「89話 1人旅 」
少しだけ余裕ができたので1話分投稿します!
いつも見てくださってありがとうございます"(-""-)"
2021/02/24 眷属たちの通話する順番を修正しました。
皆とお別れパーティーで盛り上がった後、二日酔いに悩まされながらも無事に長期にわたる旅の準備を終えた私はついに王都を旅立った。
準備をするとき、わたあめの調子を見に行ったらわたあめがなんか増えてた。
どうやら結局仲間も読んだらしい。
「酔ってけっとしー」はもはやわたあめの種族、プラウドベビーウルフに侵略されたといっても過言ではないだろう。
あれじゃあ犬カフェだよ...猫じゃないよ....。
王都の東門から外に出て、まずは港へ向かう私。
1人で冒険をするのは久しぶり、というか最初この世界に来てからぶりだった。
「あっ」
そういえば眷属達に長い間連絡を取っていなかった。
でも常にみんなと一緒だったし、1人になるタイミングなんて家の個室しかない。
眷属達と会話してるときに誰かが部屋に来て見られたら、言い訳なんて思いつきそうもなかったのでずっと連絡していなかったのだ。
それが当たり前になっちゃったからそのまま忘れてたんだけど....。
「確かあっちからは他の人通して見れるんだっけ...うわっ!!」
私がチャットと着信履歴を脳内で確認すると、そこには恐ろしい数のメッセージと着信履歴が。
チャットはもう1000件くらい溜まっていて、着信履歴は100件を超えていた。
ああ、連絡するのが怖い。
かといって連絡しないわけにもいかないので私は腹をくくって一番まともそうなヒュムへと電話した。
「<映像通信>ライブチャット」
ワンコールもしないうちに通話が繋がり、目の前に半透明な画面が現れ、ヒュムが映し出された。
『ミウシア、はぁ、やっとかけてきたか。王都での戦いを見ていたぞ、ひやひやさせてくれる....。』
光沢のある綺麗な黒い長髪、整った顔立ちに似合う眼鏡をかけたヒュムが片手を頭に当てて首を振る。
王都の闘い、ああ...あれを見てたら確かにひやひやしただろうね...。
「ごめん、他の仲間もいる手前連絡できなかったんだよ。あの時はヤバかったよねぇ~。」
『...まぁ無事ならいい。他の眷属達も心配していたぞ、ルニアなんて自分は神なのに泣きながら神に祈っていた位だ。』
あちゃー、そこまで心配されてたか....でも一応冒険者として魔物と戦ってるからこれからもそういう場面があるかもしれないし、いちいちそこまで反応されたら申し訳ないよ。
「そっかぁ、後で皆にも話してみるね。」
『頼む。というよりこれからしばらくは一人なのだろう?もし可能ならこの期間中でなるべく眷属達と話してくれないか?...皆ミウシアと話したくてストレスが溜まっているんだ、神になってもストレスは感じるものなのだな。』
私が生みの親なのに全く構わず放置しっぱなしだったもんね、私も1人は寂しいし、通話しっぱなしで一日一人ずつ話しかけて行こうかな。
「そしたら、一日一人とずーっと通話することにするよ。私もずっと誰かといたのに今は1人で寂しいし。」
そう言うとヒュムはニヒルにフッと笑みをこぼした。
それがどれくらいの笑いなのかわかんなかったけど喜んでる、でいいんだよね?
『助かる。それならこちらで順番を決めて私達から話しかける。ミウシアは待っててくれ』
「りょーかい!じゃあ明日からお願い!」
通話を切って港に向けて歩き出す。
もし見られたらマズいからビデオ通話はできないけど、通話になるのかな~。
....あれ?通話だとしてもはたから見たらずっと独り言いってるヤバい奴にならない?
人がいるところでは一方的に話してもらうことになりそうだな。
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SIDE:シーア
なんと!!ミウちゃんからやっと連絡があったんだって!
