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「32話 中二病 」



アルカナちゃんに実戦を見てもらうことになった私とトルペタ君は受付のメルさんに講習が終わったことと、実戦を見てもらうことを伝えた。

それならば、ということで冒険者酒場の経営している訓練場に案内された。

...冒険者酒場の隣にこんな広い訓練場があるとは思わなかった。

硬めに整備された茶色い土と、木で作られたいくつものボロボロの木人、訓練場の外側は木の柵で覆われている。


私とトルペタ君は祝福武器を構えて木人に向かう。


「武器を体の一部だと思うです、手の延長、手にマナを集めて手の先に流すことをイメージするです。まずは属性のついたマナを祝福武器から出してみてくださいです。」


手に飛び兎を持ち目を閉じて集中した私は体内のマナをゆっくり移動させる、まだ付き合いは短いけどすっかり手になじんだ飛び兎はすんなりと私のマナを受け入れてくれた。


そのまま飛び兎の先までマナをいきわたらせると次第にマナが白く光り輝くような感覚に陥った。


「ミウシア君いいです、できてるです。目を開けてみるです。」


目を開けると飛び兎がまばゆいほどに光り輝きいていた。

「これが.....スキル?」


光り輝いてるはずなのにあまりまぶしくない。こんなに明るかったら目も開けられないくらいなのに...。


と思った時横から心地の良い風が吹いてきた。

トルペタ君が祝福武器にマナを通すことに成功したみたいだ。


「やったああぁぁぁ....」


次の瞬間膝から倒れこむ白目のトルペタ君。


「トルペタ君!!!」

「大丈夫です!?」

無駄に称号の条件達成、すごいスピードでトルペタ君を受け止める無駄に洗礼された無駄な動きの私。


「んむむ、マナ切れですね。トルペタ君はマナが少ないのです。寝かせてあげればすぐ回復して起きるので心配ないですよ。で、では失礼して...むふふ」


アルカナちゃんがトルペタ君をお姫様抱っこして訓練場の隅っこの木陰に寝かせる。

なんかアルカナちゃんにやにやしてたけどどしたの...?


トルペタ君、今完全に姉にベッドまで運ばれる寝落ちした弟だよ....。

スマホがあったら動画取りたかったな。

戻ってきたアルカナちゃんが杖を構えてこっちをちらりと見る。


「今の感覚がわかったらあとは色々思考あるのみです。ちょっと魔法じゃなくてスキルを使うですからよく見てるです。」


「はい!」


「水の刃よ、杖に纏いて斧と化せ。ウォーターアックス!.....っせい!」

アルカナちゃんが呪文を唱えると杖に斧の形に水が形成され...詠唱!?そんでスキル名...?

かっこいい...!

斧と化した杖を振り下ろすと木人は真っ二つになる。


「アルカナちゃん!詠唱って必要なの!?魔法みたいにスキル名もつけて始動キーにする必要が....。」


「ないですね。かっこいいからやってるだけです。...しいて言えばイメージが固まりやすいので精度は上がるです。」


「なるほど。」

確かにかっこいい、魔物がこっちの言葉がわからなければ別にデメリットになるわけでもないし、かっこいいに越したことはない。

それに理解のある人がいれば恥ずかしくないし私もちょっとやってみよう。


「ミウシア君...もういいですかね、ミウシアさんも何か考えてみるです。」


「んー....こんなのどうかな、....あれを....こうして....」


「ふむふむ、そしたら詠唱は...例えば.....」


アルカナちゃんとかっこいいスキルの実現化について語り合った私は時間とトルペタ君を忘れるほど熱中していた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◇SIDE:トルペタ


「ん...あれ、俺....。」

ふと気が付くと空は暗く、肌寒い温度になっていた。


どうやら俺は気絶していたようだ。

自分の中のマナが少なすぎたのかもしれない。


魔物を倒してマナの許容量を上げないと....。


そういえばミウシアさんとアルカナさんは?


