「45話 今度こそやっと王都 」
皆で力を合わせてミミズキングを倒した後、私はミミズキングの体液を浴びて気持ち悪さのあまり叫んでいたところをカナちゃんに洗浄してもらった。
「ミウ....仮にも女の子なんですからあんな声で叫ぶのはやめるです..敵の声かと思ったです....。」
「あんなの浴びたらだれでもああなるでしょ!あぁ、気持ち悪かった....じゃなくて!あなた....レオさんですよね?」
私はびしょびしょになった体を乾燥の魔法で乾かしながらレオさんに疑問をぶつけた。
「ん?ああ、オレかい?ちょっと待ってね...精霊達よ、ありがとう。また頼むよ。」
レオさんは側にいる精霊達にさわやかな笑顔でお礼を言うと精霊たちがそれに応えるように軽く光った後消える。
精霊がいなくなった瞬間、髪の毛を手で整えるとそこには先ほどまでの面影が無くチャラチャラとしたツンツンヘアーに戻った。
表情もさわやかな笑顔からへらへらと笑うような表情へと変わった。
「いや~精霊達は真面目でね~。オレみたいにチャラチャラした見た目だと戦いに手を貸してくれてないってわけ~。だから戦闘用のかたっ苦しい服に着替えて髪の毛セットしてたら遅くなったんだわ、マジごめん!」
レオさんが手をパン!と叩いて私たちに謝罪してくる、結果的に助けてくれたからいいんだけどね。
でもギャップかぁ、少女漫画とか乙女ゲームとかでギャップ萌えのあるキャラの需要は一定以上あったけど、男時代はバカにしてたなぁ...今なら乙女ゲームも楽しめるのかな。
「なるほど、精霊は身なり、言動に厳しい....ですか。にしても、チャラチャラしてる自覚はあったですね。あとで精霊についてじっくり教えてもらうです。」
「助けてくれてありがとうございました!レオさんが身体強化魔法をしてくれなかったら危なかったです....。」
「あ、ありがとうございます。」
カナちゃんは精霊に対する興味が前に出てるし、トルペタ君は素直に感謝してる。
そして私はレオさんに対して素直にお礼を述べた。
最後の止めを刺すときにレオさんの身体強化が無かったらあそこまですんなりと倒せなかったと思う。
「皆、オレのことは呼び捨て&ため口でいいよ~。壁感じるしね~。」
レオさん..改めレオにお礼をした後、馬車に戻って運転手のおじさんとセレブの様子を見に行った。
おじさんは馬と一緒に避難していた、セレブに関しては....。
「ンゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」
「よく寝てられるね.....。」
まだ寝てた。呆れちゃうけどその神経の太さは少しうらやましいよ....。
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ミミズキングを倒した私たちは死骸をインベントリに入れてかたずけた後、カナちゃんが修復してくれた道を進みついに王都へとたどり着いた。
「色々ありましたがついに王都に着きましたよ~」
運転手のおじさんの知らせに神式語の本を閉じ、お尻に敷いていた服をしまう。
トルペタ君と私は初めての王都に浮かれて一目散に馬車を飛び出し王都の入り口を見る。
カナちゃんは気怠そうに身を起こし身支度をしている。レオも急ぐ様子はなく、セレブはまだ寝ている。
「うわ~~~~~でっかい!!!」
「大きいですね~~~!クルシュ村の門とは比べ物になりませんよ~~~!」
目の前には石でできた大きな壁と5メートル以上はある大きな門。
その壁は横を見ても終わりが見えないほど長い壁だった。
大きいね~と、私とトルペタ君がまるで上京してきた田舎者のように口を開けて上を見上げて話しているとレオとカナちゃんが馬車から出てこちらに向かってきた。
「ここは王都の西の門で門の向こうはドワーフ地区ですね。宿をとるならドワーフ地区じゃないほうがいいです。色々小さいですしね...。」
「ってか皆もしかして今日泊まる宿決まってない系~?決まってなければ俺が宿案内するけど~?」
トルペタ君とカナちゃんを見ると口をそろえて私に任せるというのでここはお願いすることにした。
門番に冒険者ギルドで発行したタグを見せて中に入ると、ギアードの風景と似たような街並みが目に入ってきた。
とはいっても、町行く人はいろんな種族で服装は冒険者らしき服装が多く見えた。
レオが前に説明してくれたように、ドワーフ地区には武器、防具を取り扱うお店が多いみたい。
ミミズキングの素材も防具とかに使えるのかな?今回は全部売らずに自分たち用の素材も残したほうがいいかも。
王都に入ったところで運転手のおじさんとセレブと別れの挨拶をした。
セレブはそのまま馬車で貴族街まで連れて行ってもらうらしい。
「それじゃ、私はここで失礼します。道中守っていただきありがとうございました。よい旅を!」
「この人に家まで送っていただきますの。皆さん、そしてレオちゃん。このお礼はいつかお返しいたしますわね。」
2人を見送った後、レオに案内されて隣のケットシー街までついていく。
レオがケットシーだからか夜関係のお店が近いからかわからないけどケットシー街で寝泊まりをすることが多いみたい。
カナちゃんはケットシー街と聞いて顔をしかめていたけど何か理由があるのかな?
