「58話 ダンジョンの奥深くへ 」
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先日またまたご感想を頂きました!自分の作品に意見が寄せられるのは本当にうれしいですね...
こんなところがよかったよ、こんなところはだめだね、ここってこうなの?等、どんな意見でも大歓迎ですので、ご感想お待ちしております!!
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クロウバードをレオがあっさりと倒してから私たちはずんずんとダンジョンを進んでいた。
「最初の階層は敵が少ないんですね。」
トルペタ君は出番が無くてウィングボウの弦を指でびょんびょんと弾くくらい暇そうにしていた。
クロウバード以外に出てきた魔物はRPG定番のスライムのみだった。
スライムは半球体でマナを多く含んだ液状の体を自在に柔らかくしたり硬くしたりすることができる。
身体の中心部にあるコアを破壊すれば倒すことが可能。
スライムと聞くとつい弱いイメージが浮かぶと思うけど、この世界のスライムは魔法をマナに変換して吸収してしまうためまぁまぁ強い。
物理攻撃でコアを破壊すればいいだけなんだけど、破壊するために腕力が必要だから魔法使いからしたらたまったものじゃないよね。
「この階層は洞窟ができたときに新たにできた階層ですからね、まだダンジョンに魔物が住み着いてないんでしょう。まぁでもスライムはダンジョンミミックの体内に元から寄生している魔物ですから、うじゃうじゃいてもおかしくないんですけどね。」
スライムってなーんか感触が寒天とかゼリーっぽいんだよね、回収したスライムの死体を乾燥させたら寒天の代わりにならないかな?
ちょっと残して色々試してみよ。
「くんくん...なんかこの先から違う匂いがする、階段があるとおもうよー。」
わたあめが頭の上でもそもそ動いているのを感じる。
もう次の階層かぁ。
「この階は早いね?やっぱりできたばかりだからこの空間も短いってこと?」
「そうだね、寄生期間によって1階層の広さが変わるよ。」
カナちゃんが物知りなのはわかるんだけど、レオもなんだかんだ物知りだなぁ。
やっぱり王族は英才教育を受けてるんだ。
道なりに進むとわたあめの言った通り、5人横に並んでも降りられそうな幅の階段がある。
階段をある程度下りていくと、地層の断面のようにある一定の位置から壁の色が変わっていた。
今までの階層は濃い青色の岩で覆われた洞窟であったのに対して、次の階層は真っ白な大理石のような壁をしている。
「だいぶ雰囲気が変わったね....。」
「むむ、どうやら次の階層は神殿や王宮といった場所に寄生していた頃にできたみたいですね。」
階段の一番下までくると辺りは薄暗い雰囲気に包まれた宮殿のような通路をしていた...んだけど。
なぜか柱が不規則に地面から生えていて、通路は歪んでいる。天井は見えないくらい高い。
簡単に言うと大理石で適当に歪んだ通路を作って、床を平らにした後、王宮にありそうな柱と絨毯と大理石の彫像をランダムに不規則に配置した感じ....だめだうまく説明できない。
レオが辺りを見回しながら顔を歪めた。
「うっわ、なんか気持ち悪いね。」
「そーいえば性格のせいで忘れてましたがレオは王族でしたね、大理石や高級な絨毯、規則的な建築物を見慣れているからこそ気持ち悪く感じてるんじゃないです?」
お城暮らしをしていたレオにとって見慣れたような光景を歪ませたようなこの空間は、気持ち悪く感じるようだった。
きょろきょろと辺りを見回しながらレオが奥に歩いていった。
「そうそう、でも王城の内装はもう少し豪華なんだけどね。....あぁ、そうそう!こんな感じの甲冑がおいてあっ...た...」
柱の陰にあった見事な甲冑を指さすレオ。
次の瞬間、その指は何者かにつかまれる。
「....へっ?」
掴まれた指を見つめて呆けた声を出すレオ。
指を掴んでいるのは...立派なガントレットをした甲冑だった。
「レオ!しゃがんで!」
金属で覆われた甲冑には斬撃よりも打撃の方が利くと思った私は、レオの元へ駆け寄りった。
掴まれた指を引き抜いてしゃがみこんだレオの頭上を、私の鋭い蹴りが通過する。
甲冑の胴体に当たった時、妙な違和感を感じた。
「軽い!?」
ガシャーンと音を立ててバラバラに崩れ落ちたと思ったら、カタカタと音を鳴らしながら再び元の形へと戻った。
「リビングアーマーです!どこかに操ってる魔物がいるは....うぇえええ!」
カナちゃんが解説してくれている最中に、通路を埋め尽くすかのような大量のリビングアーマーが奥からやってくる。
「流石にさばけないんですけど!!!カナちゃんどこに操ってる魔物がいるの!?」
辺りは薄暗く、リビングアーマーを操っている魔物の姿が見当もつかない現状じゃあ、とても探し出せないよ!