辺りを見回すと修練所の真ん中で2人が何か白熱して話しているのが見えた。

「すごい、こんな時間までスキルについて語り合っていたんだ....。」


俺は起き上がり二人の元に向かった。


「すみません、気絶して...い...?」

叫びながら近づくと二人の会話が聞こえてきた。

....何かがおかしい。

二人とも夢中に語り合って何かポーズまで決めている....。


「小さい魔法陣を刃に先に書いておくんだよ!そして切った瞬間にスキル名に見立てた魔法の始動キーを唱えたら!!」


「切った瞬間に魔法が炸裂です!あわわ、前衛職で魔法を使える人がほぼいないから考えてなかったです!なんてかっこいいんですか!!」


「例えば同属性の光の矢っぽい魔法を剣に仕込んでおいて敵を突き刺したとき『放て光よ!シャインニングスティンガー!』って唱えるとか!」


「ふわああ、たまんないです!しかも光魔法×光属性だから一気に火力も上がるです!!こうなったら私に任せるです!ミウシアさんに付きっ切りで神式語教えるです!!」


「やったあ!あ、あとほかにも考えたんだけど、もう完全に攻撃じゃなくて見た目だけなんだけどね。切った時に綺麗な光を出すの。」


「む、それはピンとこないです。ちょっとやってみるです。」


「見ててね、ていっ!」


「!!かっこいいです!!多分それ目くらましにもなると思うですので有効かもしれないです!」



何してるんだろうこの人たち....。

え...スキルって技名も詠唱もいらない...よな?

ていうか魔法なのかも...。


強くても恥ずかしいなら俺は絶対やりたくない。


冷めた目で見てると二人がこちらに気が付き俺を心配してくれた。


心配してくれるのは嬉しいんだけどさっきのテンションの方が俺は心配だ.....。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ちょっとアルカナちゃんと盛り上がりすぎちゃったみたいで辺りはすっかり夜になっていた。

今日は祝福武器もできたしスキルも使えるようになったしめでたい!ってことで料理屋でご飯を食べることになった。

ギアード国の特産品は器械と魔法で超効率的に育てた野菜らしい。

そうやって聞くとあんまりおいしくなさそうだけど普通においしいらしい。


比較的安くて割と美味しい歯車亭というお店に入った私たちはこのお店に来たことのあるアルカナちゃんにおすすめを注文してもらった。

何かしらのお肉の唐揚げっぽいもの、何かしらの野菜の盛り合わせにオイリーなドレッシングをかけたもの、味が濃さそうなナッツ的な何か、おいしそうだけど少しずつ私の知っている具材と違っていた。

