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犯人

城の中は、明かりがなくまだからの入る月明かりだけが城の中を照らしていた。

アランとレイミヤは城の中を進んでいくが誰の姿も無く、何の音も聞こえなかった。

アラン達の足音だけが響いていた。

「皆さん眠っていらっしゃるのでしょうか?」

レイミヤがそう言うとどこからともなく足音が聞こえてきた。

「シッ!何か聞こえる。レイミヤさんナイフを構えていてください。」

アランはレイミヤの肩を抑え二人は歩くのをやめた。

足音は二人に向かって歩いてきていた。

月明かりが歩いてきていた人の姿を照らした。

そこにいたのはカールだった。

「な、なんでお前がここにいるんだ!お前は兵士につかまっているはずじゃないのか。」

カールはアランの姿を見て指さした。

「カール、お前に聞きたいことがある!!」

アランはカールの元に歩き出すとカールはアランに背を向け走り出した。

「待て、カール!!」

カールが走った後をアランとレイミヤが追いかけた。

カールとの距離は縮まることはなくカールはある部屋の中へと入っていった。

アランもその後を追って部屋の中に入った。

部屋は暗く遠くに一本のロウソクに火がついていた。

アランはロウソクの元へと歩き始めた。

「カール!いるのはわかっているんだぞ。早く出てこい!」

「おい小僧、今すぐ俺をだせ。」

「お前がやったら殺しちまうだろ。」

ロウソクに近づくと人の腕が見えた。

アランは走って見えた腕をつかんだ。

「捕まえたぞカール。」

アランはロウソクの火が届くところまで腕を引っ張った。

だがしかしその腕はカールの物ではなかった。

現われたのはアトだった。

「アラン君、痛いわよ!」

アランはすかさず手を離した。

「ごめんなさい、カールかと思って。」

レイミヤはロウソクを持ち部屋にあるほかのろうそくに火を点け始めた。

「カールになんで濡れ衣を着せられたのか聞きに来たんでしょ?」

あとは火を点けながら話し始めた。

「ええ、そうです。カールが俺たちにドーボさんを殺した濡れ衣を着せたんです。それで・・・」

「カールを尋ねるためにこの城に入ってきてカールを見つけけれどもカールは逃げた。カールを追ってこの部屋に入ってきたのよね?」

「確かにそうです。それで、カールはどこにいますか?」

後の話にレイミヤは疑問を覚えた。

「ちょっと待ってください。確かにカールさんを追ってこの部屋に入ってきましたけれど、どうして私たちが濡れ衣を着せられていることを知っているんですか?」

「カールを探しているのよね。カールはここよ。」

アトがロウソクを点けるとカールが倒れていた。

「カールはひどいわよね。私が行ったことすら守れないのよ。あなたたちのことを逐一報告しろといったのにドーボから何をもらったのかすら聞きだせなかったの。だから私直々に彼女の元に行き彼女に中身を聞いたわ。そして彼女を殺めた。この手で。カールにはあの女の処理を任せたわ。そして、カールにあなたたちを連れてくるように言ったの。そしたら、自分の力じゃなく他人の力を使ってあなたたちを連れてこようとした。そのせいで予想よりも早くあなたたちが来ることになってしまったわ。」

