「60話 ボス部屋 」
トルペタ君が大量のアンデッドを仕留めた技はディザスター・アローと命名されて次から技名を叫ぶことが(カナちゃんによって)義務付けられた。
その後も私達はダンジョンの奥へと進み続けた。
道中に出現したのはアンデッド系の魔物ばかりでもう気分が悪くなったよ...。
私とレオの光属性がアンデッドには有効らしく、レオが<浄化>クリアで弱体化させた魔物を、私の魔法、光属性のマナを剣に纏わせるホーリーソードがあれば楽々倒せた。
逆に言うと風属性なのにあれだけ楽々敵を殲滅させた、トルペタ君のディザスター・アローはえげつないほどの威力だよね。
それと道中に気になることがあった。魔物の死体が散乱していた場所が多々あったことだ。
他に冒険者がダンジョン内にいるのかもしれない、トラブルにならないといいんだけど....。
そんな時、先の方にとても大きな扉を見つけた。3mはある金色の扉を開ける方法が全く思いつかないんだけど。
「??皆気を付けてー。この奥にでっかい魔物いるよー。」
頭の上に乗っていたわたあめは風魔法を使ってふよふよと浮きながら、私達の前に移動して状況を教えてくれた。
ボス部屋、みたいなものなのかな。
アンデッドの多い階層のボス、何だろう?
「ドラゴンゾンビみたいな感じだったりして。」
冗談めかして場を和まそうと最強の魔物と言われるドラゴンのゾンビの名前を出すとカナちゃんが薄ら笑いをしながら反応してくれた。
「まさか、ドラゴンは魔大陸の中心に....このダンジョンミミックが前に魔大陸にいたことがあるならあり得るかもですね。」
まさかの同意。もしこの先にドラゴンゾンビなんていたら私達で太刀打ちできるのかな...?
「ちょちょちょちょ、やめてよ~。ドラゴンなんて勝てるわけなくなくなくない?」
「レオさん、口調戻ってますよ...あぁ、精霊が」
ふわ~っとレオについていた精霊たちが離れていく。それを見て焦ったレオは髪の毛を櫛で整え直して服もしっかりと着直す。
妖精たち的にギリギリセーフだったのか、一度は離れて行った妖精が渋々といった動きでレオの横に戻ってきた。
こんな状態で大丈夫なのかなぁ....。
「さて、準備はいいです?念のために皆を鑑定しておきましょうか。<広域鑑定>エリア・アナライズ!....え....。」
い、いつのまに範囲鑑定なんて使えるように....。
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名前:ミウシア
種族:バーニア族(半神)
職業:短剣士(Lv34)
HP:310/370(50UP)
MP:3040/3430(820UP)
力:C+
防御:D
魔力:B-(1段階UP)
早さ:A-(2段階UP)
運:A+
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名称:飛び兎:光(小太刀)
レベル:34(8UP)
品質:A
祝福:済
武器性能:攻撃力+90(8UP)
構成素材:黒錬鋼、チェラリの硬木、漆、チェラリの染色剤
説明:鍛冶師ゴーゲンがミウシアに贈った小太刀。
補足:・取り込んだマナが一定量に達すると成長する。
・祝福により小太刀を通して光属性のスキルを発動することができる。
・黒錬鋼でできた刃は決して形状が変わることは無い。
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名前:トルペタ・アロー
種族:ドワーフ族
職業:弓使い(Lv36)
HP:120/140(40UP)
MP:1200/3654(1240UP)
腕力:C+
防御:E
魔力:B+(2段階UP)
早さ:D-(1段階UP)
運:A
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名称:ウィングボウ:風
品質:B+
祝福:済
武器性能:攻撃力+60
構成素材:シルフの風木、グレータースパイダーの撚糸
説明:風の精霊と言われているシルフが生息している木から作られた弓、強靭な糸を吐き出すグレータースパイダーの糸を
使用しているため、小さくても威力はすさまじい。
補足:・風のマナの影響で風属性のスキルの効果が大幅に上がる。
・祝福によりボウガンを通して風属性のスキルを発動することができる。
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名前:アルカナ・マジック
