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「48話 煙草と解体屋 」



煙草が売っているという駄菓子屋のような雰囲気の何でも屋まで来た私は煙草の安さに驚いた。

まさか1Niaで1キロの葉っぱを買えるとは思わなかった....。10キロ分購入して10Nia、薬煙草は1キロで5Niaだった。

そして煙草は葉っぱをキセルに詰めて燃やす方式で吸うらしいんだけど、火に反応して完全に燃焼するように作ってあるらしく、なんと灰が残らないのだ。

凄すぎる....。私が買った葉っぱはほんのりバニラの香りのする

キセルに関しては私の愛刀、飛び兎と同じようなテカテカとした黒にピンクの花模様が入っているものにした。

こうなると和服を着てかっこよく決めたい欲がどんどん湧いてくる。


何でも屋を出てお店の隅でキセルに適量の葉っぱを摘めて、後はアイテムボックスに入れる。


「<弱火>プチファイア」

葉を詰めた中心部分に米粒ほどの火をつけてキセルをすーっと吸う。

この身体で煙草を吸ったことは無いため少しだけクラッとしたけど間違いない、地球の煙草とそこまで違いはなさそう。


お店の壁に寄りかかってゆっくりと肺にたまった煙を出した。


「は~~~~~~、こうしてると流石に男時代を思い出すなー。」

まだ日が高く、照り付ける日光は肌寒いくらいの気温によって心地よい暖かさに感じる。


ちなみに煙草は灰も出ない、キセルからは焼けている葉っぱがこぼれない仕様になっているけど煙が無害じゃないから基本的に屋内で吸うことは無理らしい。そりゃそうだ。


何度か吸って満足感に満たされていると道を歩いていたジャイアント族の男性冒険者とヒューマン族の男性冒険者がにやにやしながらこちらに近づいてくる。


「おっ、朝からたあ元気なねーちゃんだ。おい、いくらだ?」

「おめぇだけずるいぞ!オレが先だ!」

下心満載の笑い方で私に近づいてきた二人組は私の体を嘗め回すように下から上までじっくりと見てくる。

なにこのおっさん、気持ち悪い。


「なんですか?誰かと勘違いしていませんか?」

「あ~?いいから、いくらだって聞いてんだよ。そっちもその気なんだろ?バーニア族は性欲強いらしいじゃねえか。」


せっかく人がいい気持ちだったのに面倒くさい邪魔が入った。

私を夜の女と間違えてるみたいだけどそんなに変な服着てないよ?今日は戦闘を想定していないからギアードで買ったピンクのセーターと暗めのパンツスタイルだし。むしろあんまり色気ないよね?

と思っていたらオッサンは私の腕をつかんで来ようとしてきた。

こいつ!実力行使してやろうか!と思っていると横から金髪のバーニア族の女性がこちらに近づいてきた。

その女性の耳は私の中折れ耳とは違い、金髪ショートの髪の毛にピンと真上に立っている。

清楚な服装で大人びた印象が素敵なボーイッシュなお姉さん、どことなく強者のオーラを感じる。


「そこの可愛いピンクメッシュちゃん、あなたは娼婦なの?」

娼婦?やっぱりこの人にも娼婦に見られるみたい。何かそんなサインを出しちゃってたのかな。


「い、いえ!違うんですよ、ここで煙草を買って吸ってたらこの人たちがいきなり...」

「やっぱりそうじゃねえか、そっちから誘ってんのにあからさまに拒んでくるのはどういうことだよ。」

こいつ話が通じてないな、煙草が吸いたくて吸っただけなのに...あれ?もしかして。


「ピンクメッシュちゃん、ケットシー地区の外で一人で煙草を吸っていると、それは娼婦のサインよ。」

やっぱりそういうことかーーーーー。

地球でも海外とか昔の日本ではそういうのがあったらしいし、少し不用心だったかもしれない。


「はー、そうだったんですか...おじさんたちすみません、私は趣味で吸っているだけなので娼婦ではないんです。」


「そうか、なら娼婦じゃなくてもいいから一緒に酒でも飲まねえか?まだ昼前だけどたまには日中から飲むのも悪かねぇよなぁ?」


「たまにはアリだよなぁ。」

ナンパに切り替えてきた!?

