「7話 星のルール 前編」
「大雑把にやってもらうことを言うと、武蔵さんが星の設定を決める~、私がそれに沿って星にルールを設定していく~、知能持った生物が出てきたら武蔵さんが地上におりる~、そして星でなんやかんやしていい感じにしていく~、終わりです~」
机に伏せながらこっちを向いて俺に説明を始めるティアさん。
説明しながらティアさんの頭の上に手書きの絵のようなものが浮かぶ。ゆるーい絵で多分今の説明を表してくれてるんだと思うが、ティアさんの頭からぽこぽこ絵が飛び出てくる図は見ていて面白い。
「そもそも俺が地上に降りなければいけない理由は何なんだ?神界からぼーっと見てればいいんじゃないのか?」
「それなんですけど~、宇宙神様とか私でしたらそれでいいんですけど~武蔵さんは半神じゃないですか~、だから直接地上でうろうろしてその神力をまんべんなく振りまかなきゃいけないんですよ~。そしたら星の寿命はより長引くので~!」
「なるほど、とりあえずそこまでは理解した。じゃあ俺の好きなゲームの世界と似たような世界でもいいのか?」
「はい~もともと娯楽からアイデアを出してもらおうと思ってましたので~、そのゲームの設定教えてください簡潔に~」
(ちょっと緩すぎないか?というか無防備すぎて目のやり場に困るんだが・・・。)
机に伏せてこっちを見ているティアさんは、なんと胸を枕にしている。ティアさんのほうを向いて話すと必然的に胸にも目がいきそうになる。
(耐えろ~俺耐えろ~あれはただの枕だただの枕。もしくは風船だ。)
俺はティアさんの目をまっすぐ見つめながら「Race Of Ancient Online」(レイスオブエンシェントオンライン)の設定について説明を始める。
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「Race Of Ancient Online」(レイスオブエンシェントオンライン)
ジャンル:アクションRPG/VRMMOオンラインゲーム
機種:専用VRヘッドセット
価格:月額1580円
基本設定:豊かな大地が広がる星「サスティニア」、その星は時には女神、時には男神として描かれる創造神によって生まれた6柱の神々が管理していた。
創造神は6柱の神にこの星の「生命の繁栄」と「技術の発展」を任せた。
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「ティアさんいま目閉じてなかった?」
「気のせいですね~聞いてますよ~」
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自然を司る神「ルニア」は「生命の繁栄」のため植物に知能と自然の力「マナ」に干渉する力を全ての植物に与えた。
ルニアにより力を得た植物は「ドライアド」と名乗りマナで作った果実を動物に分け与え動物たちの進化を促進させた。
知能を持ち文明を築く素質のある種に神々は祝福を与えた。
平和を司る神「ヒュム」は争いを好まない温厚な猿族に。
力を司る神「ジア」は2m程の巨体を持ち力が強い巨猿族に。
技を司る神「ワォルフ」は手先が器用で小柄な小猿族に。
娯楽を司る神「シーア」は自由気ままに生きる猫族に。
自然を司る神「ルニア」はドライアドと共存し自然と共に生きた兎族に。
祝福を受けた種族はそれぞれ特徴を残しながら神に近い見た目を持つ人類になった。
そして文明を発展せるため、争いを司る神「デストラ」が人類以外の知能を持つ素質のない動物により強い「マナ」の力を与え、人類と対立させた。
こうして人類は手を取り合い、マナ持つ知無きモノ(通称:魔物)と戦うこととなった。
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「ティアさん聞いてる?」
「あーはい、神さまのバーゲンセールですね~」
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しかしある日、魔物の中で知能を得た者たちが現れた。自らを「魔族」と名乗り、正当な人類はより多くマナを持つ魔族だと言い張り、人類を侵略し始めた。
人類たちは魔族が率いる魔物を食い止め、強大な力を持つ魔族との闘いは各種族は神から信託を受けた者「勇者」達に任せた。
そして長い戦いの末魔族を討伐した人類たちは多大な犠牲と引き換えに勝利を手にした。
全人類の団結が深まったことを喜んだ神は人類に他種族と子を成せるよう全ての人類を祝福した。
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「って感じの話なんだけど、ティアさん??」
俺が説明し終えると目の前には目をつぶったティアさんがいた。
「ちょっと今頭の中でどこまで再現できるか計算してたんです~~」
(ほんとかなぁ。)
「あ~っ!その目!疑ってますね~!ちゃーんと計算終わりましたよ~!」
ティアさんは机から起き上がって目の前の半透明なウィンドウをいじりだした。
「武蔵さんはこの7柱の神様全員分の仕事したいですか~?それとも武蔵さんが作っちゃいます?眷属。」
にへぇっとゆるーい笑い顔を俺に向けてくる。可愛い。
「そりゃ負担を減らせるならありがたいことだけど。そんな簡単に作れるものなのか?もし作れるなら指示出して後は見てるだけとかがいいんだが・・・。」
「お~武蔵さんは私と同じ側の考えですね~~でも残念ながらルールを作るときのお助けAI見たいなものなので人間じゃないんです~。武蔵さんは人間ベースなので実際に星に降りることができますけど、眷属たちはあくまでも神なので星には降りれないんです~。」
(ナビシステム的なNPCを作り上げるって考えでいいのか?)
どちらにしろ俺の仕事はNPC的な俺の眷属を作ってちょっと見届けたらその星に降りるということになるらしい。
「あ、俺ってその星で死ぬこととかってあるんですか?」
ティアさんはうーんと悩んだあとちょっとだけ険しい顔で答えた。
「武蔵さんの分身を操作して星を降り立つのではなくて、武蔵さん自身が星に降り立つので最悪の場合亡くなることもあるかもしれません・・・・。今のままだとちょっと不安ですよね~そのゲームを元にしてレベルとかゲームシステム的なことができるようにちょっと頑張ってみますよ~~!」
危険と隣り合わせではあるけど何よりRoAの世界を再現し、それを実体験できることに浮かれていた。
それにRoAなら第二の日常といっていいほどに入り浸っていたためきっと安全策を取りながら危険なことをしなければ生き残ることができるはずだ。
「じゃあ7人の眷属にある程度の仕事を任せる方向で頼む。」
「はいは~~い!じゃあ目の前の映像をご覧あれ~」
すると正面の壁に宇宙空間が現れその真ん中に青と緑に包まれた星が映し出された。
「あれが今回武蔵さんが管理する星の「U6235-8795」ん~とゲームの名前を使うと「惑星サスティニア」です!そして~~~」
ティアさんが机の上に浮いているスクリーンを操作すると俺の目の前に惑星サスティニアを小さくしたような野球ボールくらいの球が現れた。
「じゃあ武蔵さん、その玉に手をかざして眷属たちが暮らす世界「疑似神界」を武蔵さんなりにイメージしてみてください~。」
「急すぎる!!その疑似神界ってのはなんなんだ?眷属はこの神界に住むんじゃあ・・・。」
「武蔵さんが作る眷属は人間と神の中間になりますので~神界にも地上にも居場所が無いんですよ~」
(なるほど、眷属はこの神界にいるティアさんよりも下位的な存在でこの神界には存在できなくて、人間よりかは上位的な存在だから地上で暮らすこともできず俺が住居を与える必要があるのか。)
それならば、と俺はイメージを膨らませて眷属が住みやすい居場所を作ることにした。