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聞かされた言葉

砂煙が舞い煙の向こうで立ち上がる。

その影は2人の影を作り出していた。


「全く、今度は一体誰なんだ?」


呆れた声でクロセルが言うと砂煙の中から煙を散らしながら一本のナイフが飛んできた。

油断していたクロセルだったが剣はクロセルの顔を掠めるだけだった。

またしてもクロセルの顔に傷がつけられた。

煙が散ってその姿を現した。


「彼女から、レイミヤから手を離せ!!」


アランは怒っていた。

自分のせいでまたしてもレイミヤに危険が起こってしまったこと。

レイミヤを守れなかったこと。

自分の力が考えが足りなかったことで今回のことを招いてしまったことを怒り自分を責めていた。

そのすぐ後ろにはアランを運び今にも戦闘できるハーゲンティが戦闘態勢で待機していた。


「貴様といい、この娘といい調子に乗るなよ人間風情が!!」


クロセルも体に怪我を負ったことで怒っていた。

ただ傷を負っただけで怒っただけではない。

自分より格下だと思っていた人間に傷を負わされたことに怒っているのだ。

クロセルもすかさず戦闘態勢を取り直す。

その際に鷲掴みにして引きずっていたレイミヤを放り投げた。

その光景を見てアランは真っすぐクロセルの元に飛び掛かった。

飛び掛かる際にアランは契約していたすべての悪魔を同時召喚をした。


「顕現せよ、フラウロス、アンドロマリウス、オロバス!!

オロバスはレイミヤを頼む!後は俺と一緒に行くぞ!!」


そこからの戦いは長く続いた。

数ではアラン達の方が勝っているのにもかかわらず優勢なのはクロセルの方だった。

理由はアランが全線にいることが大きく影響していた。

アランが前線にいる影響でフラウロス達は魔法の使用に制限がかかっていた。

もし的を外せばアランに当たる可能性や範囲魔法を使用すればアランを巻き込んでしまう可能性もあった。

その点単独のクロセルにとってはそんな制限は一切関係なく魔法を使用していた。

むしろ契約者のアランを集中的に狙っていた。

そうすることでアランの防御にフラウロス達の誰かを向かわせそのすきに攻撃を仕掛ける。

それにクロセルはこけおどしの手も使う。

爆発音や煙など実際には起きていないのにまるで本当に目の前で起きているかのように思わせる。

それでいてそのこけおどしも使い分けての攻撃もしかけてきた。

爆発が本当に起きるのか起きないのか急な選択が迫り戦況はうまくはいかなかった。


「久しぶりに会った仲間だというのにまた人間に仕えているとはな!そんなんだから俺には敵わないのだ!」


その言葉の通りフラウロス達の攻撃は当たれど致命的なものにはなりえなかった。


「おい、小僧!お前がいるせいで戦いにならねえ。どっか引っ込んでろ!」


「ご主人様、フラウロス様の言葉にも一理あります。ここは私たちに任せて後ろに引いてみていてください!」


だがしかし、その声はアランに届くことはなかった。

アランはレイミヤが放り投げられた時に我を失って戦っていた。

いわゆる狂戦士の状態になっている。

血眼になりただクロセルに向かって剣を振りかざす。


「ご主人様落ち着いて!冷静にならないと勝つことなんて不可能です!」


それでもアランには届かなかった。



「さて、あっちはどうやら苦戦しているようだな。」


レイミヤの救助に向かったオロバスはレイミヤのもとにたどり着くと今の戦況を見て大いに笑った。


「ハッハッハッハ!おいおい、なんだよあの戦いっぷり、俺の主なのに全く恥ずかしいもんだ。俺の力を使えばそんな奴なんて一瞬だというのに。おっとその前に、この女の生死を見ないとな。」


オロバスは首元に手を当て脈を確認する。

脈があるのを確認するとまだ気絶しているレイミヤを見てある考えを思いついた。

そして次にすかさずアランの元に向かう。


「お前ら、後は任せたぞ。」


オロバスは暴走するアランを戦線から無理やり離れさせた。

そしてアランの意識を契約の時に使った指輪の中に連れ込んだ。


「ここならまともに話せるだろ?」


「なぜ今俺をここに連れてきたオロバス!お前にはレイミヤを任せたはずだろ!」


アランがそう言うとオロバスの横にレイミヤと契約していたブエルが姿を現せた。

何故ブエルがここにいるのか、本来ならありえないことだ。

それ名のアランの目の前にはブエルがオロバスの横に立っていた。


「なぜ、ブエルがここにいるんだ?お前はレイミヤと一緒のはずだろ。」


「言いたいことはわかるわ。それについてはオロバスが話すからよく聞きなさいよね。」


そしてアランがオロバスに視線を向けると何か思いつめた表情をオロバスはしていた。


「いいかよく聞けよ小僧。

 

    レイミヤは死んだ。」


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