「78話 忘れられない快感 」
SIDE:フレア
「....へ?」
あたしとレオはなぜかこちら側の壁に叩きつけられて悶えてるイエティを見て呆然としていた。
ちょっと何が起きたか落ち着いて考えよう。
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え~~~~っと、まず、あたしと戦っていたイエティがいきなりミウシアの方に向かっていった。
しかもこのラヴァ・アックスを手で払いのけて、手でだぞ!?さすがのイエティも手が一部焼け焦げて炭みたいになってやがった。
なのにそれを気にせずミウシアを追っていく。
まぁなんにせよあいつのスピードならイエティ程度の速さ大したこたねぇだろって思ってた。
でもあいつは逃げようとしねぇ、何かしら策があるんだろうがどちらにせよ最悪の事態を考える必要があった。
だからあたしはレオに目配せをして茨の魔法をするよう促した。
でもレオの茨は宙を切った。イエティの棍棒がミウシアの黒い板に当たる瞬間、イエティが棍棒と一緒に後ろに吹っ飛んだ。
あれはミウシアが凄い勢いで弾いたとかそういうんじゃねぇ、なんつーか、反射?下手したら板に当たる前にはじかれてたんじゃねぇか?
イエティはそのままあたし達のいる場所の上空を飛んでいって、壁にぶつかってそのまま地面に落ちた。
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「よくわかんねぇけど、ミウシアがあたしらの知らないスキルでイエティを弾き飛ばしたって訳か?」
「....ポイねぇ~。とりまイエティも悶えてるし一旦集合して作戦考えよ~。」
それもそうだな、ミウシアが謎の反射板を使えるとしても決定打にはなんねぇ。
何か大技を決めなきゃなぁ。
アルカナとトルペタとルクスは...まだ戦ってるが逃げ回るスノーマンを追いかけ回してるだけだし大丈夫そうだな。
「レオ、そろそろ5分くらいか?あいつらに呪文跳ね返す奴かけてやった方がいいんじゃねぇか?.....まてよ?」
閃いたね。これならいけるかもしんねぇ。
「フレっちどったん?」
「ちょっとあたしに考えがあるんだけど、イエティが行動できるようになる前に一旦集合しとこうぜ。」
「りょ~。」
あたしとレオはまずミウシアと合流し、アルカナ達の方へと向かうことにした。
ミウシアはイエティの攻撃を防げたことに安堵したのか、前かがみになって一息ついている様子だった。
あたしたちが近づいてきたことに気が付くと駆け足でこちらに近付いてくる。
すげぇニコニコしてんなコイツ。さっきはビビらせやがって。
心配して損した...。
「ねぇ見た!?いやー、実戦では使ったことが無かったからもし失敗したらどうしようとか思ってたけど余裕だった、あいたぁ!!!!!何で!?」
実戦で使ったことなかったのに逃げるのをやめて真正面から受け止めるとかアホだコイツは。
無駄に心配かけたくせに嬉しそうにはしゃぐ姿がちょっとイラっとしたので、頭に軽めの拳骨を入れておいた。
「あーゆー技があるなら先に言っとけアホ。....それで、イエティをどう倒すかなんだが、ちょっとあたしに考えがあるから一旦集合しよう。レオ。あとでスノーマン一匹捕まえることはできるか?」
「おっけー、一体なら確実かな~」
「それじゃあアルカナ達と合流しようぜ、詳しい話は合流後に伝える。」
頭を押さえてるミウシアは置いといてレオとアルカナ達の方向に歩きながら話す。
「ちょっと...たんこぶできたじゃん....。フレア馬鹿力なんだから手加減してよね....。....あれ?ちょっと待ってよ~!」
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SIDE:トルペタ
あああああああくそおおおおおお!!!
残り数匹なのにスノーマンになんで攻撃が当たらないんだよ!!