ヒュー兄が言ってた。ヒュー兄って普段クールな感じにしてるけどミウちゃんが連絡してきてくれたのが嬉しかったのか、口元がずっとにやにやしてたにゃー。
「...というわけだ。ミウシアの修行を邪魔しないように皆気を付けてくれ。」
いつものように円卓んに5人皆座って話し合いが始まっていつも通りヒュー兄が説明してくれた。
「あたしは何番目でもいいわよ、どっちにしろミウシアと話ができるんだもの。」
「では私が1番目ということで~。」
ウォルちゃんが話し終わる前にルー姉が立ち上がって手を上げる。
ルー姉は相変わらずおっぱいでかいにゃー。
猫だった前世ではわからにゃかったけど、こうやって知識を持って人間になってから色々理解したんだよね。
その一つが人間のおっぱい。猫だったころは人間を見ても気にならなかったけど二つしかにゃいんだにゃー。
猫よりも人間のほうが邪魔そう。シーアはちっちゃくて安心したにゃあ。
「ではその次は私でもいいか?」
「はいはい!じゃートラちゃんの次シーアね!」
次はトラちゃん、シーアはそのつぎ。
トラちゃんは一時期落ち込んでいたけど最近はとっても元気!
自分のアバターが今どうしてるかが気になってずっと湖で地上の様子を見てる。
それと同時に横にミウちゃんの画面出して同時に確認してるのは器用だなぁって思う。
寝っ転がってルー姉の作ったお菓子食べながら湖に熱中してる姿はリラックスできてて安心したにゃあ。
「では私が4番目。その次がウォルフでいいか?」
「いいわよ、それにしてもやっとミウシアとゆっくり話せるわねー。」
.....シーアが言わないとダメ?でも皆全く気にしてないというか意図的に話題に上げないような....。
そろそろ触れてあげないとかわいそうだよね....。
「あ、あのー、ジアおじちゃんは....」
シーアがおそるおそる手を上げてジアおじちゃんについて話すと皆ガタッと立ち上がり怖い顔になった。
「あの阿呆のせいでミウシアが危うく死にかけたのだぞ...しばらく地の下で眠っていてもらおう。」
「そうよ、馬鹿ジアが自分のアバターを戦闘狂にしなければあそこでミウシアが苦戦することだってなかったんだから。」
「ジ....ア....?どちらさまでしたっけ?」
「私もあまり人のことは言えないのだがな。ミウシア教官を直接傷つけたとなると話は別。眷属の風上にも置けん。彼奴の脳から筋肉が無くなるまでは地に埋めておこうではないか。」
まー、シーアも当初はジアおじちゃんに怒って皆で地面に埋めちゃうの手伝ったんだけどにゃ~。
今ではちょみっとやりすぎだったかかもって思ってる、けど皆はまだおこおこみたい。
「タ....タス....」
皆の怒りが収まるまで我慢にゃ。
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SIDE:ミウシア
港につくと桟橋に船が何隻も止まっているのが見えた。
おそらく王都に避難してきた人たちなんだろう。
魔物達...魔族が王都の占領が目的というよりは、人間達を滅ぼそうとしているために魔族が手あたり次第人間達を襲う可能性がある。
それを王が発表したために結界が貼られている王都に集合しているんだろうけどこの量の船を見ることはなかなかないなぁ。
ちなみに仮に結界を突破された時の最終手段として結界石は王に渡すことになった。
あれでどの程度の人が逃げることができるかわからないけど、無いよりはましだ。
港には見る限り兵士らしき人と船乗りっぽい見た目をした人が数人いた。
一応王城の関係者がいれば船に乗れるはずだけど、こういう知らない人に話しかけに行くのは緊張するなぁ。
船乗りっぽい人と話している兵士は忙しそうなので、武器をしまって海の方を眺めて暇そうにしている兵士に声をかけることにした。
「あの、すみません。王城の兵士の方ですか?」
後ろから声をかけると兵士はわたわたと慌てながらこちらを振り返えり、気を付けの姿勢をとった。
鎧はがっつりと着こなしているけど、ここら辺は魔物もいなくて安全だからか、頭には何も被っていない。
兵士は20代前半位の金髪ショートの美人、表情が硬く緊張してそうなことからまだ新人かもしれない。
「どっ、どうされました?....もしかしてミウシア様でしょうか?」
「はい!えと、コレ見せたら証明になりますか?」
指輪が見えるように兵士に向けて指を出した。
「お、お待ちしておりました、ミウシア様!私は東の大陸まで案内させていただくディーナ・コンパスと申します!」
「よろしくお願いします。ミウシアです。」
ガッチガチに緊張していて冷や汗も掻いている。
このままだとやりづらいしディーナさんも疲れちゃうよね。
