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「88話 話し合い 」

王城についた私達は、それぞれ自分の種族の王が待つ部屋へと案内された。

ニカも一緒だと思ったらニカは兵士たちの現状の腕前を確かめに行くようで、私は一人でバーニアの王と会うことになった。


「こちらです」

お城の兵士に案内され、豪華な扉の前に立つ。

その扉は両開きになっていて、兎をモチーフにしたような模様が描かれていた。

ノックして扉を開けると、中は普通に寝室っぽくなっていて、端に天蓋付きのベット、部屋の中央には部屋でくつろぐ用のソファーとテーブルが置いてあった。

テーブルの上には3人分の飲み物とケーキがおいてあり、奥側のソファーには王と王妃が座っていた。

王と王妃は立ち上がって向かい側のソファーに手を向ける。


「やあ、よく来たね。そっちのソファーに腰かけて楽にしてくれ。」

「こんにちはミウシアさん。」

昨日遠目に見ただけだったけど、2人とも滅茶苦茶美形だなぁ。

しかも若い。この世界の顔面偏差値高くない?


「失礼します。」

私はどの程度楽にすればいいのかわからず、面接をしている時のような態度になってしまう。

うわっ、このソファーふっかふかだ!

少しだけ体を浮かしてもう一度座り直し、そのふかふか具合に感動する。


「はは、柔らかいだろう。堅苦しい口調でなくても大丈夫だよ、そうだな...友達の親と挨拶をしている感じで接してくれ。」

「わ、わかりました。」

ふかふか具合に感動したの、顔に出てたかな...?

コルペタさんと話す時くらいのテンションで行ってみよう。


「まずは紹介しよう。妻のティリアだ。」

「ミウシアさん、昨日はご挨拶できなくてごめんなさいね?バラッドの妻、ティリアです。」

頭を少し前に倒しただけで美しい髪の毛サラサラっと揺れる。

はー凄い綺麗。美人なバーニア族を見るとルニアを思い出す。ルニアは元気かなぁ。


「ティリアさん、よろしくお願いします。ミウシアです。私達の神、ルニア様のようにお美しいですね」

私は女だし、同性に対してこんなこと言っても口説き文句のようには取られないはずだ。

しかしティリアさんは顔を赤くしたと思うとほっぺに手を当てて火照った顔を冷まし始めた。

おや?そんな反応する?


「いやー、ミウシア君。私の前で妻を口説くとはなかなかやるじゃないか。」

ニコニコと笑ってるバラッド王が何だか怖い。

あれ?不敬罪?

ティリアさんも「もう....。」とか言いながらまんざらではなさそうな顔をしてるし。


「えっ、あの、すみません。そういうつもりではなくてですね!」

「えっ」「えっ」


「えっ」


口説いたと思われたので、必死に手をふりながら否定すると逆に二人に驚かれた。なんで?


「なんだ、せっかく私と妻の側室に迎えようとしたのに。」

「残念だわ。」

私と妻の?バーニア族って両方いける人ばっかなの!?

ていうかなにこの状況!話進まないんですけど!!

ぐるぐると頭の中でどう返せばいいのか迷っていると、オホンとバラッド王が咳ばらいをした。


「冗談はさておき、さっそく本題に入ろうか。」

「そっ、そうですよね!冗談ですよねはは...。」

「いや、本気ではあるぞ。」

「ですわね。」


「えっ」

「えっ」「えっ」

いやもういいよ!!!!!!!


「おほん、本題に戻すけど、ルクニカ君から聞いたよ。君は速さを重視する戦い方なんだってね。私達は戦いに詳しくないので資金面と王族の庇護下にあることを示す勲章を渡そうと思うのだが。」

がちゃんと音を立ててテーブルの上に大きな布袋を置くバラッド王。

ティリアさんはその横に何かの模様の入った銀色の指輪を置いた。


旅の資金はいくらあっても困るもんじゃない。それに修行というくらいだから転移石は使わないんだろう。

まぁ野宿は慣れてるからお金なくてもいいんだけどね。

王族の庇護下にあることを証明できれば各所の通行が楽になると思うし、ありがたいなぁ。


「ありがたく頂戴します。」

私は袋を持ちあげてアイテムボックスにしまい、指輪を右手の小指にはめた。

指輪を見るとそこには兎の模様が描かれていた。

バーニア王の印とかそういう感じなのかな?


