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オンバス

アラン達は荷台に揺られながらオンバスを目指した。

「オンバスまでは後一日で付きますからねー。」

アランは夫婦を仲良くなり旅は二人の時よりもより一層楽しいものになった。

夫の名前はカール妻の名前はアトというらしい。

「そういえば、私たちを助けた前日にですねものすごいものを見たのよ。」

アトがアラン達に道中で起きたことを話してくれていると、

「実はね、私たちが森の前を進んでいると森の中から大きな轟音とともに煙が上がっているのを発見したの。

それで気になって近くに寄ってみるとチェルヴァっていう動物が煙の方から逃げてきたの。普段なら襲ってくるはずなのに私たちのことを無視して通り過ぎたの。それで恐る恐るその場所に近づくと一直線に燃えた後があったの。その長さはとても長かったわ。燃えている近くにはチェルヴァと思われる角の一部が落ちてたの。

恐らく強大な力を持つ魔物がチェルヴァを襲った後だと私は思うのよ。その魔物は一瞬にしてチェルヴァの群れを消し炭にしたのよだからチェルヴァも逃げ出したんだとわかったわ。どう?すごいと思わない?」

「え、ええ確かにすごいですね。」

「そ、そうですね。」

アランとレイミヤはその犯人を知っているため微妙な反応をした。

「もう、なによ。急に元気がなくなって。何、もしかして何か知っているの?」

アトは興奮した様子でアランに詰めよった。

「い、いや知っているというかなんというか。」

「ごめんね、アト動物とかのことになると目の色が変わるんだよ。生粋の生物好きでね。変人だと思わないでくれよ。」

カールは手綱を握りながら荷台のにいるアランたちに言った。

「もうなによカール、そんなこと言うから余計に変人だと思われるじゃない。」

たわいもない会話をしながらの旅路が続いていた。

そしてようやく城門が見えてきた。

「お、アランさんレイミヤさん見えましたよあれがオンバスです。」

そう言ってアランとレイミヤは身を乗り出し外を見た。

見えたものはアランが見た城門そのものだった。

「やっぱり間違いじゃなかった。」

オンバスは門が四方に一つずつあり国を囲う壁は平坦なものだった。

「カールさん、一つ聞きたいんだけどオンバスで悪魔とかの話はあったりする?」

アランは城門に着く前に悪魔のことについて聞いた。

「悪魔?そんなのいるわけがないでしょ。とにかくオンバスには悪魔なんていないよ。冗談がうまいなアランは、確かに王のしたことは町を離れたりする者にとっては悪魔の所業かもしれないけど、王が自分を守るためと思えば納得はできるかな。」

そうこうしているうちに馬車は城門まで到着した。

「そこの馬車止まれ。」

兵士がカールの馬車を止め寄ってきた。

「なんだ、カールか。今回はよく売れたか?後ろに乗っているのは?」

兵士とカールはどうやら仲がいいらしい。

「ああ今回もいつも通りしっかり儲けたよ。後ろに乗っているのは僕たちの命の恩人だよ。盗賊に襲われているのを助けてくれたんだ。」

「そうか、危険そうな人ではないらしいな。旅人よ、カールを助けてくれてありがとな。じゃあな、カールまたいつか一緒に飲もうな!」

兵士は馬車を町に入れてくれた。

「カールお酒はやめたんじゃなかったの!?」

アトがカールの頬をつねりながら言った。

「痛い痛い!。僕はお酒は飲んでないよ、あいつだけがお酒を飲んでるんだよ。」

「どうだかね。」

「もう、信じてくれよ。」

アランとレイミヤは二人の様子を見て笑った。

「そうだ、アラン君この町の宿まで連れて行くからもう少し待ってね。」

そう言ってカールは町の中を馬車で進んだ。

「着いたよここがこの町の宿、暁の宿だよ」

カールにあんなにされた場所は横に8部屋縦に5部屋の3階建ての大きな宿だった。

「アトちょっとここで荷物を見てて。じゃあ、アランさん行きましょう。」

そう言ってアランは荷台から下りると建物の豪華さに圧倒された。

アランは子袋にあるお金の数を数えた。

「アランさん、どうしたんですか?」

レイミヤが顔を下げたアランの顔を覗き込んだ。

「い、いや何でもないよ、大丈夫。」

心なしかアランの顔は白くなっていた。

「何してるんだい?行くよアラン。」

カールは腕を振りアランを呼んだ。

中に入ると高そうな置物が多く飾られていた。

「やあ、キャス。お客を連れてきたよ。」

カールは受付の人に気さくに話しかけた。

「あら、カールじゃない。あなたがお客を連れてくるなんて珍しいわね。」

受付は紙に何か記していたがペンを止めカールと話した。

「ああ、実は彼らは僕の命の恩人でね、盗賊に襲われていたところを助けてくれたんだよ。」

「それはよかったじゃない。怪我は無かったの?」

「怪我は彼女が治してくれてね。」

「あなたってホント運がいいわね。」

「全くだよ。それで、彼らをここに止めてほしいんだけど。二人分だといくらになるかな?」

「いいわよ、あなたには以前ひいきにしてもらったからね。お金なんていらないわ。好きなだけ止まるといいわ。ただし、その代わり少し安くして物を売って頂戴ね。」

受付は、持っていたペンをカールに向けいった。

「本当に!?彼らのためになるならお安いもんだよ。後々じゃあ来るよ。」

カールは聞いた途端顔がにやけた。

「そうしてくれるありがたいわ。はい、これ鍵ね。一応言っておくけど、朝昼晩でご飯は出るからね。」

「ああ、分かったよ。ありがとう。」

カールはカギを受け取り足早にアランの元に向かった。

「聞いてくれアラン、ここに好きなだけ止まっていいってさ、タダで。」

それを聞いたアランは話を信じられなかった。

「本当に!?」

「ああ、よかったな。」

アランとカールはロビーの真ん中で抱き着いた。

「ほら、これが部屋のカギだ。朝昼晩とごはんが出るらしいからね。それじゃあ、僕はもう行くよ。アトを待たせているからね。ゆっくりしていくんだよ。」

「本当にありがとう!!」

カールは軽く手を振り馬車に戻っていった。

アランとレイミヤは渡された鍵の部屋に向かった。

「アランさん、本当にここなの?」

レイミヤがアランに聞いたのも無理はない。

何故なら二人が立っていたのは普通の部屋のドアとはまるで雰囲気が違う部屋だった。ドアは両開きのドアで色は赤く染まっていた。

だがしかし、カギは確かにこの部屋の物だった。

「開かなければ違う部屋だよ。試しにやってみよ。」

そう言ってアランは鍵穴にカギを挿しまわした。

‐ガチャ‐

アランレイミヤはカギが開いたときに顔を向き合わせ前へと戻した。

扉を開け部屋に入るとそれはとても豪勢な部屋だった。

部屋にはお風呂があり部屋の壁の一片は一面鏡張りだった。

暖炉もあり、部屋の中心にはテーブルの上に果物が置かれていた。

二人は寝室に向かうとアランは顔を隠しレイミヤは下を向き顔を赤らめた。

ベッドはシングルが二つではなく、クイーンベッドだった。



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