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アランの動揺

アランは見惚れていた。

「なんだよこれ、なんだよこの気持ちは、こんなにかわいい子俺の町にはいなかったぞ。目が見えなくてもかわいいって思えるってなんだよ。はーなにこれ。」

心の中では滅茶苦茶に動揺していたが表には一切出さずアランは

「ドウモ、ハジメマシテアランデス。」

固まっていた。

ーやばいやばい何を話せばいいんだ、どうするどうするどうするどうするー

「天気いいっすねー。」

アランから語彙力が無くなった。

「え?ああ、そうですね。」

レイミヤは苦笑いで答えた。

アランの最初の話での接触は失敗した。

「本日はどう言った御用ですか。」

レイミヤがアランに尋ねた。

「あー、先日、あの運ばれてきましたですね、その男の人はどうしたのかと思いましてですね。」

アランは教会に来た目的を話すとレイミヤの眉がピクリと動いた。

「・・・あの人なら本日の早朝に治療が終わり帰りましたよ。」

一瞬の沈黙があったがれいみやがこたえたがアランは気にしなかった。

レイミヤに見惚れていたから。

「そうですか、ところでその目に巻いているものは何ですか?それと好きな人はいますか?」

アランは運ばれてきた男性のことを軽く聞くとレイミヤのことを今度は聞き始めた。

「立ち話もなんですからどこかで座りながら話しませんか?」

レイミヤが提案するとアランは落ち着いてきた気持ちがまた爆発した。

「あ、はい。」

アランは周りを見て座れる場所を急いで探してレイミヤを案内した。

「それで、この目の事でしたね。この目は今は何も見えないのです。いつからでしょうかある日を境に何も見えなくなってしまったのです。夢の中で誰かと話していて起きたら何も見えなくなっていました。この布はファッションのようなものですかね。」

レイミヤが目のことについて話した。好きな人のことについての質問には無視をした。

「そのようなことになってしまって、大変でしたでしょう。急に何も見えなくなってお辛いでしょうに。」

アランがレイミヤの目のことについて同情した。

「そうですね、普通に見たら不便なことかもしれません。

でも、そのおかげで、新しい友人を得ることができましたから。

全てが不便というわけでもありません。」

アランとレイミヤが話していると、レイミヤはいきなり誰かに呼ばれたように顔を勢いよく上げた。

その顔は嬉しそうだった。

「すいません、急用を思い出したのでこれで失礼します。」

アランはレイミヤが去ってしまうことに悲しかったが、レイミヤと別れた最後に

「レイミヤさん、あの、」

アランは去っていくレイミヤを止め聞いた。

「好きな人はいますか?」

レイミヤは振り返り笑顔で振り返ると

「秘密です。」

そう言ってレイミヤは去っていった。

アランは頭をもんもんとしながらブラウン亭に帰っていった。

「お前あの娘に何も感じなかったのか?」

部屋のベッドで横になっているとフラウロスが聞いてきた。

「何を言っているんだよ、何も感じないわけないだろ。」

アランが深刻そうに答えた。

「あの人は、とてつもなくかわいいだろ。」

アランは決め顔でフラウロスに答えた。

「あほ。」

そういうとフラウロスはその日口を開かなくなった。

「おいなんだよ、かわいいだろあの子。」


その日の夜。

「なあ、ダン聞いたか。昨日教会に運ばれたやつ今日の今朝もう直って仕事に復帰したらしいぞ。

あの聖女様は本当にすごいよな。」

ダンと仕事仲間は今日は町の見回りの仕事をしていた。

「ああ、そうだな。俺も聖女様のお世話になってみたいものだぜ。

じゃあ、俺はこっち行くからお前はそっち頼んだぞ。」

「ああ、わかったよ。」

ダンと仕事仲間は左右に分かれた道で一人一人に分かれた。

ダンは一人薄暗い道を進んでいた。

そこはゴミが落ちて不衛生なところだった。

「ああ、こんなところよりももっといいところに行きたいな。」

ダンがひとり呟いていると、ダンの後ろに人影が現れた。

ダンは気づき後ろを振り向き槍を構えた。

「誰だ!?」

だがそこには誰もいなかった。

「なんだ気のせいか。」

ダンは一息ついて武器を持ち直し前を振り返った。

「あなた、いいところに行きたいのですって?」

いきなりダンの目の前に黒いマントの女性が現れた。

ダンは驚きその場でしりもち付いた。

「なんだ、お前は。」

アランがそう聞くと黒いマントから両腕とは別に五本の腕が出てきた。

「あなたをいいところに連れていくものよ。」

次の瞬間ダンは血を流して倒れていた。

「そろそろ潮時かしらね。」


翌日アランはレイミヤに会いに行くために朝早く教会へと向かった。

「主様、フラウロス様の言葉をよく聞いておいた方がいいですよ。」

教会に向かう途中でハーゲンティがアランに助言をした。

「なんだっていうんだよ。」

「ですから、フラウロス様が言いたかったのはあの娘は・・」

そうこうしている間に教会についたアランが扉を開けてようとすると扉が開いた。

アランは一歩下がり中から出てくる人をだした。

「おいおい一体どういうことだよ。」

中から出てきたのは治療を終えたがまだ寝たきりのダンだった。

ダンはこれから、療養所に運ばれるようだ。

アランはダンを見て駆け寄った。

「おい、ダン何があったんだよ。しっかりしろよ。」

アランは運ばれるダンから離された。

「君、怪我人から離れて。」

アランは、事情を聴いた。

「昨日の夜中に襲われたらしいんだが見つかったのが遅くってね、でも何とかギリギリのところで助かったのだが、まだ意識だけは戻らないんだよ。もし面会を求めるならまた後で来てくれ。」

アランはその日は教会の中には入らず、ダンのそばにいた。

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