アトはカールを踏みつけながら話していた。

「カールがなぜ俺たちに荷物をもらったことを知っていたのは?」

「それは私が教えたの。「何かもらうから中身を聞きなさい」と。でも聞き出すことはできなかったけど。」

「本当にアトさんがドーボさんを殺したのですか?」

「ええそうよ、二度も言わせないでよ。でもそんなことはもうどうでもいい。」

アトは腕を横に広げ笑った。

「あなたたちはこうして来てくれた。もうすぐまた、私の平和が戻ってくる。」

アトがそう言うと窓を突き破って一匹の馬が入ってきた。

「その馬は!!」

「小僧今すぐ俺たちを出せ!!」

「主様急いでください!!」

「坊主誰でもいいから一人でも出すんだ!!」

悪魔の三人が召喚するようにアランに言ったがアランは動けなかった。

この馬こそアランが千里眼で観た馬だった。

「あら、覚えていたの?この子が教えてくれたのよあなたが私のことを襲いに来るって。」

馬の形が徐々にに変わっていった。

体格は縮んで四足で立っていた馬は人のように二足に立ち上がった。

前足は人の手にように五本指に変わった。

突然馬を風が包み姿が見えなくなった。

風はすぐに消え姿があらわになった。

羽がついた帽子をかぶり、前が開いた服を着てズボンをはいていて、片手剣を待っていた。

大きさも直立して180㎝程度になっていて、上半身は人間に変わっていた。

「我はオロバス。地獄の偉大なる君主である。」

その者の圧は凄まじかった。

今まであってきた悪魔とは比較にならないほどの圧を感じていた。

「そこの人間。早く同族を出すがいい。」

アランはオロバスに言われるがまま悪魔を召喚した。

「ソロモン72柱の悪魔のうちの一人、地獄の侯爵フラウロス、伯爵アンドロマリウス、総裁ハーゲンティよ、我が名の元に汝らに命じる我が召喚に応じ、今ここに顕現せよ。」

召喚されると悪魔の三人はすぐさま戦闘態勢に入った。

「おいおい、久しぶりの再会じゃないか少しは落ち着け、よ!!」

オロバスは剣を一振りした。

剣を振ったあと部屋の中に突風が吹いた。

フラウロスが、アンドロマリウス、ハーゲンティは腕で顔を隠し風に耐えていた。

アランとレ立っていられず地面に伏せてようやく耐えることができた。

部屋にあったロウソクは消え、窓ガラスはすべて割られていた。

「どうだ?話す気になったか?」

フラウロスは歯ぎしりをしていた。

フラウロスは両手に炎を出し、ハーゲンティは翼を広げ、アンドロマリウスは腕の蛇をオロバスに向けた。

「全く血気盛んな奴らだ。どれ、軽い運動でもするかな。っとその前に傷が癒されては厄介だな、スパーダバーラ!!」

オロバスはレイミヤに向けて剣を振った。

剣からは斬撃が飛んで行った。

斬撃は一瞬でレイミヤの元に届いた。

レイミヤは持っていたナイフで防ごうとしたがナイフが折れレイミヤは吹き飛ばされた。

あまりの速さにアランは反応できなかった。

「レイミヤ――!!」

アランはレイミヤに駆けつけようとしたが目の前を斬撃が通り行く手を阻んだ。

「そうはさせない。」

オロバスがアランの前方にもう一度斬撃を放っていた。

「この野郎!!」

フラウロスが飛び掛かりオロバスに炎を当てた。

「どうだ!!」

オロバスの肌は黒く焦げていた。

「ふむ、さすがに熱いな。」

オロバスは肌が焦げたのに何ともなさそうだった。

「まだまだ!!」

もう一度フラウロスが炎を当てようとしたが

「スパーダバーラ!!」

オロバスはフラウロスに斬撃を飛ばした。

フラウロス斬撃を食らい壁にめり込んだ。

すかさずハーゲンティが飛び落下しながら突進した。

オロバスはハーゲンティの攻撃を片手で止めた。

「そんな馬鹿な!」

オロバスはハーゲンティの角をつかみ壁に放り投げた。

ハーゲンティは壁にぶつかり床に落ちた。

オロバスの手に三匹の蛇が噛みついた。

「猛毒の味はどうだ!」

オロバスはもう一方の腕で蛇を引き抜き噛まれた腕でアンドロマリウスの首につかみかかった。

「猛毒は苦しいが、こっちの方も苦しいだろ?」

オロバスはアンドロマリウスの首を絞めた。

もがくアンドロマリウスを放り投げた。

悪魔三体をいとも簡単に退けた。

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