表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/163

「5話 夢、そして未知との遭遇」

懐かしい夢を見た。

ばあちゃんが死んだときの夢だ。


俺が小学生の時、ばあちゃんは子供が車に引かれそうになっているところを助けて重症を負い、病院で息を引き取った。

俺は少しだけばあちゃんと話せたけど最後の最後までばあちゃんはばあちゃんだった。


「人生で一番かっこいい人助けだった...はー、満足まんぞ...く...。」

「ばあちゃああああああああん!!!!」


それからばあちゃんの真似をして町で道に迷っている人を助けたときに俺は人助けの気持ちよさに病みつきになったんだっけ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


気が付くと俺は白い空間に一人ポツンとたたずんでいた。


「なんだこれ・・・?」

確か昨日俺はRoAをログアウトした後そのまま寝ていたはずだ。いやな夢を見た記憶はある、10年たってもあの日のことを鮮明に思い出すのはしょうがないほどにトラウマになってしまっているようだ。。

しかしここはどこだ?夢から覚めたんじゃないのか?また夢?


「なんとも殺風景な夢だなぁ。」


見渡す限りの白、白。

他に何もないただ広い白い空間。

早く目が覚めないかなぁ。


ぼーっとしている俺の後ろからいきなり声が聞こえる。


「やあ!」


「うわぁ!!!」


突然の人の声に俺は仰天しながら後ろを振り向いた。

目の前には美術館で見たことのあるような古代ローマ風のローブのようなものを着た銀髪の美しい少年が立っていた・・・・いや、浮いていた。


「君は後藤 武蔵であってる?」


その軽い口調とは対照的に、とてつもない威圧感というか存在感というか何というか直感的に人間ではない高位の存在であることを理解した。


なんだこの子供、鳥肌が止まらない。何か恐ろしい、いや神々しいというべきかだろうか。人間じゃないのかもしれない。

俺はその子供の問いに答えることができず、震えていた。


「?あぁごめん、人間には僕の神力に耐えられないよね、どう?これでいい?」


その瞬間少年から漂う圧倒的な存在感は収まり、俺はようやく声を出せるようになった。


「あ、あぁ。俺が後藤武蔵で間違いない。君は一体・・・?ここは俺の夢の中じゃないのか?」


ただの夢ではないことはこの子供から声をかけられたときから理解はしていたが、納得はできない。この現象はなんだ?俺はこの後どうなる?


「君の夢の中であることは確かだよ、ただ、僕が君と意識をつないだことによって夢と呼ぶには朧気じゃないんじゃないかな。意識がはっきりしてるでしょ?まずは自己紹介から始めるね、僕は宇宙神。この宇宙を管理する神だよ。」


正直素直に信じることはできないが先ほどの体験から目の前の少年が言っていることが本当なのだと直感する。


「宇宙を管理、と仰いましたよね?人間よりも高位の存在であるあなたがどういった理由で私のところへ?」


「ああ、普段の口調でいいよ、君は僕を信仰している訳じゃない。敬う必要なんてないよ。僕がここに来た理由はね、君に頼みがあるんだ。」


こんな存在を目の前にして普段の口調に戻せるような図太い神経は持ち合わせていないが、ここは素直に従うべきだ。

頼みというのも目の前の神が善神なのか、悪神なのかわからないためどうしたらいいかわからない。

どちらにせよ、俺に断る選択肢は無いんだろう。


「ふーーーー、わかった。あなたの頼みというのはどういった内容なんだ?」


「話すと長くなるんだけどね、君にある星の管理を任せたいんだ。」


「星の管理!?詳細がわからないと何とも言えないんだけど、言葉の通り考えるとしたら荷が重すぎるんだが..。そもそもなんで俺なんだ?」


「それには僕の仕事から説明しなきゃいけないね、この宇宙の星は今この瞬間にも無数に誕生し続けているんだ。その中で生命が宿る可能性のある星の「設定」を僕は管理している。設定っていうのはその星をどういった種族がいてどのように繁栄していくか、方針を決めることなんだ。生命が宿る星は希少でね、一つも無駄にできないんだけど・・・生まれる星の母数が多いから生命が宿る星がどれだけ希少でも数にしたらとてつもないんだ。そこで娯楽の発展しているU62・・・あー、この地球の人にアイデアを出してほしいんだよ。」


壮大すぎる話に俺は理解が追い付かず、頭をひねらせた。

星は宇宙神によって未来までも決定されているとしたら、地球の歴史も全て敷かれたレールに沿っているだけなのか?