ケットシー街に入るとまだ夕方にも関わらず人で賑わっていて、すでに開店しているお店が多かった。というかここ一帯の建物全部何かしらのお店だ。
お店の種類は雰囲気や看板から察するに酒場や賭博場?らしきもの、ホテルや露出度の高いお姉さんたちがいるお店があった。
「これだから!ケットシー街は!嫌なんです!なんですあのいやらしい格好は!」
げしっげしっと地面の砂を蹴るカナちゃん。トルペタ君は...顔を赤くして露出度の高いお姉さんを見てゴクリと唾をのんでる。
レオに案内してもらいながらケットシー街の中を進んでいく。
賭博場、いやカジノのほうが近いかな?カジノの前を通ると中は賑わっていて入り口に立っている従業員のお姉さんと目が合ってウィンクをしてくる。今度一人で来よう...。
歩きながら辺りを見ると様々な種族の色っぽい女性が呼び込みをしている、あれはキャバクラ系なのか風俗系なのか...。
にしてもドワーフの女の子が色っぽい服を着て呼び込みってちょっと犯罪臭がするね...。
先頭を歩くレオにも呼び込みの女性が話しかけてくると思いきや、そのとなりを敵意丸出しで歩くカナちゃんを見て皆避けていく。
トルペタ君と私は2人の一歩後ろできょろきょろと浮かれた雰囲気の町を眺めていた。
「レオ、本当にまともな宿屋はあるですねっ!?」
「オレの泊まってるところは1階がバーになってて2階がホテルになってる超オシャンなところだからまともっしょ~」
それって酔った女の子をそのままホテルにお持ち帰りするようなバー何じゃあ...今日はお酒飲まないでおこ....。
レオに案内されてオシャンなホテルに入ると先ほど説明された通り、1階が薄暗い雰囲気のお洒落なバーで、店内でジャズっぽいムーディな曲を演奏してる人がいた。
バーの横には受付らしきものがあって、その横にはホテルへ続く階段があった。
受付にはスリットの入ったドレスを着てキセルで煙草のようなものを吸っているケットシー族のお姉さんが気怠そうに座っていた。
煙草....煙草!!どこで売っているんだろう、後でお姉さんに聞いてみよう
「ちぃーーっす!」
受付に近づいて片手を上げながら日本のチャラチャラとした若者のような挨拶をした。そんなんでいいの??
声をかけられた女性はレオを見て固まる。
「ちょ、ちょっとレオ!!!あんた何日も何日も今までどこ行ってたんだいこの放浪クソ男!!!経営全部あたしに任せやがってこのアホ!!!!」
受付から身を乗り出してレオの胸倉を掴み持ち上げる....持ち上がるんかい!!
「いや~、王都にはいたんだけど?シーア様のお告げでこのバーニアの子を探しに行ってたんだよ~お告げならしょうがなくね??」
「あン??シーア様を出しに女の子探しとはいい度胸じゃないか~!?フンッ!....ったく、すまないね、うちのレオが迷惑かけて。」
レオを横に投げ飛ばして私達に話しかけてくる女性。
今の一部始終を見て私達は苦笑いしかできなかった。
落ち着いた雰囲気のバーで大きな音を出したもんだから一瞬店内がざわつく、がレオ絡みであることを確認すると納得してすぐにこちらへの興味を無くし、食事や会話、音楽に集中し始めた。
にしてもうちのレオ、って言ってたけどどういう関係なんだろう?
夫婦なのかな?