「それで、期間についても伝えておこう。ルクニカ君の話によると、信じられないことなんだけど彼女の結界スキルを使えば魔大陸に魔物を閉じ込められるらしいんだ。でもその期間は最大でも3か月間。しかもそのスキルは一度使えばもう二度使えないという制限付きらしいんだ。だから君が修行できる時間は3か月間。どうかその間でできる限り強くなった欲しい。」

魔大陸を全て包み込む結界!?いくらこの世界の頂点に立つ冒険者だとしてもそんなことができるの...?

それに1度しか使えないなんて、私達に課せられた責任が重すぎる!

とにかく、この3カ月を無駄にしないで全力で強くならなきゃ。

軽く頬をぺちんと叩き気合を入れ、バラッド王の目を見つめる。。


「わかりました。なんとしても強くなって帰ってきます!」

バラッド王とティリアさんは優しい表情で頷いてくれた。

漫画とかだと場面が切り替わって~数か月後~とかなるんだろうけど、ここは現実だ。できうる限り精一杯頑張らなきゃ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


王との話し合いが終わり、皆と合流して今後どうするのか話しをしようとしたときに、レオの提案で修行の前にパーッと家でお別れパーティも行うことになった。


ちなみにニカについては今すぐにでも結界を張る必要があるらしく、すぐさま魔大陸へと向かったのでここにはいない。


「それで、皆はこれからどうするの?私はサクラ族の里に向かうんだけど。」

私特製の鳥の唐揚げを頬張りながら皆に質問をした。


「はぁ~~~。私は不安なんですけどね。マナを持たない代わりにこの世の全ての知識を手に入れたという謎の人物が住む森に行くことになったです。本当にいるかもわからないレベルらしいんですけどね...。極秘の文献には記述があったらしいのです....。」

肩をがっくりと落とし「こんなんで強くなれるです....?」とボソボソと呟くカナちゃん。


「ま、まぁ探すために1人で森に行くならそれだけでも修行になるじゃないか。ちなみにアルカナ、その森の名前はあるのか?」

カナちゃんの方をポンポンと叩きながら慰めるトルペタ君。最近トルペタ君の方からボディタッチをすることが増えた。もはやカップル成立まで秒読みだよね。


「え...と。確か禁忌の森とかいう恐ろしい名前の森です。」「っ!」

ボディタッチに頬を染めながら答えると、トルペタ君がひきつった顔で動かなくなる。


「き、禁忌の森....?クルシュ村の北西にある禁忌の森か?...」

「そうです。あ、そういえばトル君の故郷の近くでしたね。」

大きなため息をつきながら下を向くトルペタ君。

どうやら禁忌の森について何か知っているみたい。


「どしたの?」

「...クルシュ村では『悪い子は禁忌の森に住む悪霊にさらわれる』って脅し文句があるんです。親が子を躾けるときによく使うんですが...。人間だったのかぁ~~~~。」

なまはげ的な?地球でもいろんな脅し文句あるけど元ネタが有ったり無かったりするんだよね。

禁忌の森もそういう風に使われてるんだろうけど....あれ?


「でもそれなら、禁忌の森の何が『禁忌』なの?」

「それはその人物のせいらしいのです。なんでも何代か前の王と交流があって、知識を与える代わりに自分の住む森に人を寄せ付けないようにしろと交渉してきたらしいです。」

「人嫌いって訳か。かー、くれぇなぁ。」「確かにね~。」

陽キャなフレアとレオには気持ちがわからないらしく、顔をしかめていた。

流石陽キャ。


「で、トル君はどうなったです?ギア王に何を言われたです?」

「オレはギアード国の鍛冶職人の技術を襲われることになった。なんでも、ただ鉄程度なら自在に形を変化させられるらしくて。好きな形の矢を瞬時に作れたら戦略も一気に増えると思うんだよ。あとは皆の武器の手入れもできるようになるし。」

ゲームでも錬金魔法にそんな感じのがあったなぁ、この世界にはそういうくくりの魔法はないみたいだし、魔法ではないのかな?

