「40話 アルカナの頼み 」
昨日はキング討伐打ち上げで盛大に飲みまくって潰れてしまったカナちゃんとトルペタ君を介抱した。
私を無視して2人で盛り上がった腹いせにちょっとしたいたずらで同じベッドに入れて寝かせたんだけど、先に起きたカナちゃんが超動揺、後から起きたトルペタ君は何も知らない。
明後日には王都に向かうんだけど今日は自由時間、明日は皆で旅の準備をする予定だったんだけど....。
「ミ、ミウ?今日の自由時間私と一緒に行動しないですか?相談したいことがあるです....。」
とカナちゃんに声をかけられた。
私は鍛錬を中心にやろうと思ってたからカナちゃんにも付き合ってもらおうかな?
ちなみにトルペタ君は早朝から武器をさらに強化しに鍛冶屋に行ったみたい。
「いいよー、私は今日鍛錬しようと思ってたんだよね、だからこっちにもちょっと付き合ってくれないかな?」
「まかせるです!」
まずはカナちゃんの話を聞くために貴族も来るというお洒落なカフェっぽいお店に来た。カナちゃんがおごってくれるらしい。
カナちゃんってBランク冒険者だっけ、やっぱりお金持ってるのかな?
カナちゃんに案内されたお店は紅茶の絵とクッキー?の絵が描かれた看板の綺麗なお店だった。
ガラス張りの壁にテラス席もあるなんとも現代感あふれる見た目、なんか原宿とかにこういうお店あったなぁ。
さっそく中に入って適当に紅茶とクッキーを注文するとカナちゃんが口を開いた。
「あの...ミウは、トル君のことどう思ってるですか..?」
さっそく来ました本題。
どうしよ、はたから見たら女子会だろうけど私の経験値的にそんな女の子目線の相談とかできないと思うんだけど...。
カナちゃんが不安な表情で眉をハの字にして聞いてくるもんだから、ちょっと真面目に考えてから優しく安心させるように言った。
「ん~弟って感じかな、なんかほっとけないオーラ出てるでしょ?母(父)性本能をくすぐられるっていうか....。」
「ほっ....」
カナちゃんはそれを聞いてホッとしたのか安堵の表情を浮かべた。
いくら私でもそれだけわかりやすいと察しちゃうよ。
「...安心した?」
にやにやしながらカナちゃんをからかってみた。
「えっ...!..う...です..ね。安心したです...。ミウにはもうばれてるですかね。私、ちょっとトル君のこと気になる....です...。」
モジモジと顔を赤らめながら答えてくれた、言葉にするとなおさら恥ずかしいのかクッキーをどんどん頬張っていく。
詳しく聞くとカナちゃんにとってトルペタ君の見た目がストライクゾーンだったみたい。
でも気にはなるけどトルペタ君が私に対して好意があるような態度をとっていたのを見て仲間としてうまくやっていこうって思ってたらしいんだけど、どうせならちょっと密着したりボディータッチしたりしてみようって思ったらどんどん歯止めが利かなくなったらしい。
マナの譲渡で抱き着かれたり抱き着いたりしたときにトルペタ君も少し赤くなってたのを見て自分のことを意識してくれてることに気が付いたみたい。
カナちゃんもあれはちょっとやりすぎたですが幸せでした。って言ってたけど自覚はあったんだね、異世界の女の子って割と肉食なのかな....?