「ところで、あなたとレオさんはどういった関係なんですか?」
「そうです!レオはミウに一目ぼれしてプロポーズまでしてきたですよ!?神の名を使って女を口説くなんて論外DEATH!!」
トルペタ君が私の疑問を代わりに聞いてくれた一方、カナちゃんは怒り狂ってる。
カナちゃんって意外と乙女だよね、少女漫画みたいな恋が理想なのかも。
受付の女性はキョトンとしてから大笑いをした。
「あっはははは!あたしがレオと?ないないないこんな男!顔が良くても無理無理!...あ~笑った。レオはこのホテル&バー「酔ってけっとしー」のオーナー、あたしはただの雇われ店長みたいなもんだよ。」
ひとしきり笑ったあと、手で涙をぬぐいながら衝撃の発言をした女性。
「オーナー、ってことはここの経営者!?うっそ!」
「こんなへらへらしてる人が経営しててこの店は大丈夫なんですかね....。」
「はー、レオさんってすごいんだな....。」
カナちゃんの意見にすっごく同意なんだけどもしかしたら経営者モードの時は精霊を使役してるときみたいに真面目モードなのかもしれないし...!
「いや~、俺が立ち上げる金を出しただけで後は従業員にまかせっきりだけどね~。遊び呆けても帰る場所が欲しかったし安いもんっしょ?」
頭をかきながら立ち上がるレオ、あのノリが日常茶飯事なのかわかんないけどとても上司と部下の関係には見えない。
ケットシー族だからなのかこの人たちが特殊なのか....。
にしてもレオは見た目通りの適当な理由なんだね.。
頭を押さえてるカナちゃんが小さな声で「やべー奴です...。」って言ってるのが耳に入った。
トルペタ君は....なんでそんな尊敬した目でレオを見てるの?トルペタ君、田舎から来たから都会の男を見て変な憧れを抱いてるのかも。
「は~、ま、あたしも店を持てたから有難いんだけどね。あんたたち、宿は決まってる?もし決まってなかったら部屋が埋まるまではうちの一室を好きに使ってもいいよ。このバカが迷惑をかけたようだしね。あぁ、まずは食事を用意してあげるよ、ほら、すわったすわった!」
レオには戦闘で助けてもらったし別に迷惑だったわけでは無いんだけど押しの強さに負けてそのままバーのテーブル席に座った。
こんなに色々してもらっていいのかな?
キングの素材でお金が余っているとはいえお金を無駄に消費できなかったからちょうどよかったけど...。
「なんだか色々申し訳ないですね、料理が来たらレオには色々と話してもらうです。精霊のこととかスキルのこととか...あ、あとシーア様に会ったって話とか。」
「それは俺も気になってたんだけど、レオさんは..って後にしますね。」
「おけまる~!」
やっぱり2人とも気が付いてるのかな、レオがシーアと会ったって話が本当なんじゃないかってこと。
私はすでに眷属に聞いているから多分レオが嘘を言っていないことはわかる。
カナちゃんもトルペタ君も2人とも眷属に会ってるわけだし。
.....その話になったらどこまで真実を伝えるべきなんだろう。
んん~、ルニアがバーニア族には声をかけなかったって言ってたし丁度いいから私もルニアに会ったって言えばいいかな?
言い訳を考えているうちにさっきの女性が色々と食事とお酒を持ってきてくれた。
焼き魚、なんだかドロドロとしたスープ、何かのフライのようなもの、いろんな野菜、コップと飲み物が入ったジョッキのようなものが二つドン!と目の前に並ぶ。
「丁度余ってる具材で作ったから遠慮しないでたくさん食べていきな!お酒を飲まない人にはこのお茶ね、食べ終わったら部屋に案内するからまた受付においで~!!」
「ありがとうございます!」「ありがとです!」「お言葉に甘えてご馳走になります。」「さんきゅっ」
お礼を言った後、トルペタ君が飲み物をコップに注いでくれる。
「あ、トルペタ君、私今日はお酒じゃなくてお茶でお願い。」
「「えっ!!」」
「あれ~、お酒飲まないの~?」
カナちゃんとトルペタ君が信じられないものを見るような目で私を見つめてくる。
レオは残念そうにしているけど今日はちょっと真面目な話もするかもしれないから酔っぱらわないようにしたいし、もしべろべろに酔っぱらっちゃったら怖いから...。
っていうか。
「私そんなお酒飲んでるイメージある~~~?????」
カナちゃんとトルペタ君に全力で肯定された。
....これからは少しだけ控えます.....。
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