「82話 王都防衛 」
ニカが王都に攻めてきた魔物2体の相手をしている間に、倒れていた冒険者達を回復して安全な場所へ連れて行った。
地面に寝かせていた冒険者たちが意識を取り戻したので、ホーリー・スピリットを解除し、ニカの元へ向かう前に事情を聴くことにした。
ただ、こうしている間にも激しい爆発音や金属がぶつかる音が聞こえてくる。
「皆さん、大丈夫ですか?私はミウシア。ここで何があったのか教えてもらえませんか?」
起き上がったり、寝たままだったり、三角座りをしている冒険者達に話しかける。
しかし皆まだ意識がぼんやりしているのか、それとも回復による快感なのか。
「はぁ、あ、あんたが助けてくれた...のか...?...はぁはぁ。」
「お姉さん...ありがとぉ....ふぅ...。」「.....ふぅ。」「ふへ~~~。」
「なんか...何だこの感覚....。」「ふあ~~~きもち~~。」
緊張感が一気になくなる反応~~~。
ジャイアントオッサンも、ドワーフ娘も、猫耳イケメンも皆顔を赤くして息が荒い。
今はこういうのにドキドキしてる場合じゃないと思いつつもいろんな種族の色気のある顔に照れる私。
頭をぶるぶるぶると振って雑念を飛ばして再度話しかける。
「あの魔物は何ですか?どうして王都の中核にあんなでかい魔物が2体もいるんですか?ほかに魔物は?」
私の問いかけに騎士風のジャイアントオッサンが答えた。
「あ、あぁ。奴らは数時間前、空からやってきた。オレはこの城門の警備兵なんだが、いきなり空からあの2体がふってきたんだ。」
「しかもあの魔物達、しゃべるんだよ!熊の方はカタコトだったけど、竜の方はぺらっぺら!」
魔法使い風のドワーフ娘が体全体で驚きを表現する。
もしかしてあの2体はキングなのかな?
「たまたま王城にルクニカさん居て、魔物の相手を引き受けてくれたのですが....。私達では歯が立ちませんでした。」
私は建物の影からちらりと魔物達の方を見て小さく呟く。
「<解析>アナライズ。」
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名前:ゲオグリオス
種族:スカーレットデストロイベアー
職業:力の探究者
HP:40118/42470
MP:0/0
力:S
防御:S-
魔力:-
早さ:A+
運:-
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名前:コシャル・サッハ
種族:エンシェントドラゴン
職業:特攻隊長
HP:21471/23104
MP:11840/14210
力:B+
防御:S
魔力:A+
早さ:A+
運:-
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確かにこの強さではSランク冒険者でなければ絶対に勝てない領域。
というかニカはあれを一人でこなしてるの?ヤバくない?
これ私が加勢したところで何も変わらなくない....?
だとしてもニカ一人に任せるなんてできない。
「状況はわかりました。私はニカに加勢してきます。皆さんは住民の避難の手助けをお願いします!」
冒険者たちにそう告げてから、ニカの元へと駆け出した。
使うのはホーリー・スピリット。
ここに向かってくるまでにステータスで確認したから間違いない、私がホーリー・スピリットを使えばあそこにいる魔物の攻撃はまず当たらないはず。
まぁ、一回でも当たったら死んじゃうと思うけどね!
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名前:ミウシア:光
種族:バーニア族(半神)
職業:短剣士(Lv62)
HP:700/710
MP:4200/6182
力:B+(A-)
防御:D(D+)
魔力:A-(A)
早さ:A+(S+)
運:A+
称号:善意の福兎(6柱の神の祝福により効果UP)
・自分以外のHPを回復する時の回復量+100%
・誰かのために行動する時全能力+50%アップ
・アイテムボックス容量+100%
・製作、採取速度+200%
※このスキルはスキル「鑑定」の対象外となる。
※このスキルを持っていると全NPCに好意的な印象を与える。
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なんてったって速さはS+、3段階も差がある。
...さっき冒険者を助けた時に、回復した時の反応が凄かったのは称号のせいなのかな...。
この称号実感わかないし不明確に強化されるから逆に怖いよ....。
~~~~~~~~~~~~ミウシアが来る少し前~~~~~~~~~~~~~~~~
SIDE:ルクニカ
「それでッ!全力ですかッッ!」
私は目の前の大きなクマが振り下ろした大剣を盾で防ぐ。
その禍々しい赤黒い剣が私の白銀の盾に当たる度に火花が散ります。
どんなに強力な攻撃でも、私の盾を突破できなければ意味がありませんが。
「グルルル...。オマエ、ヤルナ。デモ、コウゲキ、シナイ、ナゼダ。」
大きなクマが獰猛な顔でカタコトな共通語を喋りだす。
先ほどからたどたどしい言葉で私に話しかけてきますが、この魔物からはあまり邪な感情を感じません。
それよりも後ろにいる竜のほうがよっぽど...。
ああ、なんで攻撃しないか、でしたよね。
「私は決め手になるほどの攻撃を持ち合わせていませんので。...でもあなたたち程度の攻撃なら何日でも防げますよ?」
....何日でも耐えられますが、そんなにこの魔物達が王城に居座ってしまえばこの国の人たちは不安で仕方がないでしょう。
それに魔物達の援軍が来てしまう可能性もあります。
私と共に戦ってくれた冒険者達は皆倒れて意識がありません...。
なんとかこの魔物を退け、王城に貼っている結界を王都全体に広げなければ....。
「グオオオオ!コノ!!オマエ!!ツマラン!!!」
このクマは防戦一方の私に対して不満があるようですね、ただ戦いたいだけ、のような気がします。
それよりも、後ろから魔法やブレスで攻撃してくる竜種の者の方が気になります。
前世で私を騙し、手をかけその長い生に終止符を打ったのも竜種でした。
彼らを侮ってはいけない.....。
!?