トルペタ君が風を纏った弓で数十体のリビングアーマーを崩しても、すぐに元の形となりこちらに近づいてくる。
「俺の矢じゃどうしようもないんですけど!」
「ボクの風もあんまり効果ないなぁ。ちょっと重すぎー?」
私達が苦戦している間にもじわじわと大量のリビングアーマーがこちらへなだれ込んでくる。
このままだと皆、数の暴力で押し切られちゃう。
私のスキルや魔法は敵が複数だと効果が薄いし、くそー、対多数の戦闘シミュレーションしておけばよかった。
「とりあえず押し戻すです!..えっと.....全てを飲み込む洪水よ...」
「アルカナ!!かっこつけなくていいから早くやれ!!!」
「トル君はデリカシーが無いです!!ああもう!<間欠泉>アクアゲイザー!!」
大きな魔法陣が私たちの前に描かれ、そこから水が勢いよくリビングアーマーに向かって吹きだした。
その威力はすさまじく、半分以上のリビングアーマーを吹き飛ばしながらもまだ水が噴き出している。
吹き飛んだリビングアーマーは後列に控えていたリビングアーマーに当たり、全てのリビングアーマーが崩れ落ちた。
「すぐ復活してくるです!早く元を断つしかないですよ!!!」
「まかせてくれ!...フェアリーたちよ!マナの流れを照らせ!」
レオがフェアリーたちに向けて命令したと同時に、リビングアーマーから青白い靄でできた糸のようなものが見えるようになる。
「リビングアーマーたちの一番奥だ!ミウシアちゃん後は任せた!」
「はいよ!<石生成>クリエイトストーン!」
私は目の前に細い石の柱を作り出した。
この脚力さえあれば、足場を作って高いところまで距離を一気に詰められることにこの前気が付いた。
魔法職じゃないから生活魔法しか使えない私でも、使い方次第でいくらでも戦闘に活かせるもんだなぁ。
一つ目の柱まで飛び上がり、柱を蹴ってリビングアーマーの頭上へと飛ぶ。
「<石生成>クリエイトストーン!」
次に下からの攻撃を防ぐため、絨毯くらい薄くて大きな石を生成し、大勢のリビングアーマーの頭に落とす。
その上に着地して再度前に向かって飛ぶ。....ん?なんか腐ったようなきっつい匂いがしたような....?
リビングアーマーの群れを超えた先には杖を持ち、ボロボロのマントを肩に羽織った腐りかけの人がいた。
....簡単に言うとゾンビ。
とてつもない悪臭が嗅覚を襲い、とてつもないグロテスクな見た目が視覚を襲った。
....これ切りたくないなぁ。
ゾンビは私が飛んできたのに気が付き杖を構えてゆっくりと走って向かってきた。
え、魔法じゃなくて物理ですか?もしかしてこの魔物は鎧を操る魔法しか使えないのかもしれない。
それにしても遅い。私とゾンビの距離は10Mくらいだったんだけど、それにしても全然近寄ってきてる気配がない。
これなら触らないで倒せるかもしれない。
「ん~~、あったあった。」
私はアイテムボックスから油の入った瓶を取り出して、ゾンビのそばに走って近寄った。
ゾンビは反応が遅すぎて私が近づいてもすぐに襲ってくることが無かったため、頭から油を振りかけてやった。
「ヴァー....」
ゾンビがやっとこちらを向いて杖を振り下ろしてくる...けど遅すぎる。
この戦い方ちょっとむごいかもしれないけどごめんね。成仏して。
「<弱火>プチファイア。」
ゾンビの頭上にマッチ棒程度の小さな灯がともる。そのまま頭に落とした途端、その小さな明かりが全身に燃え広がっていき、火だるまとなる。
「ヴアアアアアア!ヴァ..ヴァァ!.....。」
少し藻掻いた後そのまま崩れ去ったゾンビ。さすがに今の光景はトラウマになるかもなー。
ゾンビが倒すと周囲のリビングアーマー達はガシャン!!!と大きな音を立てて崩れ、そのまま動かなくなった。
「ミウ!やったですか!!」
大量のリビングアーマーの死体を踏み越えて三人と一匹がこちらにたどりつく。
「うぇー、何この匂い....。」
わたあめは鼻がいいからゾンビの匂いはきついだろうなぁ。
「とりあえず、これで全部かな。助かったよ、ミウシアちゃん。」
「そうですね。...にしてもこんなにたくさんのリビングアーマーを操るとは...黒こげで何が何だかわかりませんが。」
ゾンビの焼死体を見て首を傾げるトルペタ君。もはや黒焦げのなにかと化したゾンビからは、どのような魔物だったのかと予想することが困難だった。
「ちょっと!あれを見るです!宝箱じゃないですか?」
通路の奥の方にポツンと四角い箱のようなものが見えた。
RPGの定番、宝箱だ!!