「ディーナさん、私はただの冒険者ですので畏まらないでください。王からの補助はありますが、本当にただの冒険者なんです。」
「しかし...いえ、わかりました。よろしくお願いします。ミウシアさん。」
兵士の中から多分新米兵士であろうディーナさんが選ばれたのは何か理由があるんだろうけど、そのせいで凄い緊張していたので言い淀んだ時にじーっと見つめたら少し話し方も軽くしてくれた。
ゆっくり緊張をほぐしてあげよう。
「ディーナさん、ところでほかの乗船員の方はどちらに?」
「ええとですね、乗るのは私とミウシアさんだけなんです。でも船の操縦は任せてください。私こう見えても父が船乗りで船の操縦は小さい頃からさせてもらってましたから。」
両手を腰において胸を張るディーナさん。
だ、大丈夫なのかな....。
まぁファンタジーの世界だし女性一人で船を取り持つこともあるのかもしれない。
そういうモノだと割り切って考えよう。
「わかりました。頼っちゃいますね!」
「...っ!...へへへ。じゃあ早速案内します!」
あんまり頼られたことないのか、ディーナさんが満面の笑みで船へと案内してくれる。
案内された船のサイズは中くらいの木製の船に、小さな小屋を乗せたようなものだった。
デザインは一般的な木製の船って感じかな。
前に乗った船よりも小さいけど乗るのが二人だけって考えたら広いのかも。
「こちらから上がってください...っと、足元気を付けてくださいね。」
ディーナさんが船にかかった木の板を使って先に船に乗り、振り返って私を気にしてくれる。
冒険者として沢山敵と戦って、鍛えた私にとって気を付けるまでもないんだけど、気遣ってくれること自体が嬉しかった。
船の中心には小屋のような建物があり、船の先端部には船を操るハンドルのようなものがあった。
ディーナさんに聞いたところ、この船はマナを動力として動くらしく、ハンドルにマナを込めながら操作することで船を操ることができるらしい。
小屋の中は身を休めるような個室になっていて、私が自由に使っていいらしい。
ディーナさんはというとこの船の船内にもある個室を使うらしく、小屋部分は客室扱いにしているらしい。
個室に入ると食料の入った箱とベッドが置いてあるだけの質素な造りだった。
「まー、こんなもんだよね。これは...なんだろう?アボカド??割と匂いがきついなあ。」
箱の中には茶色く、光沢のあるつるつるとしたアボカドのような見たことのない果物がたくさん入っていて、発酵?しているような匂いを漂わせていた。
腐ってる...わけでは無いよね?
「解析<アナライズ>」
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名称:ワーニル
品質:B
説明:暖かい地域に生息している果実。そのままでは硬くて食べることはできないが、発酵させると濃厚な甘みとねっとりとした果肉が人々を魅了している。
補足:発酵が進みアルコール成分が発生している。
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「アルコール!!!」
まさかのお酒の実!!!
果実酒というか酒果実だ!食べたい!!!
一つ手に取ってみるとフニフニと柔らかく弾力もある。
「コンコン、ミウシアさんお部屋どうですか?あ、ワニール。ミウシアさんお好きですか?」
突如、ディーナさんに後ろから声をかけられる。
「いえ、食べたことが無いんですよね。この匂いは発酵させているんですか?」
「そうなんです。水分の多い食べ物は腐るのが早いんですが、発酵させてしまえば長持ちするんですよね。船乗りにワニール!よく父が言っていました。ミウシアさんはアルコール平気ですか?」
ワニールを顔の横に持ってきて笑顔を浮かべるディーナさん。
なんだかそういうCMみたいで可愛い。
「お酒は大好きです!」
「じゃあ早く船を走らせて安定させてきますね!そしたらワニール少しだけ食べちゃいましょう。」
では!といってディーナさんがトタトタと部屋を出て行ったあと、船が何度か揺れて動き出した。
船が動き出してからの揺れはほぼ無く、船の性能が高いことを感じた。
ベッドに座りながら眷属達のことが気になりチャットを確認してみると、ヒュムからの報告が来ていた。
ヒュム:通話をする順番はルニア→デストラ→シーア→私→ウォルフになった。明日からよろしく頼む。
ミウシア:あれ?ジアは?
ヒュム:ジアは体調が優れぬようなので寝ている。
ミウシア:そっか、わかった。お大事にって言っといて~。
眷属でも体調を崩すこともあるんだなぁ、神とは言え体は人間と変わりないのかな。




