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「79話 止めの一撃と締まらない決着 」

SIDE:アルカナ

フレアの準備が整ったと思ったらミウが凄い勢いで飛んできたです。

何したらそうなるんですか!


「<水球>ウォーターボール!」

ミウの衝撃を少しでも和らげるために水の塊をミウの進行方向に展開する。


次の瞬間、パアン!と破裂するような音と共に水が爆発したかのように周囲に飛び散ったです。

水にぶつかったミウはそのまま地面に落ちたです。


「ミウ!!!!」

私が駆け寄るとミウは目をぐるぐるとまわして「う、う、うぇ」と唸っている。

無傷じゃないけどこれなら平気そうですね。あとでレオに任せるとして今はこの勝機を優先しましょう。


イエティの方を見るといきなり吹き飛んだミウと自分の棍棒を交互に見ていたですが、倒したと思ったのか、次に近いフレアの元へと駆け寄っていくです。


「まだ早いです、後20秒は必要です!!」

「りょ!!!<泥沼>スワンプ!」

「ふっ!....<爆発>バースト!」

イエティは足元に現れた沼に足を取られて転倒したです。

その後飛んできたトル君の矢が爆発した衝撃で体を大きく反り返しましたね。


「流石にダメージはないですね...。」

「私がいこう。」

ルクスがイエティに向かって走ると、イエティの胴体に向かっていくつもの魔法陣が空中に現れたです。


「<加速>アクセラレーション!」

ルクスが魔法陣に触れると同時に始動キーを唱えた次の瞬間、ルクスはもうイエティの背後へと移動していたです。

今のは初めて見たですね、設置型身体強化魔法です。罠として攻撃魔法を使うのはよく聞く話ですが、身体強化魔法を限定的にすることで効果を上げ、それを断続的に設置するですか...。

何者なんですかねあの狼は。私並みに頭の回転が速いです。


ルクスはがら空きになったイエティの背後から脇腹を攻撃しつつこちらに向かって走ってきたです。


「フレアよ!もうよいか!!」

「おう!!あたしの股の間を通ってイエティを誘導してくれ!」

この隙にフレアの身体強化をさらに底上げするために、レオが身体強化スキルを唱え始めたです。


「妖精たちよっろー。ショート・マナ・ペネトレーション、ショート・マナ・アクティビティ!」

どうやらレオもさっきのルクスを見て効果時間を縮めて効果を上げる方法を思いついたみたいです。


私は斧を大きく横に振りかぶって力を蓄えているような恰好のフレアの方を見たです。


フレアも今持てる全てのマナを使って、ファイア・スピリットを使用しているようで、フレア体から凄い密度のマナを感じるです。

斧にはマナを回さず、全て身体強化に。


ちょっと興味本位でフレアに鑑定をした私は目を疑いました。


「<鑑定>アナライズ!」


-------------------

名前:フレア・イグニス:炎(弱体化の反動でさらに上昇)

種族:ジャイアント族

職業:バーサーカー(Lv71)

HP:7350/7350

MP:106/7136

腕力:S-(SS)

防御:A+(S)

魔力:C-

早さ:B-(C)