私は心を弾ませながらその箱に近づいた。
でも近づくにつれ、そのわくわくとした気持ちは一気に冷めていく。
「.....これが?」
そこにあったのはところどころ腐り果てたティッシュ箱程度の木の箱。
とても宝箱には見えない。
もはやこれ別物でしょ....。ゾンビの小物入れとか。
「ほんとだ、宝箱だね。」
「これが...なんか汚くないですか?」
「やっぱりトルペタ君もそう思う?」
だって宝箱と言えばキラキラした装飾のついた豪華な箱なんじゃないの?
でもあれだと宝箱事態にコストがかかりすぎちゃうのかな?うーん。ダンジョンと言えど所詮は魔物か。
ばっちくて触らないでいるとカナちゃんがしびれを切らしたのかその汚い箱に手をかけた。
うまく開かないのか力を込めながらギッギッと少しずつ開けていく。
ようやく空いた宝箱からはスチームパンク風の皮と金属でできたゴーグルだった。
ところどころに歯車が見えることから、何かしらの機構が組まれていることがわかる。
鑑定してみればいいのか。
「ちょっと見てみるね。<鑑定>アナライズ!」
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名称:遠視のゴーグル
品質:A
祝福:可
防具性能:魔力+
構成素材:魔鋼鉄、スナイパーホークの水晶体、マナベアーの皮
説明:視界の拡大、縮小が可能なスナイパーホークの特性を特殊な機構とマナにより再現したゴーグル。
補足:・少量のマナを込めると視界の拡大縮小が可能になる。
・装着していると魔法効率が良くなる。
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「...遠視に魔法効率のアップ...。」
素直に驚いた。遠くが見えて戦闘が楽になるのはトルペタ君だ。
これがあればトルペタ君はもっと強くなれるんじゃないかな?
私は鑑定結果をみんなに伝えた後、このゴーグルをどうするか尋ねた。
「この遠視のゴーグル、売る?使う?...私はトルペタ君が装備するのがいいと思うんだけど....。」
性能を伝えたときのきらきらした目、私は気付いてたよ。というか多分皆も気付いてたと思う。
「いっ、いいんですか!?」
「トルっちが使えばパーティとしての強さも上がるしいいんじゃないかな?オレもカナっちも使えるのは魔法効果上昇部分、遠視の性能に関してはあまり効果ないしね。」
「ですね。」
皆の意見がまとまったところでトルペタ君にゴーグルを渡した。
トルペタ君は嬉しそうにゴーグルを受け取るとさっそく頭につけて、レンズ部分をパカパカ開閉したりしている。
ちなみにわたあめは物理的に装備できないから相変わらず私の頭の上で寝てる。
わたあめサイズのリュックかウェストポーチでも買った方がいいかも、軽いとはいえいつも乗っかられると首が痛くなる。
ゴーグルの扱いが決まったため、私たちはダンジョンのさらに奥に向かって歩き出した。
カナちゃんがテンションの高いトルペタ君に向かって話しかけた。
「トル君も上級職になる準備が着々と進んでるですね。」
上級職についてこの世界で耳にしたのは初めてだったから、驚いておもわず耳がカナちゃんの方へと向く。
トルペタ君は上級職の存在自体知らなかったのか首を傾げていた。
「「上級職って??」」
私とトルペタ君が問いかけるとカナちゃんの説明が始まった。
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