オッサンと飲むのに抵抗はないけど用事もあるしこのオッサン達からは下品な感じがする。

そっちのお姉さんに誘われたらホイホイついていくのに。


「いえ、用事があるので...すみません。」

「まぁまぁそういわずに一杯だけでもいいから。」

断るとまた私の腕を掴もうとする。どこまで必死なんだこいつら。

と思ったらお姉さんがすぐ横に来て私に伸びてきた手をガシッとつかんだ。


「強引なのは良くないな、私ならもう少しスマートに誘うのだが。」

「いでででで!糞、なんだこのアマァ!っててててて!わかった!わかったから!!いってえ!!!」

ヤバい、この人美人なのにイケメン.....。


「おい、こいつ...いや、この方はSランク冒険者の....。」

「げぇ!!!世界最強!!!」

世界最強??オッサン達が何かを察してすたこらと一目散に逃げていく。

典型的なな噛ませ役だったね....。

お姉さんはふぅ、と息を吐くと私の方を向いて私の頬を手で触れる。

お姉さんからのいきなりのボディタッチにピクッと反応してしまう私。


「大丈夫だった?でも勘違いさせたピンクメッシュちゃんもだめだよ。気を付けてね。」

「み、ミウシアです...私の名前。」

緊張して倒置法になったー!というかあからさまなキザな行動なのに美人さんだから男性的にも女性的にもドキドキするーーーぅ!!

私が自分の名前を告げるとスッと頬から手を離し、今度は私の手を握り握手をしてきた。


「おっと、自己紹介が遅れたね。私の名前はルクニカ・ホワイト、ミウシアちゃん...ミウちゃんって呼んでいいかな?」

そんであだ名呼びで一気に距離詰めてくる&素敵なスマイルーーーー!!

ちょっぴり宝塚っぽい雰囲気だけどちゃんと女性らしさもあって素敵だ。


「は、はいっ!!..じゃあ私もニカさんって呼びます!...そういえばさっきの人たちが言ってた世界最強って??」


「ニカか...うん、いいね。世界最強って話については...あ、煙草、吸い途中だったよね?私が横に居ればさっきみたいなことは無いと思うから吸いながら話してて大丈夫だよ。」

気遣いもできるーーーー!完璧か!!!


話によるとニカさんは世界で唯一のSランク冒険者で、最近大きな仕事を終えて王都で療養しているところらしい。

世界一ってヤバくない?なんでケットシー地区にいたかと聞くと、世話になった人に会いに来たと言っていた。


私が煙草を吸い終わって(キセルだと止め時わからないね)この後解体屋に行くことを伝えると暇を持て余したニカさんは私についてくると言い出した。

世界一の人と話せるチャンスなんてそうそうないし、私が強くなるためのヒントをあわよくば聞き出せれば..と思い一緒に行くことにした。

....美人さんともうちょっと一緒に居たかったってもあるけどね。


「にしてもちょっとくっつきすぎじゃないですか????」

解体屋に案内してくれるとのことでニカさんについて歩きだすとニカさんはすぐ私の手を取ってグイッと引っ張りまるでカップルのように密着する形になってしまった。

もちろん恋人つなぎをしている...こんな美人さんと手をつないだことなんてないから緊張する....。


「女同士なんだしいいじゃない、それとも私にくっつかれるのが嫌?」

「う..それは...嫌じゃないですけど...」

その言い方はズルい!ええい、なるようになってしまえ!

どこから来たのかーとか、好きな食べ物は何かーとか他愛もない話を品が歩くこと数十分、目的の解体屋についた。


流石王都の解体屋、大きな建物だ。

ホームセンターのように大きな建物で中に入るとたくさんの受付とたくさんの従業員があくせくと働いていた。

建物内の天井は高く、まるで大きな体育館のようだった。


「ミウちゃん、こっちだよ。腕のいい解体士がいるんだ。」

ニカさんに連れられて奥の少し豪華な受付に案内された。

その受付にはスキンヘッドのジャイアント族のおじさんが椅子に座って爪をいじっていた。

んん、どこかで見覚えが....。


「ドーゲンさん、こんにちは。この子の持ってきた素材の解体をお願いします。」

「あら!ルクニカちゃんじゃない!その子の素材の解体ね、じゃあこっちに来て出してちょうだい。」

ドーゲン、スキンヘッド...ああ!ギアードのゴーゲンにそっくり、というか全く一緒の見た目をしてる!

違いは血に濡れたエプロンをしているかしていないかくらいかな?

というかアイテムボックス問題は平気なのかな?


