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「30話 祝福武器 」


武器を祝福するときにウォルフに祈りをささげるらしい、それを聞いた私は張り切ったウォルフが私の武器をとんでもないことにしそうな気がしたため釘をさす通話をしにトイレにやってきた。


「<映像通信>ライブチャット!」


「ウォルフ~見える?」


工房のようなところで何かを作りながら通話に出たらしく、こっちを向かないウォルフ。

『どうしたのミウシア、って!ちょっとトイレから通話かけてこないでよ!』

あ、向いた。


「通話するために来ただけだから何にもしてないよ!えっと、忙しいとこごめんね!武器を祝福する時に冒険者がウォルフに祈りを捧げてるって知ってる?」


『あー、弱すぎる人類のためにそんなシステム作った気がするわ。でもそれは器械的に行う動作として世界に定着してるから私たちが介入することはめったにないわよ。ミウシアが武器を祝福するならすっごい祝福してあげるけど?』

あ、言わなければよかったかも。


「そのことなんだけど、私はこの世界で無双したいんじゃなくてあくまでこの世界の住人として世界を回りたいの。だからあんまり強すぎる加護はやめてほしいんだ。」

俺TUEEEE系は作品だと楽しめることもあるんだけど現実にやるとなんだか痛々しく見えるのと恥ずかしいのと、力を持ちすぎてつまらなくなりそうで嫌なんだよね。


『なるほどねぇ。じゃあ武器の素材を成長する鉱物と置き換えたりするのは?そしたら一緒に強くなれて武器を変える必要もなくなるわよ。』

あー、そのくらいならアリかもしれない。飛び兎の見た目も気に入ってるし鉱物の置き換えならゴーゲンの技術はそのままってことだし。


「あ、それはお願いしてもいいかな?」


『わかったわ。じゃあ任せて!』




...本当にやりすぎないかな?


トイレから戻った私はトルペタ君と神父様を待たせたことに謝罪してさっそく祭壇に向かって膝をつく。

飛び兎を両掌に乗せて天に捧げると......。


武器の重みを感じなくなって目を開けると、そこには宙に浮かぶ飛び兎。鞘から抜けて刀身があらわとなりトルペタ君の時と比べ物にならないくらいの光の紐が刀身に集まる。

そのまま私の手のひらに飛び兎と鞘が戻り光が私の体中に光が浸透していき光が収まる。


戻ってきた飛び兎の刀身にかつての鉄の面影はなく、光沢の無いザラザラとした手触りの黒い刀身となっていた。



「...今のは...!!これほどまでに強い光、まさかバーニア族の少女がウォルフ様に注目されているということなのでしょうか!!すばらしい!!!」


「すごい...やっぱりミウシアさんは...。」

驚く神父様と何か納得しているトルペタ君を見て私は悔やんだ。

ウォルフに演出も抑えてって言えばよかった。


「あれだけ光が強いはめったにないこと何ですか?」

よし、恍けておこう。

あと気が付いてないようだし刀身については黙っておこ...。


「ええ!あのような輝き、私は見たことがありません!!おそらくこのギアード国で観測された最高の輝きでしょう!!ああ、ありがとうございます。生きているうちにあのようにウォルフ様に注目されている方に出会えて光栄です。」


「それは良かったです。それでは私たちはこれで失礼いたします。またよろしくお願いいたします。」

さっさと退散しないと大事になるかもしれないし刀身がばれるかもしれない。

早く宿屋に戻って鑑定をしておきたい...。


「はい、またいつでもお越しください。お待ちしております。」



教会を出て帰り道でトルペタ君に刀身のことを軽く伝えておくことにした。


「宿屋に行ったらトルペタ君のボウガンも鑑定してあげるね!...そういえば飛び兎のことなんだけど...。」


「はい、お願いします!あの輝きは凄かったですね、目を開けていられないくらいの輝きでした。でも俺のボウガンも光が強かったんですね。普通はどの程度なんでしょう...。」

確かにそれは気になる。暇なときに教会で祝福の儀式を見学するのも楽しいかもしれない。


「ね、気になるよね~。あ、それでね、飛び兎の刀身が祝福を受けたら色が変わって材質も鉄っぽくなくなったんだよね、だから宿屋でゆっくり確認しておきたいなあって思って。」


