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迫る炎

「さすがのあいつでもこのおいらの逃げ足については来られないだろう。」

ドゥルーは時折後ろを確認しながら枝から枝へと飛び移っていた。

「それにしても変な奴に目を点けられたもんだな。ただの見張りのはずがこんな目に合うなんてあいつからは報酬を上乗せしてもらわないとな。」

ドゥルーは一人小さな声で話しているとフラウロスから逃げてきた方からオレンジ色の光が光った。

ドゥルーは光を見ると正体を探るため足を止めた。

「なんだ?あの光は?」

眼を細くしながら顔を前に少し突き出しドゥルーは光の正体を確認した。

「な、なんだあれは!?」

ドゥルーは光の正体を確認すると額から汗が流れた。

光の正体は小さいボールサイズの炎を玉だった。

炎を玉が通った後には枝や葉が焦げた跡が残っていた。

炎を玉はものすごい速さでドゥルーに迫ってきていた。

ドゥル―はすでにフラウロスからは既に姿が見えないほど離れていた。

それなのに炎の玉は動いていたドゥル―に追いつく速度で迫ってきていた。

ドゥル―は炎を玉を見るとすぐさまその場を離れた。

先ほどよりも素早く逃げるためにドゥル―は枝から降りて地面に足をついて走った。

枝と枝とを飛ぶよりも地面を走った方が各段に速さが上がったが炎を玉はそれでも徐々にドゥル―に近づいていた。

「くそっ!!なんだよあれは。なんで俺の速さについてこれるんだ!!どんなに走っても振り切れない。それにどんどん近づいてきやがる。いったい何だってんだ!!」

ドゥル―は大きな声で声を荒げながら文句を言い走った。

それでも炎を引き離すことはできなかった。

ドゥル―は無我夢中になりながらも走っていると地面から出っ張っている木の根に足を躓き転んだ。

グッ!

ドゥル―は頭から地面に激突した。

頭からは血が流れドゥル―は地面にうつぶせになりながら倒れた。

服に泥が付き汚れ右足の靴が脱げ派手に倒れた。

ドゥル―は痛みに耐えながら震える腕で身を起こし後ろを振り返ると炎の玉が迫ってきていた。

「くそったれが。」

あきらめたドゥル―が炎の玉を見ながらつぶやくと炎の玉はドゥル―に当たった。

玉が当たるとドゥル―の全身が炎に包まれた。

ドゥァアアア!!

静かな夜の森にドゥル―の悲鳴が響いた。

「よっしゃ命中!!さすが俺様腕は落ちてないようだな。」

小さなドゥル―の悲鳴がフラウロスの聞こえるとフラウロスは玉が当たったことに喜んだ。

「さてと、殺さない程度に調整したはずだからまだ生きてるはずだから回収して小僧に突き出すとするか。」

喜びに浸りながらフラウロスは炎の球が通った後にできた焦げ跡をたどって走り出した。

「いたいた、よかったまだ生きてるみたいだな。」

フラウロスが到着するとそこには体の一部が焼け服にはまだ火が付いているドゥル―の姿があった。

ドゥル―は辛うじて息をしている程度だった。

「こりゃあ、少しやりすぎたか?ま、生きているから何とかなるだろ。」

フラウロスはドゥル―に近づき片手で持ち上げ肩に乗せてアランがいる方へと戻っていった。

「そういやぁ、200メートル以上離れられないとかハーゲンティが言っていた気がするが今それ以上離れているよな?どうなってるんだ?」

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