「こんにちは!あの、アイテムボックスに入れてるんですけどここで出しても平気ですか?」

ギアードの解体屋と違い、ここ一帯の空間は開けていてほかの人がたくさんいる。

大丈夫なのかな。


「ミウちゃんは魔法使いなの?時空間魔法が使えるのは凄いね。王都では熟練者が集まっているからそこまで珍しくないよ。気にしないで平気。」

「平気よ~、はい、ここのスペースにドバっと出しちゃって、ドバっと!」

ゴーゲンと言いドーゲンといい言い方が気になるなぁ、ここまで濃ゆい人は日本で見かけたことない。

そういえばオカマ口調って呼ばれるしゃべり方をする人は男が好きだけど別に女性になりたいわけじゃなくて、雰囲気とか口調を接しやすくするためってどこかで聞いたことあるなぁ、確かに見た目がごつくても話しやすくはあるね。


「アイテムボックス!」

私は魔法を唱えたふりと魔法陣らしいものを使って、実は始動キーも魔法陣もいらないアイテムボックスからどさどさっと素材を出した。

とはいってもミミズキングだけだけどね。

目の前に出てきた巨大なミミズを見ると、私が倒した時のままで首元の穴からはまだとろーりと体液がしたたり落ちている。


「まあ!!!ちょっと~誰か~!!瓶持ってきてちょうだい!!!」

「これは..巨大なアースワーム?にしてもこの大きさは見たことが無い...。ミウちゃん、君一人でこれを?」

瓶!?もしかして体液も素材になったり!?だとしたらたくさん無駄にしちゃったなぁ、もったいない。


「いえ、私の仲間と協力して倒しました。うええ、きもちわるい...。」

ドーゲンさんがほかの職員と協力して体液を掻き出しているところを見てしまう。おえええ。


「ちょっとアナタ!これ、体液の処理が終わってる状態になってるけどどうやったらこんなことになるの!?」

「処理...?」

「ああ、アースワームは鉱石を餌としているから臓物から体液まで全て使えるんだ。処理っていうのはアースワームの体の中のものを全て液体になるまで切り刻むんだよ。鍛冶師が金属を鍛えるときに水の代わりにその液体を使うとほかの金属との融和性や粘り強さが増すんだ。でも一体どうやったらこんなことに...?」

なるほど、ミミズの体液にはそんな効果があったのか、やっぱりもったいないことをしたなぁ。

体液も半分ほど受け取って装備を作るときの足しにしようかな。

にしても倒し方...剣に魔法陣をセットしておいて~とかはまだ言わなくていいかな。


「えっと、表面に穴をあけた後に光の矢を使って内側を攻撃したんです。でもなんで内容物すらこんなことになってるんでしょう?

うーんとニカさんと一緒に考えるとその答えをだしたのはドンバーさんだった。


「ん~、多分だけど体内でその光の矢が乱反射したんじゃないかしらね?ほら、この子の皮、鉱物に変質してるでしょ?でも内側から見ると鏡のように反射しているの!それで中身がぐっちゃぐちゃになって処理されたってことね!」

だから即死したのかぁ、体液がドバっと飛び出てきたのはそのせいだったんだ。


ドンバーさんと職員たちが皆で体液を瓶に詰め終わり、硬質化した皮膚を小さいサイズに砕き終わったので半分は素材として受け取りたいと伝えた。

半分でも相当な量になるので仲間が私含めて4人だと伝えると元の4分の1で足りるとのことだったので後の4分の3を売ることにした。

体液が1キロ1000Nia、15キロ取れたので15000Nia。

皮膚は1キロ400Nia、300キロ分もあったので120000Nia、合わせて137000Niaになった....マジ?

何でも体液は鍛冶師の必需品の上、品質も相当高かったらしい。皮膚も硬質化している状態で止めを刺したためいろんな鉱石が混ざった合金状態で入手できたんだって。


ミミズ...正式名称サンドワームは通常人間位の大きさらしい。土の中に生息している上に、人を襲う必要が無いので狩ることが大分面倒で鉱石を餌にした養殖場があるほどだ。

しかし今回私が倒したミミズキングは大量に鉱石を体内に蓄積していたため、品質も良く、さらに硬質化している状態のため皮膚も高級な素材になるらしい。

Aランクの冒険者でもこれほど稼げることはあまりないとニアさんが言っていたので今回は本当に運が良かったんだなぁ。


13万Niaを金硬貨、7千Niaを銀硬貨に変えてもらって硬貨の入った袋を受け取る...合わせて20枚なのでそこまで重くはないんだけどなんというかお金の重みを感じる。日本円にしたら1370万くらいでしょ!?盗人とかに襲われる前にアイテムボックスに入れておこう...。



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