「まさか、俺の人生もあなたによって全て決められているというのか?」


少年は申し訳なさそうな顔で答える


「あー、ごめん、説明が足りなかったね。僕も全ての生命に関与しているわけではなくて、君にわかりやすく言うと初期設定とかルールを決めているだけに過ぎないんだ。全ての星を同じルールにしても宇宙にいい影響がでないからなるべくいろいろなルールでいろんな星を管理していきたいんだけど、最近いいルールが浮かばなくて困ってたんだ。」


なるほど、あくまで星の土台になるルールを作るだけなのか。


「それとなんで君を選んだか、だったね。それは君が星を無駄に滅ぼそうとするような悪人じゃないからだよ。地球で今生きてる人の中で感謝された回数が多くて、今生きてて、さらにその中から娯楽に詳しくて頼みを引き受けてくれそうな人が君だったんだ。いま君の住んでる国では「異世界転生もの」なんてジャンルが流行ってるみたいじゃないか、君もよく知っているだろう?」


「異世界転生もの」なんて単語が神の口から出るのはなんとも不釣り合いで俺は小さく笑った、

確かに人助けをしてはいるが神に目を付けられるほどではない。

なのになぜだろう、と首を傾げていると神はその答えを教えてくれた。


「あー、ちなみに君がゲームを通して間接的に感謝されてもカウントしてるんだよね、ゲームでもたくさん感謝されているだろ」


RoAかーーーーー!!

とにかく詳しい話を聞かなくては何も始まらない。


「わかった、信じる。具体的にどうすればいい?達成した場合俺は元の場所に帰ることができるか?」


恋人もいない、親元を離れてからもう数年は親にあっていない、会社にも不満はある。

現実社会は楽しいか、と言われるとしいて言うなら俺の唯一の癒しであるRoAだけが少し心残りだ。


「うーんと、やってもらうことは星のルールを君の娯楽知識からでいいから決めてほしい。ルールを反映するのは力の持つ僕がやるけど、星の安定には神力を各地に振りまく必要があるんだけどね、それを君にお願いしたいんだ。宇宙神である僕は直接星に降りることはできないんだけど君なら星が違うだけでレベルは同じ「僕が管理している星」だから直接星に降りることができるんだ。」


自分で星を作ってゲーム世界を疑似体験できる・・・ボードゲーム+異世界転生?めちゃくちゃ楽しそう。


「・・・・それで目的が完了したときの話なんだけど、実は君がこの依頼を引き受けてくれる場合、君の魂をコピーして神界に連れて行こうと思っててね、つまり地球に戻っても君が二人存在することになっちゃうんだよ。魂を融合させようとしても神の世界に触れた魂とただの人間の魂を混ぜてどうなるかなんて危険すぎるし。....どうしても地球に戻ってきたいなら君を違う人間として地球に戻すことになるんだ。.....あ、魂の複製はほんとばれたらまずいから黙っててね。」


つまり地球から俺がいなくなっても行方不明になっていろんな人に迷惑がかかることはないってことか。


「あ、それと地球にもし戻る場合、今君が生きている時間と同じ時間には返せないんだ。僕が地球に干渉するためには地球のエネルギーを消費するんだけど、最低でも10年は時間を空けないといけないんだ。だから今いる時間から10年前か10年後か・・・。」


悩む、悩むなぁ。

異世界に定住するかしないかなんてこと、実際に体験してみないとわからない。


「あー、それって今決めないとダメか?君の依頼自体はもう受ける気でいるんだけど、異世界に定住するか別の体を用意してでも地球に戻るかは今決められそうにないんだ。」


「お!受けてくれるんだね!ありがとう!それならお願いが終わった後どうするかはその時になってからでいいよ!あ~、よかった。助かったよ。じゃあ早速いろいろ始めたいから今から神界に連れてっちゃうね。」


その瞬間俺の意識は途絶えた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この主人公は白騎士症候群です、残念です
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