俺もアルカナも逃げるスノーマン3体を追いかけ続けてへとへとだ。
石を投げたり魔法を唱えることもせず、逃げに特化されるとこうもすばしっこくなるのか。
ルクスさんも木の上を素早く移動するスノーマンには追い付けないらしく、木の下からグルルルと唸り声をあげていた。
「ぜぇ....ぜぇ....。私にも素早くだせる...ぜぇ...拘束魔法があれば...。....ふう、そろそろ5分です、一旦レオ達の元に向かうですよ。」
アルカナが立ち止まり、息を切らせながら俺に闇属性反射魔法の期限が近いことを教えてくれた。
もう5分か...。
「ルクスさん!こっちへ!」
俺が伝えるとルクスさんは俺らの元へすぐに走って合流した。
「....どうやらあちらも何かあったようだな。」
「「?」」
ルクスさんが向いた方向に目をやると、フレアさんとレオさん、頭に大きなたんこぶができたミウシアさんがいた。
「ミウシアさん!大丈夫ですか?」
「え、あぁ...これはなんというか...。」
「気にすんな、こいつのコレは大した傷じゃねぇ。それよりもあたしが考えた作戦を聞いてくれ。」
バツの悪そうな顔でフレアさんのほうをジトーッと見つめているミウシアさん。
何があったかは知らないけど無事ならよかった。
「まずレオ。あたし以外の皆に例のダークなんちゃらをかけてくれ。あたしにかける必要はない。」
「???とりあえずりょ~。マナ・ダーク・リフレクション~。」
フレアさん以外の皆がキラキラと薄く輝く。
なんでフレアさんは自分以外って言ったんだ?
「読めました。この次のフレアの発言は『スノーマンを捕獲する』です。」
アルカナの発言に驚いたように目を見開かせるフレアとレオ。
ミウシアさんは頭の上に両手を乗っけて話についていけないと言った表情をしている。
「よくわかったなアルカナ。捕まえたらそいつを動けなくして脅して魔法を出させるんだ。あたし以外に魔法を出したら反射したタイミングであたしがスノーマンの前に出る。あたしに魔法を出して来たら受ける。」
「まさか....。」
アルマジロを抱き潰したレベルの力が癖になったのか...?
「フレア、もしかして弱体からの超強化でゴリ押そうとしてない?でもあの効果って何が来るかわかんないけど、もしかして腕力低下の効果が出るまで何回も繰り返そうとしてる?」
ミウシアさんも気が付いたみたいだ。
「いくら何でも危険ではないです?ミウが一人で相手してなきゃいけないですよね?」
「あぁ、そうか。お前らは見てなかったな。ミウシアにはどんな攻撃も弾く盾を作り出すスキルがあるみたいでな、それがあれば多分平気だろ。それに....。」
ミウシアさんはそんなスキルを隠してたのか。
ちょっと反則の強さじゃないか、マナの消費量は大丈夫なんだろうか。
「それになんです??」
アルカナが最後の発言に対して質問するとフレアさんはモジモジしながら小さく答えた。
「忘れられねぇんだ....あの力、あの爆発的な快感が....。」
「あっ、はい。」
ミウシアさんが少し遅れて先ほどのフレアさんの発言に焦ったように抗議しだしたが、「ちょちょちょっとまって、マナが」と何か言いかけたところでルクスさんが割り込んだ。
「ダメだ。イエティが近付いてきている。もうその作戦でやるしかないだろう。私達はスノーマンを捕獲すればいいのだな。」
ルクスさんはそう言い残してスノーマンへと走って向かう。
続いてレオさんとアルカナも向かっていく。
ミウシアさんは大丈夫なんだろうか。
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SIDE:ミウシア
ったく!最後まで話させてほしいもんだよね!
