「86話 謁見 」
仕事と某オンラインゲームのアップデートの合わせ技でちみちみとしか書けませんでした(´;ω;`)
地道にでも絶対投稿し続けますので長い目で見てください!
王都に襲撃した魔物を撃退したことで王と謁見すること(ハメ)になり、私の知識不足で恥をかいた後、王様たちから自己紹介をしてもらうことになった。
あんまり階級とかこだわらないのかな、私達はただの冒険者なのに。
こういうのは私達からしたほうがいいのかな?
あああ、苦手なんだよこういう上座下座とかそういう概念。
地域とか風習によってガラッと変わるし、先に名乗るのはくらいが上の人とか下の人とかあるんだろうか。
横を見ると皆黙って聞いてるし、私もとりあえず聞いておこう。
「まずは私から行こう。リージェン・ヒューマン・フォル・サスティニア。ヒューマン族の王だ。」
見た目は黒髪褐色で髪をオールバックにした知的そうなヒューマン族、鼻にかける小さな眼鏡をしていて王というよりも執事...セバスチャン系の褐色ナイスミドルだなぁ、と率直に感じた。
王様たちの服装は以下にも王!というよなきらびやかなデザインをしている。
王冠のようなものは見当たらないがテンプレな感じがするなぁ。
あ、なんか自己紹介の反応とか必要なのかな?愛想よくへらへらしてると無礼とかないのかな?
皆普通に自己紹介黙って聞いてるしこのままでいいのかな、とりあえずニコニコしておこう。
「では...。ジャイアント族の王、オリバーだ。この後に続く名はリージェンとほぼ同じ。種族名だけ違うので省略させてもらおう。」
次は厳つさの塊、赤黒い肌のスキンヘッドのジャイアント族の王。
王なのに筋肉量がものすごく、元々体が大きいジャイアント族だということを差し引いても、なんだか王の正装が似合わないくらい筋肉質だ。
服がパツパツになってるのはわざとなのかな?サイズ感あってないだけかな?いやいや、王がサイズ直ししないわけないし意味があるんだろうなぁ。
「ドワーフ族の王、ギアだ。王城が魔物の襲撃にあったと聞いてギアードから王都に来た。おぬしたちがいなかったら王城は危うかっただろう。礼を言うぞ。」
身長はトルペタ君程度で幼児体系。
それなのに髭が生えてて渋い声をしているのが凄いミスマッチだ。
ゲームにも年老いたドワーフ族はいたけどリアルで見るとこういう感じなのかぁ、肌の感じは年相応なんだなぁ。
というかギアード国の王様か、いつだったかカナちゃんが教えてくれたように、本当に鉱山が近いとかの理由で王都から離れて生活してるんだ。
襲撃を聞いて駆けつけたのは、戦力として何だろうか?
王様たちに鑑定するのは流石に失礼...というかこんなところで魔法を使ったら不敬罪とかになりそうだからやめておこう。
「え~~、オホン。私は....オレはティスライト。言わなくてもわかると思うけどケットシーの王ね~。リージェンが堅苦しいの無しとか言ってたしオレはこんな感じでいかせてもらうよ。ウチのレオが世話になったね~。」
「これからもレオと仲良くしてね~。」
手をひらひらと動かしながら王も王妃も凄い軽い口調で話すのをきいてレオの話し方は親譲りだと確信する。
というよりもケットシー族は皆こんな感じなのかもしれない。
レオの母親以外の王妃たちも皆にこやかにこちらへ笑いかけているのを見る限り、王妃同士の争いが有りそうには見えなかった。
「おいティス!.....ったく。私はバラッド、見ての通り君と同じバーニア族だよ。君は珍しい髪の色をしているな、北東に住むサクラ族のように美しいピンク色が.....いでっ」
「バラッド様ぁ?なーに同種の若い子口説いてるんですぅ?」
「あはは...。」
ついから笑いをしちゃった。
バーニア族の王は線の細い深緑の髪をした美青年。
とても王には見えず、この中でも断トツに若いんじゃないかな、20代にしか見えないけど私を若い子っていうくらいだから30は超えているんだろう。
バーニアの王を後ろから小突いたのはバーニア族の王妃、プラチナブロンドのロングヘアーをした美しい女性だ。
私を見てニコッと笑いかけてくれたのは迷惑かけてごめんね的なニュアンスなんだろう、手出すんじゃねぇぞ的な意味ではないはず。
全ての王の自己紹介が終わるとカナちゃんがまたもや私を小突いてくる。多分今度は私達の番なんだろう。
えーっと、堅苦しくしないように...。
「私はミウシアと言います。えーっと...。」
後何を言えばいいの?得意分野とか趣味とか御社を選んだ理由、ってそれだと面接か。
「ミウシアちゃん、ミウシアちゃんがリーダーだからオレ達のことサラッと説明すればいいんだよ。」