その時、私の第六感がピンと何かの気配を察知したのです。
魔物に感づかれないよう盾で視線を塞ぎ、魔物の斜め後ろあたりを凝視、凝視。
遠くに見えるあのたれ耳、ゆるふわヘアー、褐色、変わった服装。
「キタッ!!!!」
「グルァ!?」「なんだぁ!?」
ミウちゃんが来てくれた!冒険者はミウちゃんに任せて私はこいつらを全力で引き付けましょう!
「じゃあ攻撃....行きますよッ!!」
私は光属性のマナでできた翼をはためかせ、魔物に向かって光の羽を飛ばす。
その羽一枚一枚には雷属性のマナをたーっぷり凝縮してあります。
きつい一撃ではありませんが、当たるとしびれて体が勝手にうごいちゃいますよ。
「ッ、ゲオグリオス!あの羽に触れるな!」
やはり目ざといですね。
熊は大剣で防ぎ、竜族は持ち前の鱗で防いでいますが無駄です。
だって、防いでも足元に落ちてますもの。
「....<爆発>バースト。」
魔物の足元、竜族の鱗の隙間、熊の毛の隙間へとくっついた光の羽は私の合図と共にバチッと音を上げて破裂した。
その瞬間、破裂した羽から出た雷が羽同士で結びつき、魔物の周囲は網目状に雷で覆われる。
「ググ!ググ!ッグググ!ググア!アアア!ア!ア!ア!ア!」
「く、くそ、、ああがが、あ、あ、が、が、あが、、」
ビクンビクンと体を痙攣させながらもがいている魔物達ですが、大したダメージは通ってないみたいです。
逆に言うと、大したダメージにならなくても十分に足止めができるいい技、ということですね。
私は隙のできた敵に攻撃をするわけでもなく、一歩引いて盾を構えた。
今度ミウちゃんにも手取り足取り教えてあげることにしましょう。そしたらミウちゃんに翼が生えることに...!?
とても良きですね。
どういう風に教えるか考えておきましょう。
敵の動きを観察しながらミウちゃんが翼を生やした姿を想像していると、竜族がこちらを睨んできます。
「くそ、やってくれたなクソ兎が....。」
グルルと唸りながら竜族がこちらを威嚇してきました。
とはいえ、これくらいの足止めしかできない現状、ミウちゃんでもおそらく攻撃力が足りないと思いますので、ミウちゃんが合流しても、唯々防ぐ私と唯々避けるミウちゃん....。
現状はあまり変わりません、ミウちゃんがいるということはフレアやほかのミウちゃんの仲間たちも来てくれるのでしょうか?
とりあえずはミウちゃんの成長した姿を見ながら適当に攻撃を受けましょう。
さあ!ミウちゃん早く来てください!
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SIDE:ミウシア
二匹を相手にして全く動じないニカに驚きながらも、敵が私に気が付く前に大技を放っておくべきだと判断した。
熊と竜の防御力を比べるとわずかに熊のほうが低い、とはいえS-、私の攻撃力は強化してもA-。
私の剣ではおそらく傷を負わすことはできないだろう。
「どこか攻撃が通りそうなところは...。」
今も尚ニカを攻撃し続けている熊を観察する。大きな赤黒い剣をぶんぶんと振り回しニカの盾を攻撃していく。
その皮膚はふさふさの毛で覆われているため剣の通りも悪いと思う。
背中...尻尾.....脇腹...あった!
左の脇腹にはニカの攻撃で傷付いたのか、毛が焦げて露出した皮膚が赤黒く変色している。
あそこなら攻撃が通るかもしれない。
私は攻撃のために肩から手の先にかけて多めに光属性のマナを集め、加速のために腰から下にかけても多めに光属性のマナを集めた。
熊に向かって最初は小走り、徐々に速度を上げ体を前傾姿勢にする。
「グア!?」
熊がこちらに気が付いたときにはもう遅い、私は相手の足元まで一気に詰めるとその速度を一切緩めることなく地面を蹴り全体重を手に持った飛び兎に込めて脇腹へと突き刺した。
「アアアアア!」
刃先5センチ程度が突き刺さるも、これ以上は刺さらない。なんて防御力なの...。
私は飛び兎を強く握り-----。
「<爆ぜろっ!>」
始動キー(・・・・)を唱えた。
以前使用した魔法とスキルの複合技の強化版、剣先に無数の光の矢の魔法陣を記しておいて始動キーで起動する。
私が始動キーを唱えた瞬間、体の至る所から光の矢が出てくると思っていたが熊は皮下も防御力が高いのか、外からは何も変化が見れなかった。
うそぉ!