「そこでです!!私はこの前通ってた学校の制服しかないですので、ミウと一緒に服を買いに行きたいです!!!普段と違う服装でトル君をどきどきさせるです!!!」
「あ~、制服って楽だもんね、わかる、わかるよ...。」
私も高校の時は制服で出かけたり休日もめんどくさくて制服で友達と遊んだりしてたから....。めんどくさいもん。
「でもここで気を付けてほしいことがあるです。....ミウはトル君がドギマギするような服装にしないでほしいです!!協力してくれるなら私のポケットマネーで服おごるですよ、どうです??」
ドギマギってこの世界でもいうんだ...。
ん~、パンツスタイルとかホットパンツとかになるのかな?スカートとかはまだはいたことないしちょっとまだ抵抗もあるし...。
「うん、わかった!ありがたく奢ってもらうね!あと下着とかも買いたいんだけど案内してもらえるかなぁ?」
「まかせるです!!.....可愛い下着で魅了するとかだめですよ?」
「しないって!!!」
クッキーと紅茶を平らげて店から出た私はカナちゃんに案内されて服屋さんが並ぶ通りに来た。
そういえばギアード国はドワーフ族の国、ドワーフの服しかないんじゃないかと思ったけどカナちゃん曰く仕立て屋が1日で作ってくれるらしい。
だからドワーフ族用のサイズの服を当てがって自分が着ているのを想像して注文するらしい。
難しくない?ピンとこなさそうなんだけど....。
最初に入ったのはワンピースのおいてあるお店、カナちゃんはひとつづつ自分よりも小さい服を当てがって行く。
「ん~~、私あんまり復選んだことないですのでよくわかんないです..。どういうのが似合うですかね?」
って言われても私もわかんないけど....。カナちゃんが手に持っているワンピースは革のワンピース、それだけは絶対にないかな。
「そのワンピースはちょっとかわいくないかな....。あ、ほらこれはどう?」
私はカナちゃんに薄めの生地でひらひらとした淡い青色のワンピースを渡した。
カナちゃんの藍色の髪の毛を薄くしたような色、ちょっと寒い時期には合わない色合いかもしれないけどカナちゃんには似合ってる。
「ん~、防御力が低そうですしこれじゃあ寒いと思うです」
防御力って....。
「防御力は気にしちゃダメだよ今は!今の時期だと寒いからこれにストール..んー腕がかかるくらいの布を巻いたらあったかいし可愛いんじゃないかな?」
だめだ、私にはこれが限界だよ...。
これ以上は浮かんでこないよ...。
「わかったです...。じゃあコレの仕立てをお願いするです、この後は布を買ってミウの服も身に行くですよ。」
カナちゃんは店員さんに私が決めたワンピースを渡して会計と採寸を済ませた。
もっと時間がかかると思ったんだけど、他のお店は見なくていいのかな?
どっちかって言うと防具を強化したほうがいいしお洒落服は1着でいいってことかな。
私の服はすぐに決まった。
毛糸で編まれたピンク色のセーターと暗い茶色の幅の広いパンツ。
ゲームのお洒落装備で着てたような奴があったからさー、いつも馬鹿の一つ覚えみたいにピンク色が基調だった。
カナちゃんのストールはちょっと上品な質感の黒い布に決めた、黒だと使いやすいしね。
下着は...うん。せっかくだし可愛い下着買ってみたよ....。噂では聞いていたけどこの世界でも女性用の下着って高いんだね。
生地が柔らかい素材だからなのかな?素材を渡して安く作ってもらえたりするなら今度集めてもいいかもしれない。
ついでに本屋さんで神式語教本も購入した。わかんなかったらいつでも聞くですってカナちゃんが言ってくれたけど手取り足取り教えてくれるわけじゃないんだね....。
結局今日買った衣類は全部、ドワーフ族用に作られたもののため職人の人たちには今日頑張ってもらって明日受け取りに来ることにした。
「ミウ、助かったです!着てみないとわからないですが...明日は旅の準備をすると思うですのでその時に着ていけたらいいなって思ってたですけど...。明日朝早くに言って受け取ってくるです。付き合ってくれてありがとでした!!」
早く着てるところを見てほしいんだろうな、楽しみな気持ちが伝わってくる。