唐揚げの衣は緑だし野菜は細長いトマトみたいなものに真四角のビー玉サイズのキャベツ、黄色っぽい大根的なもの。

ナッツは手のひらサイズだった。


そして私の前には果実酒、二人は野菜ジュースが置かれている。


私は果実酒を手に取って乾杯の音頭を取った。

「えーでは、無事武器に祝福ができたこと、スキルも覚えたこと、そして...新たな仲間にかんぱーーーーい!!!」


「乾杯です~~~!!」


「かんぱ..って仲間!?」


片手に持った果実酒をごくごくと一気に飲む私と野菜ジュースを両手で持って少しずつ飲むアルカナちゃん。

そして飲み物に手を付けないトルペタ君。


「ぷはあああ~。ん?どったのトルペタ君。」


「いやちょっと待ってください....俺の気のせいなのかな?....ミウシアさんさっきの乾杯の時の発言もっかい言ってみてください。」


「おっけー、ちょっと準備するから待ってね、すみませーーーん!さっきと同じ果実酒もう一杯!!」

配膳係のお姉さんがこっちをみてサムズアップをしてくれた。と思ったらすぐ先ほど同じ果実酒をもってきた。


「えーじゃあ改めて、無事武器に祝福ができたこと、スキルも覚えたこと、そして...新たな仲間にかんぱーーーーい!!!」


「乾杯ですーーーー!」


「やっぱ仲間って!!!ちょっとミウシアさん!!!今の発言!!」


トルペタ君が止めに入るけど一度一気飲みのポーズに入ったらもう止められないのだ。

社会人生活で考えの古いオッサンに一気飲みを強いられたりしていた私にはもう一気飲みのルーティンが決まっているのだよ。

今思うとアルハラだよね普通に。


「また聞き逃したの?しょうがないなあ、すみま「いったんストップしてください!!」」


手を挙げて店員さんを

「ミウシアさん、仲間ってどういうことですか?」


「えっと、私がミウシアさんの旅についていくことになったですけど、言ってなかったです?」

あれ、でもスキルの練習してるときにいたよ...いないや、トルペタ君気を失ってたんだ。


「あ....ごめんトルペタ君気を失ってたんだ。改めてアルカナちゃん挨拶よろしくう!トルペタ君が着いてきていいって言ったらもっかい乾杯をしよ~う!」


「と、トルペタ君、話を勝手に進めてごめんです。アルカナ・マジック、ヒューマン族で魔導士です。杖の祝福武器で後衛から一気に火力で押すスタイルなのです。冒険者ランクはBなのでアルカナお姉さんをいくらでも頼るですよ。ちなみに私がいると神式語を覚えたり魔法の指導やスキルの指導がいつでも受けられるです。ちなみに彼氏はいないです。」


むふふとドヤ顔をしながら語るアルカナちゃん、とても頼みごとをしている態度じゃないけど受けられる特典を考えたらこっちがお願いするくらいなんだけどね~。

彼氏がいない情報いる??トルペタ君にアピールしてるのかな?


「すごい、Bランク...。でもさすがに実力が離れすぎてると思うんですけど平気なんですか?あと俺は18歳なんでアルカナさんより年上だと思いますよ。」


「ランクは関係ないです!私はミウシアさんと一緒にいれば魔道の道を究めることができると思うです。ミウシアさんは私にない発想で魔法の新たな可能性を示してくれるです。例えばですが今日お話しした武器に魔法陣を定着させておくことで物理と魔法を同時にできるのも新たな発見です!!もともとその発想は無かったわけでは無いのですが魔法を使う冒険者が前線にでて戦うことはあまりないですのでそもそも実現しようと思わなかったのです!.....またやっちゃったのですね...魔法のことになると探求心を抑えられなくなるです...あと私は16歳なのですトルペタさんごめんです。」


アルカナちゃんがまた暴走した。

私の発想が、か~いろんなゲームとかの技を実現しようとしたり、原理をあんまり考えないで色々アルカナちゃんに話したら力になれるかも。

今更だけどアルカナちゃんの語尾って変わってるなぁ、私はアニメとかゲームとかで特殊な語尾のキャラになれてるけどこの世界では一般的なのかな?

何はともあれトルペタ君もアルカナちゃんの発言でなるほどぉって頷いてるし大丈夫そうだね。


「よし!!そしたら仲間ってことでいいよね??この際だから呼び方とかもっと仲間っぽく仲いい感じにしようよ~」


二人が話しているところを見ると自分から打ち解けようとしていないみたいだからここは年長者の私が何とかしなきゃ!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:アルカナ


私たちはひとしきり飲み食べして色々くだらないお話しや魔法の話をした後、私だけ別の宿だったですので二人の宿に泊まることにしたため今は荷物を取りに一人で元々取っていた宿に向かってるです。


にしても酔っぱらったミウがいきなりトル君の胸を土魔法で豊胸したのには思わず笑っちゃったです。


ほんとによかったです、二人に受け入れてもらえたです。


それに呼び方もミウシアさんじゃなくてミウ、トルペタさんじゃなくてトル君と呼ぶことになったです。

私のこともカナちゃんとアルカナと気軽に呼んでくれるようになったですしこれから仲良くなっていけると思うです。


でもトル君はミウと話すときは敬語じゃないと緊張するって言ってたです。ミウシアさん呼びのまんまですし。

あれは恋してるですね。

異種族間の恋愛というものはこの世界で禁止されても疎まれてもいないですが、子供が生まれることが無いですので人口を増やしたいえらい人たちからしたら悩ましいことなのです。


異種族であることを気にしなければトル君は私の好みです。

くるくるとパーマのかかった栗色の髪型、大きい目、守ってあげたくなるような母性本能をくすぐられるような見た目はたまんないです。

ごめんなさい、ドストライクです。


...ミウのことを明らかに好きですよね、勝ち目がどうしたってないです。

でもミウは全くトル君に対して異性として接していないです。女性のほうが好きなんですかね?まぁバーニア族にはよくあることです。


とか考えてたら宿についたです。荷物をまとめてさっさと二人のいる宿に行くです。

明日は二人の初めての依頼に行くのでサポートに回るです。


明日から楽しい毎日が続くんだろうなあ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 女性のほうが好きなんですかね?まぁバーニア族にはよくあることです. これは確かに神が原因だ....ヤンデレの影響が人間界にまで広がった...
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