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「34話 救出 」


音のするほうへ偵察に来た私は後ろから離れてトルペタ君とカナちゃんが着いてきているのを確認してさらに近づいた。

茂みを慎重に抜けて森を進んでいくとその先には開けた場所があり小さな2つの影と奥に洞窟のようなものが見えた。


二つの影に

あれは、ゴブリンとコボルト?座ってなんか話してる..。

ギギグギャ!ワフワフワフ!と和気あいあいとした雰囲気で二匹が話している。

それにしても....距離が近い、というかこうしてる間にも近づいていき...え~~~すりすりしてる~~~~....。

緑色の肌に子供ぐらいの大きさの醜い顔をしたゴブリンと、野良犬が二足歩行用の骨格になったみたいな見た目のコボルトが身を寄せ合ってすりすりといちゃついていた。


....コレ放置してもいいのかな?後ろを見ると二人が不思議そうに首を傾げる。どうやら困惑した私の顔を不思議に思ったみたい。


洞窟の奥には何があるんだろうと思っていると洞窟の奥から何かが出てきた。

洞窟から誰かが来る気配を感じたのかいちゃついていたゴブリンとコボルトはパッと離れた。魔物もそういう感じなんだ...。

奥から出てきたのはおびえた表情のバーニア族の少女と無理やり引っ張るガタイのいいゴブリン。

ガタイのいいゴブリンは160cmくらいのでかさで明らかにほかのゴブリンとは違う見た目だった。

すぐにでも少女を助けに行きたかったけど明らかに強そうな見た目をしているゴブリンを軽視できなかった。


「<解析>アナライズ」ボソッ


-------------------

名前:グガギギ

種族:ゴブリンエリート

職業:兵士

HP:230/230

MP:0/0

力:C-

防御:C-

魔力:-

早さ:D

運:-

-------------------


名前があるんだ.....それに強い、見たところ少女に外傷はなくすぐに何かされるといった感じでもなさそうだったのでいったんトルペタ君とカナちゃんに状況を伝えに戻った。


「洞窟があって、入り口にコボルトとゴブリン、洞窟からゴブリンエリートとバーニア族の女の子が出てきた。ゴブリンエリートは三人よりもHPが高くて能力値は力がC-、防御がC-、早さがD。」

そう伝えるとトルペタ君がごくりと唾を飲み込み、カナちゃんがふむ、と呟く。


「ミウの速さなら何とかなりそうですね。ミウは三体をかわしつつゴブリンエリートを攻撃。トル君はその隙にコボルトとゴブリンを倒す。私はバーニア族の女の子を助けて洞窟を魔法で塞ぐです。最初にミウが最高速度でゴブリンエリートを蹴り飛ばして女の子と離すです。そうしたら魔法で救出するです。」

「わかった。」

「了解っ!」


私は深呼吸をして地面に手を付けた。そのままクラウチングスタートの体制になってトルペタ君とカナちゃんをちらりと見る。

二人はなんでそんなポーズをとっているんだろう?と疑問を浮かべた表情をしていた。日本人にとってこれがスタートダッシュの姿勢なの!


腰を軽く浮かし姿勢を整える、前を見据えて走るコースを確認したら地面を蹴り上げて全力疾走をする。


「ギ!?」「ワフ!?」「ギガググ!!」「えっ!?」


すさまじいスピードで砂ぼこりと共に突然何かが向かってきたのを警戒するゴブリンたち、でも反応が遅い。

私はそのまま速度を落とさずゴブリンエリートの近くまで来たところで股間を蹴り上げる。


「------------オウッ!?!!!!!!!!!」

悲痛な叫びと共に少し体が浮かぶグガギギ、その手からバーニア族が解放されたところで後方より声が聞こえた。

少女の背後に魔法陣が浮かぶ。


「<水の手>ウォーターハンド!、<水の寝具>ウォーターベッド!」

「っせい!」


少女の背後に水の手が現れてカナちゃんたちの方に投げ飛ばす、投げ飛ばした先には水で作られたクッションのようなものがすでにありポヨンと少女の衝撃を吸収した。


トルペタ君も同時に矢を2本放っていてコボルトの足とゴブリンの腕に刺さった。

怯んだ二匹と膝をつきながら私に手を伸ばしてくるゴブリンエリート。


すぐさま飛び兎を抜いて少し練習していた剣から光が出るだけのまぶしいスキルを使いながらその手を切り裂く....が手ごたえが無い、血すら出ていない。


「グガァ!」

しかしまぶしさに怯んだゴブリンエリートは一瞬怯んだ。

その隙に距離を取る。


「<石の壁>ストーンウォール!」

カナちゃんが洞窟を石の壁で塞ぎゴブリンたちは退避も援軍を呼ぶこともできなくなった。

コボルトとゴブリンは矢が飛んできた方向に向かって走り出す。

そっちは任せたトルペタ君!


