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「54話 上陸 」


わたあめの風魔法によって妨害を受けていたため長く長くかかった航海もようやく終わり、私達は目的の南東の大陸の港についた。

港と言っても人は誰もいなくて桟橋とぼろ小屋しかなかったから、橋と船をロープで括り付けてひとまず停泊させることにした。


ここで一度転移石で戻ってもよかったんだけど最終手段として残すことになったので今回は保留にして旅を進める方針に決まった。


「にしても、熱いしジメジメするし蔦が凄いし森も凄いしきついね。皆無理はしないで。」

レオが戦闘のためイケメンさわやか王子モードで愚痴をこぼす。

レオとカナちゃんの服って暑そうだけどばてたりしないかな?心配だな。

というかここ、ジャングル地帯?みたいだね、強そうな魔物が出そう。


「とりあえず、魔物を倒しながら近くの村に行けばいいです?魔物の討伐を示すような唯一の素材を冒険者ギルドに提出して報酬を貰うですからここからは適当に安全に旅すればいいですよね?」


「来たことのない場所だから警戒を怠らないようにしないと....。」

今覚えばこのメンバーの中で私とトルペタ君が段違いにレベルが低いんだよね。

どうにかして追いつかないと。


「カナちゃん、レオ、私とトルペタ君が戦うからサポートお願いできる?私達は経験が足りなすぎるからもっと戦っておきたいんだ。」

「「わかった(です)」」


「わたあめは一番後ろで敵の警戒お願い。」


「わふ!まかせろー!」

私を先頭に警戒しながらジャングルを進んでいった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

数10分進んでも代わり映えのない景色。

道に迷いそうなのでわたあめにマーキングとかしないの?って聞いたら怒られた。なんでも排泄はせずに口に入れたものはマナに分解して全て体に吸収されるらしい。何それ凄い。無限マナ変換機構じゃん。

逆にわたあめにミウシアがやればいいじゃんと言われたからほっぺをむにむにとひっぱって「めっ!!」と叱っておいた。

失礼しちゃう!....同じことか...?


とりあえず落ちている長めの枝を地面に突き刺して枝の先におおきめの葉っぱを指して目印とした。

その時、ドス、ドスと重量感のある足音が私たちの横の方から聞こえてくる、距離は100mあるかないか。


「みんな、構えて。大きめの何かが右方向100mくらい先から来てる。」

トルペタ君は弓を構えたが射線に木や枝といった障害物があって狙いをつけにくそうにしている。


「ミウシアちゃん、脚力と腕力どっちを上げたい?」

「んー、敵が堅そうなら腕力、柔らかそうなら脚力でお願い。」


50mまで来たところで一気にこっちに向かってくる速度が速くなる、あと数秒で接触する。

...トラ!?全長3mくらいのトラだ。こいつは多分俊敏だ。


「レオ!脚力!」

「了解!マナ・アクティビティ!」

瞬間、私の足が温かくなり力がみなぎってくる。


「コイツはウォータイガー!危険です!おそらくミウ、トルペタ君と同格以上かと!出し惜しみせず全力で行くです!!」

ウォータイガーがわずか2m程度まで接近したところで一番先頭にいた私にとびかかってくる。

恐怖はあるけど不思議と怖くない。

私はこちらへ飛び掛かるウォータイガーにあえて走っていった。

そのままスライディングで下に潜り込み飛び兎にマナを流し込みそのマナを雷へと変質させた。

バチバチと紫色の雷が目に見えるほど飛び兎の刀身に浮かび上がる。


「食らえっ」

そのままウォータイガーのお腹に切り込み入れ...浅いっ!

しかし浅くても切れさえすれば体内へと電流を流し込むことができる。


「ガアアッ!!」

うめき声をあげてそのまま地面に激突するウォータイガー。

感電したのか着地に失敗したようでそのまま立ち上がれないでいる。


「はぁっ!」

トルペタ君が撃った矢は驚くほど音が無く、まるで風が矢を導くようにまっすぐにウォータイガーの目に吸い込まれていった。


「浅いです!まだ動いてくるですよ!」

今までの敵ならばトルペタ君の貫通力を上げた矢で一撃だったけどウォータイガーは防御力が高いのか、目を傷つける程度だった。

目に矢が刺さったまま起き上がり私達の方を睨むウォータイガー、口からはよだれを垂らしてグルルルルと唸り声が聞こえてくる。

あっちが動いてからじゃないと反応される。私の方がレオの身体強化の分早いから敵の後に行動をしたほうが隙を付ける。


そのままにらみ合っていたがカナちゃんが埒が明かないと思ったのかウォータイガーに向けて魔法を発動しようとマナを操作し始めた。

そのマナの動きに反応し、カナちゃんに向けて飛び掛かるウォータイガー。

私のすぐ横を抜けようとしている。


「このっ!」

ウサギの脚力なめるなよ!!

表面が堅いなら内部を破壊する!