武器の手入れは飛び兎に必要はないけど、刃先についた油の処理とかそういった手入れは簡易的なものしか知らない、パーティの中に知る人がいれば安心できるなぁ。


「ぷはーーーっ!...んじゃあ実戦はねぇのか?」

フレアがぐいぐいとビールに似たお酒を飲みほして新しいビールを注ぐ。


「一応王都周辺の魔物で自分のマナを増やそうとは思っていますが...フレアさんも城の兵を鍛えるのであれば実戦は無いんじゃないですか?あ、アルカナそこの皿取ってくれ。」

「いや、あたしが鍛えるのは最初の1カ月だけだ。あとの2カ月は火山にでも行って修行しようと思ってんだよ。ルクニカが言うにはあたしの属性に合った場所で修行したほうがいいらしい。よく原理はわかんねーけどなー。ミウシア酒がたんねー。」

はいはい、出しますよ。

アイテムボックスからお酒の入った樽をフレアの横にドンと出すと、上機嫌にその樽からお酒を汲み始めた。


にしても属性魔法は環境も関係あるってことなのかな?私だったらなに?めっちゃ明るいところかめっちゃ暗いところ?

もしくは重力が凄いところ...なんてあるわけないか。


「で、レオは?なんか精霊王の指輪の封印がーとか言ってたよね?」

自分から話題を振ってこなかったので私からレオに聞くことにした。

しかしレオは言い辛そうにあー、とかえーっと、とか言い出す。


「なんだよレオ~、自分だけ言わないのは卑怯だろぉ~」

ここのところフレアはレオになれたのか、前みたいに呼び捨てで呼べなかったり敬語になったりすることも無くなった。

しかしボディタッチができるほどでもないため、今もトルペタ君相手だったら肩を組むくらいするシチュエーションでもレオには触れることができない。


これ割とガチの恋なんじゃないの?というか初恋?


「えーっと、精霊王の指輪の封印自体はもう解けちゃってんだよね...。」

「はや!!」「大した封印じゃなかったです?」「流石レオさん!」「やるじゃねぇか!」

右手にでかい宝石が埋め込まれた幅の広い指輪をしてると思ったらそれかぁ!

まぁ封印の理由がレオの母親のお化けの声がして怖いってだけだもんなぁ。

そんな厳重ではなかったんだろうね。


「じゃあもう目的達成じゃない?」

「いや、それがそうもいかないのよ。この指輪の真価は精霊王の力を借りれることなんだけど、そのためには精霊王に直接認めてもらわないといけなくて...は~、説得できる気がしね~。とりま精霊の森行かなきゃなんだよね~。」

精霊の王に普通に会いに行けるんだ、やっぱりレオって特殊なんだなぁ。

でもそんな凄い精霊の力を借りることができたら相当強くなるよね、私も負けてられないなぁ。


これで皆が今後どうするかは一通り聞けたかな。

明日から皆各自行動することになるし、今日は明日に残らない程度の飲酒にしておこう。


私はガタッと立ち上がりお酒の入ったジョッキを掲げる。


「じゃあ、皆明日からはしばらく離れ離れになるけど、3か月後に備えてできる限り頑張ろう!」

「っしゃあ!!」「頑張りましょう!」「頑張るです!!」「うぇ~~~~~い」

皆も立ち上がり一斉にお酒を一気に飲み干す。


ニカにばっかり頼ってられないよね、並べるように強くならないと。


次の日、例外なく皆二日酔いに悩ませながら旅の準備をしたのは言うまでもなかった。

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