種族:ヒューマン族
職業:魔導士(Lv37)
HP:130/180(50UP)
MP:3416/3764(348UP)
腕力:E
防御:D
魔力:A-
早さ:D+(1段階UP)
運:A-
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名前:レオ・フェアリアル
種族:ケットシー族
職業:精霊使い(Lv40)
HP:90/115(25UP)
MP:2840/4005(120UP)
腕力:E
防御:E
魔力:A
早さ:D-(2段階UP)
運:D-
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「今回私全然活躍できてないです!!!ミウとトル君ばっかり敵倒して全然強くなれないです!!!!というか二人ともスポンジみたいにマナの吸収率良すぎです!!!」
ぷりぷりと怒っているカナちゃんを眺めてから鑑定結果を教えてもらってびっくりした。
いくら魔物を倒しているからとはいえ、レベルの上がり方、能力の上がり方がすさまじい。
「え、普通ってどれぐらいのペースでレベルとか能力値が上がるの?」
うーんと考えこんでいたレオが私に説明してくれた。
「普通はミウシアちゃんやトルっちくらい敵を倒してようやく今のオレくらいの上昇率だね。...今まで魔物を倒したことが無いんだったら普段の生活の中で鍛えられた、潜在能力的な何かが元々高くてマナをより効率的に吸収できたのかも知れないね。とりあえず、みんなの体力を回復しておくよ。<治癒光:拡散>サークル・ライト!」
レオが説明と共に範囲回復で微妙に傷ついた私たちの体を回復してくれた。
よくわかんないけど才能があるってことかな?
私の体は作られたものだからわかるけど、トルペタ君はやたら才能があったってことになるなぁ。
「トルペタ君は才能があったんだね~。」
「それを言うならミウシアさんもですよ!...このまま強くなれば英雄と呼ばれるのも夢じゃないのかな。」
トルペタ君が目をキラキラさせながらそんなことを言うもんだから、さっきまでふてくされてたカナちゃんも毒気が抜かれたみたいで優しい笑みをトルペタ君に向けていた。
「私ももっと強くなるです。....それで、どうやって入ればいいです?コレは....。」
カナちゃんが指さす方向にはおそらくボスのいる部屋に続く大きな金の扉がある。
私達の中には力に自信がある人はいないからなぁ。
うーん、どうしたもんか。と四人で頭を捻らせているとふわふわと浮かぶわたあめちゃん...なんか本当に雲みたいだね。
わたあめちゃんが提案した。
「ボクが開けようか~?全力でいいなら開けられると思うよー。」
4人で顔を見合わせる。皆、やれるならお願いしたいけど無理じゃね?という表情をしていた。
口を開いたのはトルペタ君だった。
「わたあめがもしできるなら、お願いしてもいいかな?」
子供に諭すように伝えたトルペタ君の顔はどこか困り顔だった。でも見た目だけならトルペタ君もそっち側だからね。
ふわりと私よりも高い位置まで移動し扉の方を向くと大きな魔法陣が浮かぶ。
「じゃあ行くよー!」
「!!皆危ないです!伏せるです!」
カナちゃんの警告を聞いてとっさにしゃがみこんだ私達は予想以上のマナを感じていた。
「<風槌>エア・ハンマー!」
次の瞬間、重量のある金属同士をぶつけたような大きな音とものすごい風圧を感じて私達はしりもちをついた。
私は他の三人よりも耳が良いため耳が聞こえなくなるほどだった。
「----!!-!!」
カナちゃんが扉の中を指さして慌てている。だけど耳がキーンってなっててよく聞こえないよ!
トルペタ君とレオが武器を構えた。何事?!
だんだんと耳が聞こえるようになってきて、周囲を確認する余裕が出てきた私は扉の中にいるモノを見て驚愕する。
「ほらぁ...だってフラグ立ってたもん....。」
扉の先は暗さも相まって奥が見えないほどの大きな空間が広がっていて、壁際には大量の生き物の骨が散乱している。
そしてその中央には...私たちの家を超えるほどの巨体で、異臭を放つただれた肉と、飛び出す骨を持った....。
「そりゃいるよ....。ドラゴンゾンビ(・・・・・・・)」
私達が冗談めかしで話していたドラゴンゾンビが真っ赤な目でこちらを見つめていた。
「あ、じゃあボクはここで待ってるね....。」




