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契約

「ここは俺の家の前?でも、燃えてなくなったはずじゃ。」

アランは燃えてしまった家の前に立ち尽くしていた。

次の瞬間アランの家に炎が上がった。

「なんでまたこの瞬間なんだ。もう見たく無い。こんなの夢だ。」

アランは首を横に振りその場にうずくまった。

‐ザッ、ザッ‐

燃えている方向からまるで何かが近づいてくるような音が聞こえた。

恐る恐るうずくまりながらも顔を上げてみると

「な゛ん゛で゛た゛す゛け゛て゛く゛れ゛な゛か゛っ゛た゛の゛。」

燃えている人がこちらに近づきながらそう言った。

「母ちゃん」

体が燃えていてもアランは燃えている人が母親だとわかった。

じわじわと近づいてくるそれにアランは涙を流しながら、謝った。

「ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい。」

アランの耳元で

「あんたも、燃えればよかったのに。」

その言葉が聞こえると、アランは飛び起きた。

周りを見渡すとそこはロンの家のベッドの上だった。

そこに、水が入った桶を持ってロンが入ってくる。

「アラン、やっと目が覚めたのか、2日も眠ったまんまだったから心配したんだぞ。」

ロンからなぜ自分がベッドの上にいるのか聞いた。

ロンによると、アランが森へと向かった時と同時に町では森に異形の牛が出たと騒ぎになっていたらしい。

騒ぎを聞いたロンは、アランのことを連れ戻そうと森へと向かい探していると、近くで大きな揺れがしたので、揺れがした方へと向かうとアランが走っていくのが見えたのでその後を追ったという。

走ったアランに追いつくと倒れたアランを見つけそのまま背に担いで町に帰ったという。

「近くに豹みたいなやつとムッカはいなかったのか?」

アランはそう聞くと

「・・・いいや、そんな悪魔はいなかったよ。」

「そっか、ならよかった。」

ロンに何もなかったことを確認すると、アランはまた眠りについた。

次の朝

アランは、ムッカとフラウロスが戦った場所へといくと、川は元通りの透明になり、あたりの一部の草が焦げてはいたが、ムッカの死体は無かった。

「ようやくお目覚めか、小僧。」

どこからともなくフラウロスの声が聞こえた。

あたりを見渡してもフラウロスの姿は見えなかった。

「こっちだ、こっち。お前の右手だ。」

そう言われ右手を見てみると宝玉が手にはめ込まれていて、手全体に逆三角形の魔法陣が刻まれていた。

「お前、フラウロスなのか。」

半信半疑で右手に話しかけてみると。

「ああ、そうだよ。その魔法陣のせいで、嘘がつけないフラウロス様だよ。」

不貞腐れながらもそう答えた。

「なんで、俺を助けた。」

小さな声でアランは質問をした。

「ああ?なんだって?」

「なんで、俺の命を助けたと聞いているんだ。」

フラウロスはため息をついてアランに説明した。

「お前が死んでも、契約は続くんだよ。お前と俺とで契約破棄の同意がない限りは一生このままだ。お前が先に死なれては、契約破棄できないで死んだお前から俺は衣装は鳴れることはできないんから実際俺も死んだようなことになっちまうんだよ。」

「破棄だ。」

アランは唐突に言った。

「この契約は破棄だ。」

アランは勢いよくフラウロスに言った。

「それは、無理だ。」

アランの契約破棄の提案にフラウロスは断った。

「なんでだよ。お前だって、俺のことが嫌なんだろ。ならお互いがお互いのことを嫌っているんならこの契約は破棄でいいだろうが。」

アランは自分の家族を殺した炎を使う悪魔と早く離れたかった。

アランは目を涙で濡らしながらフラウロスに訴えた。

「嫌なんだよ、俺はあの時死んでおけばよかった。そうすれば母ちゃんのところへ行けたのに。このまま生きていたっていいことなんてどうせないんだ。それにもしこのままいけば、家族を殺した奴と一緒なんて、まるで生き地獄なんだよ。」

アランは、呼吸をする間もなく言葉を発した。

「なのになんで契約破棄ができないんだよ。」

アランは言いたいことを言えるとしばらく息が上がっていた。

「言いたいことは、それだけか?」

フラウロスはあくびをした後につまらなそうに言った。

その声を聴いたアランは、フラウロスに向かって怒りの言葉を告げようとした瞬間。

「そんなこと、俺の知ったことかよ。第一に言ったよな、家族を殺したのが俺のせいだと?

前にも言ったが、あれはお前が望んだから俺は力を使ったに過ぎない。」

アランは、フラウロスのいう言葉をただただ聞くことしかできなかった。

「それにお前を生かしたのは、別にお前のためなんかじゃない。俺のために生かしたんだよ。

 それに地獄にいる悪魔に向かって地獄を語るなんて2万年早いんだよ。」

アランは、膝から崩れるようにその場所に座り込んだ。

「じゃあ、どうすればいいんだよ。お前みたいな悪魔なんかと一緒に生きていけないよ。」

アランはそう言い終わると目を濡らしていた涙が頬を流れ、地面におちた。

「俺だっていやさ、別のいい人間を見つけたらすぐにでもお前を捨てて、そいつに乗り換えてやる。」

それを聞いたアランは、フラウロスに質問した。

「ほかの人に乗り換えるだって?契約したからもう駄目なんじゃないのかよ。」

フラウロスはめんどくさそうに告げた

「それは、本契約の場合だ、今までやってきた契約はすべて仮契約上のものに過ぎない。

 あと、そういえばムッカって言ってたっけ?あの中にいた悪魔なんだが、

 まだ生きてるぞ。」

驚いたアランはどういうことなのか聞こうとすると、町の方で大きな音が聞こえてきた。

町のほうへと目を向けると、黒煙が町がある方向から上っているのが見えた。








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