迷っているとレオがこそっとアドバイスをくれた。
助かる~~~~。
「こちらからアルカナ・マジック、トルペタ・アロー、フレア・イグニス。そしてご存知かと思いますがレオ・フェアリアル、ルクニカ・ホワイトミ.....ホワイトです。」
ホワイトミルクって本名は隠してるんだっけ、王様には本名をいうべきかもしれないけどひとまず私からは言わないでおこう。
私が皆の紹介をするとヒューマンの王、リージェンが「ほう」と呟く。
「アルカナ・マジック、もしや父の名はアイディアルか?」
カナちゃんはハッとした顔でリージェンの方を向いて頭を縦に何度も振るう。
「そ、そうです!父様をご存じなのですか?」
「はは!王となる前の若い頃は一緒にマナについて研究していたのだよ。藍色の髪は確実に父譲りだな。」
リージェンは懐かしいな、と呟きながら遠い目をしてにこやかに笑っていた。
王になったら昔の仲間と気軽に会うことはできないだろうし、昔を思い出しているんだろうなぁ。
カナちゃんも王と父親が知り合いだったことがうれしかったのか、ふんすふんすと少し鼻息を荒げてニコニコしている。
「さて、本題に入ろうか。まずは王都を守ってくれて助かった。君たちがいなかったら私達は魔物に殺されていただろうね。」
バーニア族の王、バラッドが椅子から立ち上がり軽く頭を下げた。
王が頭を下げるのはいいのかな?よくファンタジー系の小説だと王が冒険者程度の相手に頭を下げるようなことはないけど。
それに魔物を撃退できたのはニカがいてくれたおかげだ。私達は下手に刺激して返り討ちにあっただけだし....。
「褒美については後程聞くことにして、君たちには事の顛末を聞きたい。誰か代表して何があったのか話してくれないかな?」
教師が生徒に手を上げるよう促している時みたいにバラッドが手を上げて私達の方を見まわした。
この人もケットシーの王よりの性格で軽めなのかな?軽いというよりはエンターテイナーというか、テレビの司会者というか、そんな感じがする。
「では私からお話しいたします。」
ニカが一歩前に出て説明を始める。
「ご存知の通り私は王城の兵士に訓練を行っているのですが、本日も訓練を行いに王城に参りました。私が王城に入ろうとした時に遥か上空から妙な気配を感じ、警戒を行っていると大きな竜の魔物が背に熊の魔物を乗せてやってきました。」
「今まで王城に魔物が攻めてきたことなど無いというのに、なぜ今になって....。」
ドワーフの王、オリバーが苦虫を噛み潰したような顔でため息をついた。
王都の歴史がどれほどのものか知らない私には衝撃具合がわからないけど、その表情でいかに稀であるかを理解した。
「私のスキルで王城に結界を張りましたが、竜から飛び降りた熊によって破壊されました。その後は城門の前で2体の魔物を食い止め、ミウちゃ...ミウシア達が熊の魔物の相手をしてくれた。というのが一連の出来事です。」
ニカは緊張する素振りを見せずに淡々と説明した。こういうのに慣れてるのかな、と思った矢先に私をちゃん呼びで呼びかけてとっさに直していたから緊張はしてるのかな?
「おぬしは冒険者の中で一番の実力を持っているだろう。それなのに討伐できずに撃退しかできなかったのか?魔物はどれだけ力をつけているというのだ.....。」
ドワーフの王、ギアは頭を頭を抱えて下を向いた。
「私は守りに特化していますので、抑えはできても討伐は厳しいのです...。それと、問題はその魔物達の発言なのですが....。」
眉間にしわを寄せながら先ほどよりも深刻な顔でさらに話を続けた。
「戦闘中に幾度か会話を交えたのですが、『我らは魔物ではなく魔族』と断言し、『この地の人間を殲滅し魔族の国を築く』と言っていました。おそらく複数の種族の魔物が集まって魔族と名乗っているようです....。」
人間に害を及ぼそうと魔物達が手を組んでいる事実に対して、謁見の間にいる全ての人が一斉にざわつきだす。
そんな私は別の視点で驚愕した。
私がこの星の元ネタとして作った「Race Of Ancient Online」の公式ストーリーと似すぎてる。
世界観に関しては公式が詳しく掘り下げていないため詳しくは知らないけど、魔物が自分たちを魔族と宣言して人間の領地に攻めてきたという歴史はゲームの遥か昔の設定と全く一緒、私が「Race Of Ancient Online」を元に作ったとはいえ、ここまで似るようになるとは思わなかった。
やっぱり私のゲームに関する知識を眷属達が把握していて、その設定と同じになるようにこの世界の行く末を操作している?