私は思い切り大地を蹴って全体重を乗せたままウォータイガの脇腹に蹴りを入れる。


「ガッ!」

足に伝わる鈍い感触から、ウォータイガーの骨を折ったことが伝わってきた。

レオによる身体強化が上乗せされた蹴りは相当強力だったようだ。

私に蹴られたウォータイガーはそのまま横に倒れて息を荒げた後口から血を吐きながら息絶えた。


「ミウシアは蹴りがつよいんだねぇ~。今僕も魔法で倒そうと思ったんだけど全然平気だったねぇ~」

ぽてぽてとわたあめが私に近づいてきたので抱き上げるとぺろぺろと顔をなめてくる。

そのまま頭の上の耳と耳と間にぽてんと乗っけるとすぐさま落ち着いたのか力が抜けてお腹を頭にぺったりとつけてくつろぎだした。


「はは、ちょっと危なかったね。皆平気?」


「平気ですが...これは皆で戦った方がよさそうですね。」


「俺もそう思う。今回はたまたま1体だったけどもし2体いたら危なかったかもしれない。」

確かに危なかった。対多数の戦闘について色々考えておかなきゃいけないな。

にしても、敵の強さを把握しようとしても鑑定をするタイミングが全然ない。

鑑定も武器に魔法陣を描いておいて戦ってる最中に報告したほうがよさそう。


「ミウシアちゃんは擦り傷、カナっちはちょっと爪が当たったのか怪我してるね。」

複数の精霊が私たちを囲うようにぐるぐると回りだす。

その軌跡が魔法陣となって温かい光が漏れだした。


「<治癒光:拡散>サークル・ライト!!」

暖かくてきもちいい...。

スライディングした時の足の擦り傷がどんどん癒えていく。


「精霊を使っての魔法陣形成ですか....なるほど、それならこの範囲の回復魔法を唱えることができますね。...そうだ、ミウ、さっき剣に雷を纏わせてませんでした!?あれは『全戦無傷のルクニカ』くらいしか使えない技のはずですよ!?」

ニカさんてそんな二つ名があったんだ...。

全戦無傷ってホントなら最強のタンクじゃん....今のパーティに必要なのはそういう人材なんだけど、まだ見ぬジャイアント族の人はどうなんだろう。


「ニカしか使えないんだ!知らなかった。」

というかニカさんしか雷を扱えないの?そもそもこの世界の人には想像しにくいのかな?


私がニカの名前を出すと三人とも私に視線を集めた。レオまでビックリしてるのは珍しいなー。


「ルクニカ・ホワイトと言えばだれもが知る英雄ですよ!?ミウシアさんはそんな人とお知り合いだったんですか!?」

クルシュ村からほぼ出たことが無いトルペタ君まで知ってるんだ、相当有名なんだなぁ。


「あ..えっと...皆も見てると思うよ?私とニカが一緒にいるところ...。」

あの時のことを思い出すと顔が熱くなる。今更キス程度でここまで照れることないと思うんだけどなぁ。

この身体になってからそういう経験が無かったから恋愛に対して色々とリセットされてるのかな。


「も、もももももしかしてミウシアちゃん、あの時キスされてたのって....。」

「ああ!!!金の短髪!バーニア族!女性からの人気もすさまじい甘い顔立ち!!あの時の女性がルクニカ・ホワイトだったです!?」

「えええええええええええええええええええ!」


「なんだー?騒がしいなぁー。」

静かだと思ったらわたあめちゃん寝てたのね....。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:????

「くそッ!一発も入れられねぇ!」

ルクニカ・ホワイトに挑んだのはこれで130回目。

そもそもランクSにランクBが挑むのがおかしいって思う人もいるんだろうがあたしはそうは思わない。

要は相性だ。自慢じゃないがあたしは力には自信がある。

ルクニカ・ホワイトは防御こそすさまじいがスピードは大したもんじゃねぇ。

殴ってればいつか倒せるはずだ。なのにあいつは倒れねぇ。


「もういい加減諦めてくださいよ。あなたが力に絶対的な自信があったとしても私の守りは破れません。何度やってもね。」

倒れたあたしを見下しながらルクニカ・ホワイト....あたしの幼馴染は冷たく言い放った。

一体どこで差がついたんだ。小さい頃はあたしの後ろをちょこちょこついてくる可愛い奴だったのに...。


「そうですね...もし強くなりたいなら全く違うスタイルの戦闘方法を見て刺激を受けたほうがいいかもしれないですね。自分よりもはるかに速い相手とか...。」

違う戦闘スタイル....?んなもん、力で押せばいいだけじゃねぇのか?あたしの戦闘スタイルは炎の纏った大斧で相手をぶった切るシンプルなもんだ。

確かにすさまじく早い相手とは戦ったことはねぇが当たるまで振り回してればいいだけじゃねぇのか?


「それで強くなれるってのかよ....。」

「さあ?でも今よりはましになるかもしれませんね。...南東の島で常駐している依頼を受けてみなさい。いい経験になるはずよ。」

そう言ってルクニカは去っていった。


南東、南東ねぇ。あの依頼はいつになったら解決されるんだろうな?何年前から出てんだ?

まぁ強くなれるかもしれねぇってんなら言ってみる価値はあるか。


にしても南東なぁ、泳いで数日ってとこだったか?

海の魔物は大きな乗り物には襲い掛かるが人単体には見向きもしねぇんだよな。

久しぶりに鍛錬も兼ねておよいでみっか。



「....案外ジア様が言ってたバーニア族のミウシアってのもそこに居たりしてな....。」

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