運:A+

-------------------


SS....?ありえないです。S+が最高だと思っていたのですが...。

...とにかく、今フレアは間違いなく世界最強の威力の攻撃を繰り出そうとしているです。


「っしゃああああああ!!きたきたきたきた!受けてみやがれあたしの最高火力をおおおおおお!!!!!」

フレアの雄たけびともいえる叫びにイエティは反応したです。

ルクスを追いかけず、その途中にいたフレアの目の前で止まったイエティは、防御、攻撃に自信があるのかフレアと同じように棍棒を構えてフレアに攻撃を仕掛けました。


「おらああああ!!!!!」

「ウガアアアアアアアアアアア!!!」

フレアの振るった斧がイエティの棍棒に当たった瞬間、ガキイイイン!という金属音がした後、石の棍棒は粉々に砕け散ったです。

そしてそのままフレアの振るった斧は勢いを落とさずにイエティの体をすんなりと両断してしまいました。


「あああああああああ!」

そして両断してもなお勢いが衰えない攻撃にフレアはブォォォと風を切る音と共にコマのように回り始めたです。


「イエティをいとも簡単に倒した威力じゃあ近づけないよな。」

トル君の言う通り、今フレア(アレ)に近付いたら死ぬです。

回転が止まるまで待つしかなさそうですね。


「....あれは危ないから近寄らないでおきましょう。それよりもレオ、ミウの回復を頼みます!」

「りょ!<治癒光>ヒールライト!....みうしあちゃーん、平気~?」

回復されてもまだミウは地面に伏せたまま蠢いているです。

外傷はなさそうですが、平気ですかね?


「あぁぁ....目が回ってギボヂワルイ.....。オエエエ...。イエティ...は?..オエッ。」

ミウは高速回転をしながら飛んできましたからね。目が回って気持ちが悪くなっているのは回復魔法でも直せないです。

でも涙目になってるミウは新鮮ですね...。とりあえず現状をミウに伝えるです。


「作戦はうまくいったです。フレアが倒してくれましたが....。」

ミウに無事イエティを倒したことを伝え、フレアの方に目線を向けると丁度回転が弱まり...。


「うぉぉぉ....ぉぉ....ぉぉ...。」ドサッ

うめき声を上げながら倒れたです。


「ギモヂ...ワルッ...オエッ....。」

「フレっちも大丈夫~?一応」

フレアの元にレオが歩き出した途端、完全に忘れていたのですが、拘束していたスノーマンがレオに向かって魔法をはつどうさせました。


「ギギャギャ!!」

「かあぁぁぁぁあぁいぃぃぃふうううううくぅうううううううしぃぃぃぃぃぃぃとおぉぉぉおおおおおぉぉぉおぉくううぅぅううう」

出た効果は速度低下。あれ食らうとなんか不思議な気分になるです...自分以外の皆早くなったと思ったら急に遅くなるですし....。


「これは一体どういう状況なのだ...。」

「なんなんでしょうね...。」

フレアとミウは倒れたまま今にも吐きそうにえづいていて、レオはスローモーションで走りながら声を上げてるです。

せっかく強敵を作戦で倒したというのに閉まらないです....。


「ちよぉぉぉぉぉぉおおおお、なああああんでえええええええおおおおおれがあああああああ」

「ゲギャーーーー!」

「「オエエエエエエエ.....。」」

あ、ついに吐いたです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:ミウシア

はぁ、はぁ、吐いたら少し楽になった...。

回復魔法で気分も爽快させてほしい.....。

この地帯の端の方にある柔らかい雪がクッションになると思ったのに、何か硬いものに当たって全身の骨が折れたかと思う激痛に襲われたけど、レオの回復魔法で治ってよかった。

回復魔法で治ったんだったら大した傷じゃなかったのかもだけど....。


ある程度気分が楽になった私は立ち上がって周囲を見た。


沢山のスノーマンの死骸とお腹辺りで両断されたイエティの死骸。

イエティの死骸付近でなぜかふらふらとしているフレア。ほかの皆は集まって何か話してる。

とりあえず皆の方へとよろよろと歩いていくと、こっちを向いていたカナちゃんだけが私に気が付いた。


「あ、ミウ。もう平気ですか?」

カナちゃんの発言にほかの皆も私に気が付く。


「ミウシアさん、心配しましたよ!凄い勢いで飛んできてとっさにアルカナがウォーターボールで止めてくれたんですよ!」

私が激突したのは水球か...。昔なんかのテレビで見たけど、とても高いところからプールに飛び込んで亡くなった人が世界にはいるらしい。なんでも、高ければ高いほど、入水時の水は固くなるらしい。原理はわかんないけど私も斥力の盾せいで....。