でも私をこの世界に送り出したティアも直接干渉はできないって言ってたっけ。
むむむ、眷属達に聞くにしても私の世界の遊戯を元に皆を作ったって言われたらよく思わないかもしれない。
この考えは自分の中でとどめておこう....。
その時、謁見の間にぱんぱんと手をたたく音が響き、どよめきが止まった。
手をたたいたのはヒューマン族の王、リージェンだった。
「皆の者、落ち着いてくれ。今私達が考えるべきなのはどうやって魔族とやらに対抗するかではないかね。」
「我ら人間は今までこのような窮地に陥ることなく、最低限の魔物を蹴散らすための冒険者たちがいれば何とかなってきた。もし今回攻めてきたような魔物達レベルの魔物が大勢いるとすれば...、危ういのではないのだろうか....。」
地球に居た頃見ていたアニメのどの声優さんよりも低い声でジャイアントの王、オリバーが現状を冷静に判断する。
その発言を皮切りに、王たち、王妃たちは意見を出し合い討論を始めた。
「あの、提案があるのですが。」
そんな中一人で頭を捻らせていたニカが手を上げた。
こんな状況でも落ち着いているのはさすがだなぁ。
そういえば今日はやけに丁寧な話し方だなぁ、やっぱり王族の前では畏まった話し方になるんかねぇ~。
「S級冒険者ルクニカよ、何か思いついたのかね。」
他の王たちが討論を止めニカに向きなおり、オリバーがこちらを向きニカの発言を拾い上げた。
「はい、私とそこにいるフレア・イグニスで冒険者、王城の兵士を鍛えるのはどうでしょう?」
「あたしが!?」
今まで発言をしてこなかったフレアが不意に幼馴染だけど最近仲があまりよくないニカに話しかけられ声をきょどらせながらもかろうじて返事をする。
「フレアは私の幼馴染です。腕はすでにS級と言っても過言ではないでしょう。昔から彼女は人に教えるのが得意でした。攻撃が得意なフレアと守りが得意な私、私達なら短期間で冒険者と兵士の腕を上げさせることができると思います。」
確かに、フレアに貰ったアドバイスで私達は目に見えるように強くなった。
ニカはなんだかんだ言ってフレアを認めていたんだなぁ、もっと優しくしてあげればいいの。
肝心のフレアは...。とフレアの方に目をやると、目を潤ませていた。
「あたしのことそこまで認めてくれてたのか.....。王様達!!任せてくれないか!あたしの訓練は厳しいかもしれねぇが、ぜってー強くして見せるからよ!!」
何か小さな声でつぶやいたと思うと、目をごしごしっとこすり、王様たちにガッツポーズをして敬語0の荒くれスタイルで宣言した。
魔族の襲撃によって焦っていた王たちはフレアの前向きな発言で笑顔を取り戻す。
多少無礼な感じもするけどフレアの前向きなノリが場を明るくしてくれた。
「...ふ、流石ジャイアント族だ。そうでなくてはな。では訓練については二人に任せ、兵と冒険者についてはこちらで何とかしよう。」
てことはフレアとは少しの間お別れ?私達はどうすればいいんだろう?
カナちゃんトルペタ君レオの方を見て私達は?とアイコンタクトを送るも、三人とも首を傾げるだけだった。
何となく蚊帳の外になってしまったような気持ちでニカを見るとふふっと微笑み、話をつづけた。
「こちらにいる4人の冒険者達は、今後私を超えるほどの伸びしろを持っています。彼らがより強くなれるような方法があるのですが、その援助をしてはもらえませんか?必ず魔族に対して切り札となると思います。」
私達は、自分を置いて自分の今後が次々に目の前で決まっていくのを口をあけながら呆然とするしかできなかった。
これからどうなっちゃうの?