私は先ほど確認したステータスをもう一度見返した。
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名前:ミウシア
種族:バーニア族(半神)
職業:短剣士(Lv59)
HP:350/560(150UP)
MP:1250/5982(1852UP)
力:B(2段階UP)
防御:D
魔力:A-(1段階UP)
早さ:A+(1段階UP)
運:A+
称号:善意の福兎(6柱の神の祝福により効果UP)
・自分以外のHPを回復する時の回復量+100%
・誰かのために行動する時全能力+50%アップ
・アイテムボックス容量+100%
・製作、採取速度+200%
※このスキルはスキル「鑑定」の対象外となる。
※このスキルを持っていると全NPCに好意的な印象を与える。
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名称:飛び兎:光/闇(小太刀)
レベル:59(18UP)
品質:A+
祝福:済
武器性能:攻撃力+115(17UP)
構成素材:黒錬鋼、陰陽樹、漆、チェラリの染色剤
説明:鍛冶師ゴーゲンがミウシアに贈った小太刀。
補足:・取り込んだマナが一定量に達すると成長する。
・祝福により小太刀を通して光/闇属性のスキルを発動することができる。
・黒錬鋼でできた刃は決して形状が変わることは無い。
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マナが!ないんだよ!!!
えーっと、使ったスキルは~。
・足裏ダーク・スピリット(常時)
・引力の剣(仮)
・斥力の盾(仮)
・影潜り
絶対引力と斥力の奴が大半占めてるよね、あーもっと消費MP調べておくんだった。
そうこう考えている間にイエティが近くまで迫...数メートル手前で止まって私の出方を注視し出した。
これはきっと斥力の盾を警戒しているんだろうな。
さっきの作戦を決行するならスノーマンを捕まえて拘束してフレアが魔法にかかって効果時間が切れるまで、私はイエティを引きつけなければいけない。
よーし、このまま警戒し続けてくれ~。と願いながら飛び兎を構えたままイエティの方を向く。
こうしている間にも足裏ダーク・スピリットのせいで徐々にMPが減っていく。
まぁこの技は微々たるものだけどね...。
「グルルル...」
イエティは赤い目を光らせながら唸り声を上げている。
腕をだらんとしたに下げて石の棍棒を地面に引きずるように持っているため、すぐに攻撃してくることはないと思う。
にらみ合うこと数分、後ろの方からワーワー声がする。少しだけ耳を傾けて会話の内容を聞く。
「バカオマエ、コレジャネェヨ! キンリョクジャクタイカッツッテンダロ!!!」
「もっと連発してくれないですかね、えいっ!えいっ!」ボコボコ
滅茶苦茶早口なフレアと硬いもので何かを殴るカナちゃん。
多分速度低下の副作用の効果が出てフレアが文句をいって、カナちゃんがスノーマンを殴っているのかな....?
スノーマン、あわれなり。
と、私が後ろに耳を向けているとイエティがだらんと伸ばした腕で硬くなった地面の雪をすくい上げ、こちらに向かって投げてきた。
中途半端に固まった雪は私達が乗っても割れない程度には硬くなっているため、人ひとり分はある大きな氷の塊となって私に向かってきた。
視界を邪魔しに来たのかな。
私はイエティが氷の影に隠れて走ってくると予想し、左に大きく弧を描くようによけた。
しかし避けた先にも氷の塊を飛ばしてくるイエティ。
読まれてたなんて!このまま左右に避けても氷を投げてくるか、イエティが氷の影にいるかもしれない。
それほどまでに大きな氷だった。
私は斜め後ろに飛び上がり逃げる、この地面でそこまで踏み込むことはできないが、極小規模の斥力を足の裏に展開することで大きくジャンプすることに成功する。
飛び上がりながら周囲を確認すると飛び上がった私の真下にイエティが見えた。
イエティはニタァと気持ちの悪い笑みを浮かべながら走って着地地点へと向かってくる。
この位置だとまずい、斥力の盾を展開してもその後の時間稼ぎができないかもしれない。
「ミウシア!!いいぞ!!!!!」
ナイスタイミングでフレアの声が聞こえた。
しかし、着地地点にはイエティがいる。
飛び上がったのは間違いなく失敗だった。...こうなったら多少のダメージは覚悟するしかない。
私は手に持っていた飛び兎の私側の刃に斥力の盾を展開し、飛び兎から手を放す。
そのまま斥力の盾に向かって蹴り技を放った。
「っっ!!」
次の瞬間視界がぐるぐると周り、いろんな方向から圧迫感を感じた。
なるべく地面にぶつかった時の衝撃を減らすため、体を丸くして私は衝撃に備えた。
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