「あ。」

そこまで言って気が付いた。斥力の盾で自分をふきとばすために飛び兎を手放しちゃったんだ。

探さないと。


「カナちゃん助けようとしてくれてありがとね、痛かったけど!」

一応カナちゃんにお礼?をして私はイエティの死骸がある場所の奥、私とイエティが戦っていた辺りへと向かった。

途中フレアが「おぉぉ、ミウシアぶじだったかぁ...」と苦しそうに声をかけてきたからイエティを倒したことを褒め、皆と合流して休憩しているように伝え、私は歩き進めた。


イエティが地面の氷をはがしてこっちに投げつけてきてくれたおかげで、地面がえぐれてすぐにその場所へとたどり着くことができた。


「えーーーっと確かこの辺...あったあった。よかったーーーーー。」

抜き身になった飛び兎は固くなった雪に刺さっていた。

飛び兎を引き抜こうと枝垂桜が描かれた柄の部分に手を書けようとしたとき、雪の下の氷部分に何かきらりと光るものを目にした。

何だろう?


スッと飛び兎を雪から抜いて、地面の硬くなった雪を飛び兎で削ると、白色の雪の中から半透明な氷の地面が現れた。


「氷...?この下に何か見える....。」

しかし氷の表面を荒く削ってしまったためよく見えなかった。

フレアに呼んで溶かしてもらった方がいいかも。

場所がわからなくなるとマズいため、皆を呼んだ。


「みんな~!ちょっとこっち来てほしい~!!」

一番遠くにいるカナちゃんたちは手で輪っかを作ってくれたので伝わったことが分かった。

その手前にいるフレアは少しぐったりとしながら手をさっと上げ、了解の意を表した。まだ気持ち悪いのかな?なんか目が回ったときは逆回転で中和できるって話をどこかで聞いたことがあったなぁ。さっきはどっち向きに回転したかわかんなかったから確かめようがなかったけど...。


少し待つと皆が困った顔で何か話しながら向かってきた。

その様子が気になったので私は自分の発見したものの前に皆へと質問することにした。


「みんな難しい顔してるけど、どうしたの?」

ルクスの表情は読めないけど尻尾がぺたーーーんと地面にくっついていることからしょんぼりしていることが分かった。


「イエティ倒したじゃん?でも階段っぽい場所がないんだよね~、るっくん心当たりないの?」

「う、うむ、確か普通に下に向かう階段があったのだが....あまりでかくなかったな。」

....?もしかして私が見たのは階段だったりする?


「あ、もしかしたらだけど、私が呼んだ用事で解決するかも?」

「つまり階段があったです?」

かなちゃんがきょろきょろと周囲を見渡す。


「もしかしたら、だけどね!えーっと...ここ!ここの氷の向こう側になんかあるんだよね~。」

私が先ほど飛び兎が刺さった地面を指差すと、皆は立ったまま地面を見つめた。

しかし私が氷の表面を削ってしまったためよく見えない。

レオが屈んで地面を観察しようとするとフレアがそれを手で止めた。


「ここはあたしの出番って訳だろ?一気に溶かしてやるよ!ミウシアは魔物の死体を回収しておいてくれ!」

「わかった、じゃあフレアよろしく!」

とはいえ相当な数のスノーマンを倒したから集めるのも一苦労だ。

この世界に来たばかりの頃は生き物のグロテスクな死体を見るのは抵抗があったけど、今ではもう慣れたものだ。

なんだかなぁ。


両断されたイエティ、私が倒したバラバラになったスノーマン、拘束されて魔法を利用された後倒されたスノーマンの死体を回収し、カナちゃんたちが一匹ずつ仕留めた散り散りになったスノーマンたちを回収していく。

なんか自分の家で宅飲みをした後の片づけを思い出す。皆元気かな?地球に残った武蔵は元気にやってるかな?

私がこの世界に来る時間まで地球で暮らしたら会ってみても....いや、もし自分自身に惚れられても困るしやめておこう....。

読んでくださってありがとうございます!もしよろしければ下の欄の✩をタップして頂けると励みになります(*ˊ˘ˋ*)

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