれないか? 君はいつ……私に全てを許してくれる?」


 真剣な声色で訊ねると、私との顔の距離をぐっと縮めて来た。


「……は?……全てを……ゆる……す?」

「そう。今のところ、君が私に許してくれているのは――」


 そう言うと彼は、私の下唇を柔らかく噛んだ。


「なっ――!」


 驚いて声を上げた隙に、するりと彼の舌が口中に入り込み、私の舌先をくすぐって……。


「――んぅ…っ?」


 慌ててギルの肩を押しやり、必死に体を離そうと頑張るけど、どうにもならない。


「ぅん……ん、ん……。……ふぁ……っ」


 ギルの唇と舌の動きに翻弄(ほんろう)され、徐々に体から力が抜けて行く。



 このままじゃ、また……なんにも考えられなくなっちゃう……。

 頭が、真っ白に……なっちゃ……。



 そんなことを思い始めた頃、呆気なく唇が離れ、


「君が私に許してくれているのは、ここまでだろう? 私が訊きたいのは、この先だよ。ここから先へ進むことは、いつ許してくれるんだい?」


 何事もなかったかのような顔で訊ねられ……私はまだぼうっとした頭で、


「……ここ、から……先……?」


 どうにかそれだけ口に出すと、ふらっとギルの腕にもたれかかった。


「リアっ?――どうしたんだい? 大丈夫?」



 ……どう、したんだ――って……。

 あなたが……こんな風に、した……クセに……。



 しばらく目を閉じたままじっとしていると、ギルはふっと笑って、


「……困ったな。ここから先の話をしている時に。……こんなになってしまっては、今日はもう無理かな?」


 そう言ってこめかみ辺りにキスし、ぎゅうっと私を抱き締めた。


「仕方ない。この話は、また次の機会にしようか。シリルの体調の回復のこともあるし……君はもうしばらく、ここにいてくれるんだろう?」



 ……シリル……。

 そうだ、まだシリルは……完全に回復はしてない、から……。



 こくりとうなずくと、ギルは優しく私の頭を撫でて、


「では、まだ時間はたっぷりあるね。もう少しだけゆっくりと……君に受け入れてもらえるように、私も努力するとしよう」


 耳元でささやいてから、それが当然の流れであるかのように、柔らかく耳たぶを噛んだ。


「ひぁ…っ!」


 ゾクッとして、反射的に彼の両肩を力いっぱい押し返す。


「――っと。……ふふっ。目が覚めましたか、お姫様? 今まで夢の中でも漂っていたのかな……?」 


 彼は少しも慌てず私の両手首をつかむと、からかうような笑みを浮かべて、顔を覗き込んで来る。


「……っな、なん……っ! ギ、ギルっ? あなたって、ホントに……ホントっ、にぃ……っ!」

「――ん? 『ホントに』……なに?」

「~~~~~っ!」



 ホントに、この……っ!

 エロ大魔王はぁあああああーーーーーーーッ!!



 今度こそハッキリキッパリ、文句を言ってやらなきゃ――!

 そう思って口を開いたとたん、ノックの音が響き、


「申し訳ございません! 緊急事態ですので、失礼致します!」


 珍しく冷静さを欠いたウォルフさんの声がして、こちらが返事する前にドアが開いた。


「ウォルフ、無礼だぞ! 緊急事態とは、いったい何だ!?」


 苛立ったギルの声にも動じず、ウォルフさんはまっすぐ私達の元へと近寄って来ると、ギルではなく私に向かってこう告げた。


「申し訳ございません、リナリア様。シリル様が……シリル様が、私の部屋から姿を消してしまわれました」

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