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「85話 敗北 」

2021/07/10 敵の名前修正しました

フレアはまだ生きてるらしい、良かった。

熊に攻撃され、何とか即席で回復し熊に立ち向かったと思ったらなぜか熊に死んだふりをすれば見逃すと言われた。

やっぱり有りがちの展開である、「強さを求める敵キャラに見逃される。」みたいな人物だった。


フレアのことだからそんなことは認められなくて抵抗したところを、気絶させられたんだろうな。


「わかった。悔しいけど命には代えられないよ。おおよそ、あの竜にバレないようにって感じかな。」

私はそのままどさりと膝から崩れ落ち地面に伏せた。


「マタクルトキマデニ、ツヨクナッテオケ、マタアソボウゼ。」

この熊、根っからの戦闘狂だ....。王都に攻めてきたのがこの二匹でよかった、もしもっと大勢で攻められたら王都は壊滅していたかもしれない。

流石にそこまでの強さを持つ魔物がゴロゴロいるとは考えられない、というか考えたくない。


どちらにしろ、私達は強くならないと。

...というか王都には私達より強い人ってあんまりいないのかな、どうなんだろう...。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:レオ

いや~、マジで力不足が過ぎるよね。

カナっちのつよつよコンボでも少ししか攻撃通らなかったし、オレなんて竜族の魔物の足に茨を巻き付けたり沼を作って動きにくくしたりしかできてないし。


にしてもこのS級冒険者様は強すぎじゃね?いや、攻撃はあまり得意じゃないんだろうけど最初はこのレベルの相手2体を1人で余裕でさばいてたわけでしょ?

今も竜族の魔物の攻撃を盾で弾いたり受け流したりしながら、落ち込んだカナっちに声をかけてあげるだけの余裕を見せてるし。


その時、ミウシアちゃんたちの相手をしているはずの熊の魔物がこちらに駆け寄ってきた。


は?

「ミ、ミウ!!フレア!トル君!!!!!!!」

「コシャル・サッハ、ヤツラハカタヅケタ。イチドモドルゾ。」

熊の魔物の言葉を聞いて頭の中が真っ白になる。

は?カタヅケタ?片づけた?


「俺もこのクソウサギの相手に疲れていた所だ。戦力の把握は十分にできた、一度報告しに行こう。」

竜の魔物は熊の発言を受けて一度撤退を選んだようだ。

そんなことはどうでもいい、オレはふとミウシアちゃんたちの方に視線を向けると....。


フレっち、ミウシアちゃん、トルっちの無残に倒れた姿があった。


遠くから見ても大怪我を負っていることがわかる程度には悲惨だった。

倒れている地面や、服には血の跡がある。


オレは魔物に攻撃されるかもしれないという危険を一切気にせず、一番重症そうなトルっちの方へ向かって駆け寄った。

トルっちの肌は青白く、足の骨が折れて変な方向に曲がっていた。しかし一番は胸部の損傷だ、下手をしたら骨が折れて心臓に達しているかもしれない。


「フュー!フォリア!ありったけ使っていいから全力で回復を!フェアリー・ヒール!」

「全力でいっくよ~」「全力でいくの」

オレの体からマナがごっそり抜けていく。フューもフォリアもこの後のことを理解しているらしく、あと2回分は残してくれた。


トルっちの肌に血色が戻っていくのを確認して次はミウシアちゃんの元へと駆け寄る。

うつ伏せに倒れているミウシアちゃんの顔色を確認するために顔を覗き込むと突然ミウシアちゃんが話しかけてきた。


「レオ、ありがとう。私は無事だよ....。どうやらあの熊に見逃されたらしい。」

「無事でよかった....。念のためフェアリー・ヒール!....よし、事情は後で詳しく聞かせてもらうよ。」

オレはミウシアちゃんの元を後にして倒れているフレっちの元へ向かった。


その間に考える、見逃された?竜の魔物に片付けたと言っていたのにこっそり助けていたのは何のため?

そもそもあいつらは何をしに王都に?....だめだ、オレの頭じゃ無理だ。あとで改めてカナっちに聞いたほうがいい。


フレっちはさすがというべきか、内部に至る傷は無かった。せいぜい打撲や打ち身程度の傷しかなく、意識が無いのも気絶させられているだけだろう。


「レオ、マナ貰うよ~?」

「レオ、マナ頂き~?」

「フェアリー・ヒール!はぁ~~~~~~~~~~~~~。よかった.....。」

3人の無事を確認したらホッとして力が抜け....。


そこでオレの意識は途絶えた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:フレア


「い、つつつつ。」

あ?どこだここは。

頭を押さえつつ辺りを見回すとそこは知らない部屋。

しかもやたらと豪華な寝台の上に寝かされてるときたもんだ、貴族様の部屋か、それとも王城か?


「はは、んなわけねーか。」

あたしは何でこんなところに...確かやたらつえー熊の魔物と戦って、それから....。


「....ッ!!!クソ!!!!!クソクソ!!」

完全に負けた!ミウシアとトルぺタのサポートがあっても勝てなかった!

あたしの一番自信がある力でさえも正面から押し負けた!

しかも魔物に情けをかけられた....ッ!!!