ゴブリンエリートを見ると股間を蹴られたことにすさまじくイラついているらしく額に青筋を浮かべていた。

ゆっくりとこっちに近づくとこぶしを振りかぶり私に向かって殴りかかってきた。が、遅い。


私は難なく避け、すれ違いざまに切りつけた...が、先ほど同様傷つけることはできなかった。

にやりと笑ってこちらを見るエリート。くそーなめやがってー。

何か他の方法でダメージを...そうだ、確か飛び兎は決して壊れないんだったよね。


私は飛び兎を上に掲げ魔法を発動した。


「<光反射>ミラー!!」


ミラーの魔法で瞬時に太陽の光を飛び兎に集中していく。

みるみる内に高温になり、熱を帯びて刀身が赤くなっていく。


エリートはその赤く輝く刃を見て警戒する。エリートに近づくと私のお腹に向かって蹴りを入れてきた。


私はバックステップでギリギリかわして足の裏を剣で軽く撫でた、ジュウウウと肉が燃えるような音と共にエリートの足が焼かれていく。

「グギャアアア!!」


エリートは足を抑えて跳ね回る。このままとどめを刺そうと逆手にとった飛び兎を強く握りしめエリートに向かって切りかかった。

しかし痛さに耐えかねて暴れまわるエリートの攻撃予測ができずにもがいたエリートの腕が私の脇腹をかすめる。


「くっ.....」

この世界に来てから初めて入れられた攻撃、その力は強烈でかすめられただけで骨が折れたんじゃないかと思うような痛みが私を襲い痛みで膝をつき、飛び兎も地面に落としてしまう。


暴れていたエリートは痛みが落ち着いたのか私の方に近寄ってきている。

まずいまずいまずい、何とかしないと。


「こっちだ!!!!!」

トルペタ君が叫びながらエリートに向けてはなった矢はヒュオオと風を切るような音を鳴らしながら音を出しながらエリートの胸にあたった...と思ったらそのまま貫通してカナちゃんが塞いだ洞窟の入り口の岩に突き刺さった。


「ミウ!大丈夫です??今直すですよ。<癒しの水>ヒールウォーター!」

カナちゃんの魔法で脇腹の痛みが引いていく。


「ありがとうカナちゃん。トルペタ君もありがとう!さっきのって...」


多分あれはスキルだ。凄い貫通力であの硬かったエリートを貫いてそのまま岩にささるなんて・・・。


「一発なら何とか打てる程度のマナが身についたみたいです。もう少し早くコボルトとゴブリンを倒せていればよかったんですけど...間に合ってよかった...。」


そういえば水の手で救出された女の子はどこに...と思ったら私たちが元居た茂みの奥から少女がこっちに向かって小走り向かってきた。

「あ、あの!助けていただいてありがとうございます!私、ミーシャって言います!」

茶色い髪の毛を一つに結んだバーニア族の女の子は私たちにお辞儀をした。この子は私と違ってたれ耳じゃなくてピーンと耳が立っているタイプみたい。


「あの、ミーシャさんはどうしてとらわれていたんですか?」

トルペタ君が質問するとミーシャさんは首を傾げる。


「それが、よくわからないんですよね。森に山菜を摘みに来たらいきなりでかいゴブリンに話しかけられて....片言でしたけど。」

えっ、話せるの?

カナちゃんの方を見ると頷いて答えてくれた。


「そうですね、普通のゴブリンは話せませんがゴブリンエリートにまでなると人間の言葉を話すこともあるです。ただ、会話が成立するというよりは単語だけ覚えてるって感じですね。」


「はい、それで『オマエノナハ?』って言われたのでミーシャです。ってこたえたら『ミウシア!ミウシア!』っていってあの洞窟まで連れてこられて....あ、なにもされてないんですよ怖かったんですけど思ったよりも手厚く扱われまして。」


ミウシア?たまたま?なんで私?


「ミウシア...ですか。なんでミウシアさんの名前が出てきたのかはわかりませんが人違いでさらわれた、ということですかね。うーん....。」


「ミウ、ゴブリンたちに何かしたですか?なんで狙われてるです...。」


「わっかんないよそんなこと....。ほかにもさらわれた人がいたりするの?」


「えっと、その時は私だけでしたがバーニア族の女の子が行方不明になったっていう話はここ2日くらいで何回か聞いたことがあります。」

なんでそんな状況で一人で森に来たんだろう...。


話を聞いたところ、この洞窟にはもう魔物はいないということなので、今日はここに野宿して今後のことについて話すことになった。


「ところでミウ、剣が赤くなってましたけどあれは何だったんです?」


「んっと、太陽の光を光を集める魔法で集めてこの剣を高温にしたんだ。この剣に使われている鉱石は決して変形しないみたいでさ!なんか燃え盛る火の剣ってかっこよくない??」

私がニコニコしながら伝えるとカナちゃんがあきれたような目でこっちを見てきた。


「....そんな高温なら直接エリートを燃やせばよかったです。それで終わりだったです...。」


「あ.....。」

トルペタくん無駄に心配させてごめんね。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◇SIDE:ゴブリンキング

「コボルトキング、ミウシア、いたか?」

オレ、ミウシア、神にささげるため、コボルトキング、協力した。


「いや、まだだ。俺の部下よ~しゃべれねぇんだ。」

コボルトキング、話すの、うまい。


はやく、神に、捧げる。


「ギガ、グガギギガグガゲ!ガゴギギゲグガ!!!!!」

部下に、命令する。ミウシア、早く、連れてくる。


部下、少ない。でも、つよい。


「グガギギ、ガギ?」

「ゴガー。」「ギガー。」


部下の中、一番強い、グガギギ、帰ってこない。


「コボルトキング、部下で、一番強い、グガギギ、戻らない、お前、知らない?」


「いや、というかうちの部下も一匹かえってこねぇんだよ。確かお前の部下二人と一緒に組んで山を下りたやつだな。」


確か、グガギギ、コボルト、ゴブリンで、ミウシア、探しにいった。


なにか、おかしい。



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