カナちゃんがこっちにニコッと笑いかけてくる。
不覚にもドキッとしちゃう私、暴走しなければただの可愛い女の子なのに...。
にしても、せっかく可愛い顔をしてるのに片目が隠れた髪型をしてたらもったいない。
周囲を見回すとアクセサリーを売っている屋台が少し離れたところにあった。
「あ、カナちゃんちょっと待ってて!」
カナちゃんを近くのベンチに座らせた私は屋台の前まで来てアクセサリーを眺める...あったあった。
せっかくだしお揃いで買っちゃお。
ヘアピンに歯車が付いたようなアクセサリーを3つ買ってカナちゃんの元に向かった。
「どうしたです?お腹すいたですか?」
ベンチに座ったまま私を上目遣いで見てくるカナちゃん。
「ちょっと動かないで。」
カナちゃんの片目を覆った髪の毛をヘアピンでまとめていく。
触れた瞬間ピクリとカナちゃんが動いて固まった。
「あ、う...。」
これで良し...っと。
カナちゃんの片目を隠してた髪をヘアピンでまとめると、ぱっちりとした髪の毛と同じ藍色の瞳が姿を見せた。
「うん、絶対こっちのほうが可愛いよ。...あれ?カナちゃん?どったの?もしかして両目出すの嫌だった!?」
ほふ、と赤く染めた頬のかなちゃんは小さく息を吐きだすとちょっと照れながら答えてくれた。
「い、いえ。ちょっとびっくりというかドキリというかなんというかでした。このヘアピンくれるです?でもどんなのかまで見てなくて...。」
そういえば見せる前に着けちゃった。サプライズ感出そうとしたんだけど鏡見ないとなに貰ったかも似合ってるかもわかんないよね。
「ちょっと待ってね、<水生成>ウォータークリエイト、<光反射>ミラー!」
私の前に水を平べったく出して光の反射率を変え鏡変わりにした。
鏡を見ながら自分の姿を確認するカナちゃん。
その隙にその鏡の反対側で私もヘアピンを付ける...あれうまくいかないな....よしできた。
自分に着いたヘアピンを確認してカナちゃんの横に並んで一緒に鏡を見る。
「ほら、お揃い!今日のお礼だよ~!」
肩を組んで鏡越しにカナちゃんに笑いかけると笑い返してくれた。よかった、カナちゃんが歯車嫌いじゃなくて..歯車嫌いな人ってなんだろ。
「ありがとです...お友達と呼べる人が今までいなかったですから、こういうのとっても嬉しいです...。あれ?ミウもう1つ手に持ってるです?」
私の手からはみ出すもう一つのヘアピンを見てカナちゃんが疑問符を浮かべる。
ふっふっふ。
「これはね、トルペタ君用。明日は3人でつけて旅の準備しようね~!」
「トル君が....っそれつけるですか...っあはは、あははは!」
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◇SIDE:トルペタ
「今寒気が....。」
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ひとしきり笑った後、訓練所でカナちゃんには水で作ったゴーレムを操作してもらって鍛錬に付き合ってもらった。
そこでカナちゃんに言われたんだけどもっと早い動きに適した防具を使ったほうがいいみたい。
今はコルペタさんに貰ったシャツとズボンにゴーゲンに作ってもらった革当てを付けてるけどこれだと動きやすく作ってもらったとはいえガチャガチャして動きに制限ができちゃう。
私は敵の攻撃が当たらないこと前提に立ち回らなきゃいけないから防御を削ってでも軽装の方がいいかな。
スキルについても、ミウは深く考えすぎだと言われた、もっと何がしたいとかどういう攻撃を出したいとか、願望をマナに乗せて攻撃してればいつかスキルとなって攻撃が出ることもあるらしい。
私は光について原理ばかり考えて勝手に視野を狭くしてたのかもしれない。
カナちゃんにそれを聞いてから私は日が暮れるまでずっと色々なことを考えながら水でできたゴーレムを切りつけまくった。
その結果カナちゃんはマナの使い過ぎで動けなくなり、おんぶしてマナの譲渡をしながら宿に帰りました。
ごめんねカナちゃん。
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