行き場のない怒りを拳に込めて布団を叩きつける。

当たり前だがボフッと音がなるだけで、穴は開かない。

そんな些細なことすらあたし自身の力の弱さを突きつけられているようで腹が立った。


そんな時、やたらでかい扉からコンコン、と音が聞こえたと同時に扉が開いた。


「フレア?起きた?」

ミウシアが心配そうな顔をして扉からひょこっと頭を出す。


「...ノックと同時に入ってきたら意味がねぇだろ...。」

心配してくれているミウシアに対してもきつい言葉しか出せない自分に腹が立つ。


「もう大丈夫そうだね、歩ける?王様たちが、英雄たちが目を覚ましたら皆で謁見の間に来てくれって。」

王様?つまり本当にここは王城だったのか。

何で負けたあたしがこんないい待遇をされているんだ....。

はぁ、と息を吐きつつ頭を押さえて考える。


そりゃ王様からしたらこの国を守った冒険者サマなんだろうが....。


「わかった、行くよ。」

あたしには似合わない綺麗な寝台からでて立ち上がる、が、軽く眩暈を起こす。

ふら付くあたしをミウシアは素早い動きで受け止めてくれる。


「ほら、やっぱり肩貸そうか?」

「平気だっての!おら、行くぞ!!」

すまねぇミウシア、今優しくされても惨めな気持ちにしかならねぇんだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:ミウシア

フレアの機嫌が悪い、きっと熊に負けたことがよほど堪えたんだろう、今はそっとしておいてあげよう。


フレアを連れて王城の廊下を歩く。


魔物達が去った後、王城の中から兵士たちがやってきて手厚く介抱してくれた。

いや、兵士たちも戦えよ!って思ったけど、王城に魔物が攻め入ったことは過去一度もなく、せいぜい不審人物を撃退できる程度の兵力があれば事足りていたようだ。


この世界には国通しの争いが無く、戦いというのは対人戦よりもほぼ魔物討伐で、王城の警備は手薄だ。

よくも悪くも平和だったのが原因だね。


それを理解していたニカは兵士たちを王城で待機させ、力のある冒険者が来るまで時間稼ぎを行っていたらしい。

まぁ私達が来たところで歯が立たなかったんだけど。


王様に呼ばれた理由としてはおそらく王城を守った事への礼と、魔物が攻めてきた理由等だろう。

これで魔物の頭が私を狙って攻めてきたとかだったら私の扱いは間違いなく追放、魔物に差し出す、とかだよね。

でも私の名前を聞いても反応しなかったし、私を探しに来たのが理由ではなさそうだった。


最初からいたニカなら何か知っているかもしれない。

私が倒れているのを見て「ミウちゃん!!!ミウちゃんが!!!ミウちゃんミウちゃん!!!」ってな具合で滅茶苦茶取り乱してたから話はまだ聞けていない。


トルペタ君もカナちゃんも自身無くして落ち込んでたし、レオは回復のためにMPを使い果たして倒れてたし、皆精神的に不安定になっていそう。



と、色々考えていると謁見の間の入り口についた。

扉の前に兵士が二人立っていて、私達が扉の前に並ぶとドアを開けてくれた。


謁見の間はゲームでよく見るような大理石で作られた床と壁。

天井は5メートルはあろうかと思うほど高く、中心には赤い絨毯が敷かれていて、奥には数段ほど階段があり、その上には5つの玉座がこちらを向くように弧を描いて並んでいる。


それぞれの玉座の横にはそれぞれの種族の気品あふれる王妃たちが寄り添うように立っていた。

....なんかケットシー族のチャラそうなイケオジ王の横だけ5人くらい王妃がいるんだけど.....。

あれがレオの父親....。


玉座の前にはすでにカナちゃん、トルペタ君、レオ、ニカがいた。

これってきっとそこまで行って膝をついて首を垂れるんだよね?私こういう中世系の礼儀全く知らないけど!?


フレアと一緒にカナちゃんたちの横まで歩いていき、膝をつこうとした瞬間声がかかる。


「よい、そのまま楽にせよ。」

まるで地なりのような低い声を放ったのは肌の色は赤く、スキンヘッドで厳つさの塊のようなジャイアント族の王だった。

王妃の方は対照的に、金髪のゆるふわロング、肌も白く優しい顔をしている天使のような...え、アレ王妃!?若ッッ!!


「ハッ!」

私が短く返事をしてピシッと気を付けの姿勢をとると、王と王妃たちは驚いた顔をした後大いに笑いだした。


えっえっ、なになになになに!?


私がわたわたと辺りを見回しているとカナちゃんが私を小突いて耳打ちをしてきた。


「王が楽にせよって仰ったとき、この国では口調を和らげないといけないんです。その反応をするのは城使いの兵士だけですよ。」

そんなご当地ルール知らないよ!!


「あっ、えっ、あの、すみませんでした!」

謝っちゃったよ!!!!

もう、締まりなさすぎるって!!


「ふふ、ははは!レオの言う通り面白いバーニア族のお嬢さんだ。今この場に貴族や大臣などの口うるさいものはいない。どうか楽に話してくれ。」

そう言ってくれたのは王妃を数人連れたレオのお父さんだった。

顔を上げて改めて見ると、喋ってもイケオジ、No1ホストみたいなサラサラロングヘアーで顎髭を生やしたナイスミドル。

どの人がレオのお母さんなんだろう、と一人づつ見るが皆違った美しさと気品にあふれていた。

.....いや、1人ヒールに慣れていないのか、涼しい顔をしているくせに足元がプルプルしてる金髪セミロングの美女がいる。

多分あの人だな。


「ふむ、では始めるとするか。そこのバーニア族のお嬢さんは世間に疎いた聞いた。まずは私達の自己紹介だな。」

黒髪褐色の知的な王が口を開いた

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