「そんなことが起きるんですか...。俺のボウガンも何か変わってたりするのかな...。」


先にウォルフに頼んでトルペタ君の武器もお願いすればよかったな、ごめんねトルペタ君。

でもトルペタ君も他の人より強い光だったんだからもしかしたら何か強くなっていることがあるかもしれない。

とりあえず鑑定してみないことにはなにもわからないから急ぎ足で宿屋に向かおう。



宿についたころにはもうお昼過ぎだった。

部屋の机の上にコルペタさんお手製のサンドイッチとスープとパイを出してご飯を食べながら武器について詳しく話すことになった。


「それじゃあまずトルペタ君のから行くね、<解析>アナライズ!」



-------------------

名称:コンポジットボウガン:風

品質:C+(1段階UP)

祝福:済

武器性能:攻撃力+25

構成素材:メイプルの硬木、鉄、ワイヤー

説明:トルペタが作ったメイプルの木と鉄を複合して作った威力の高いボウガン。

補足:・特殊な技法により弦を引く力が弱まっているがある程度の力を必要とする。

   ・祝福によりボウガンを通して風属性のスキルを発動することができる。

-------------------


「ど、どうですか...?」


「おー!祝福されて品質が上がって風属性魔法を武器に付与?できるようになったみたいだよ!」


「よかった!風属性はボウガンや弓を使う人と相性がいいらしいんですよ、速度を上げたりいろいろできるので!金属部の比率が高すぎると別の属性になったりするらしいのでこのために木材多く使ったんですよ~。ミウシアさんの武器は何属性か気になりますね!」

トルペタ君の口ぶりからすると何らかの属性が選ばれるみたい。

素材から属性が選ばれるとしたら私は何属性になるんだろう。

比率的に鞘の部分の素材よりも刀身のほうが高い、つまり黒く光る謎金属の属性が選ばれるんだろうけど・・・。


私は恐る恐る飛び兎に意識を向けて発した。

「<解析>アナライズ!!」


-------------------

名称:飛び兎:光(小太刀)

レベル:1

品質:A(2段階UP)

祝福:済

武器性能:攻撃力+30(-12)

構成素材:黒錬鋼、チェラリの硬木、漆、チェラリの染色剤

説明:鍛冶師ゴーゲンがミウシアに贈った小太刀。

補足:・取り込んだマナが一定量に達すると成長する。

   ・祝福により小太刀を通して光属性のスキルを発動することができる。

   ・黒錬鋼でできた刃は決して形状が変わることは無い。

-------------------


「品質が2段階上がってAになって刀身が黒錬鋼っていう素材になってる。取り込んだマナによって成長するようになってるみたい...。でも攻撃力はだいぶ下がっちゃってる。属性は光だね。」

魔物をたくさん倒してマナを吸収させればすぐ元の攻撃力を超すことができるのかな?


「黒錬鋼ですか、聞いたことが無いですね。品質がAなら生涯ずっと使えるレベルの素材だと思います...それをウォルフ様がミウシアさんに...ミウシアさんっていったい何者なんですか...?」


さすがに怪しまれるよね。

本当のことを言ったら多分態度がさらに固くなっちゃうと思うし言わない方向で話を進めよう...。


「私にもわからないかな、なんでバーニア族の私にドワーフ族の神様がこんなことしてくれるんだろうね...。ところで光属性ってどんなことができるんだろう?」


トルペタ君の疑問に対して私もなんでかわからないといった態度をとって首を傾げる。

疑惑の表情でこっちをじーっと見つめてくるけど問い詰められたら多分ばれそう。

トルペタ君は深いため息をついて諦めたように話を進めてくれた。


「はぁ~、まあいいです。光属性については俺もあまり知らないんですけど、スピード型の戦闘職に向いているとか聞きましたね。詳しくは冒険者酒場で魔法、スキルについて講習を受けたほうがいいですね。早速受けに行きますか?」


ゲーム知識はあってもこの世界の知識は全くと言っていいほど無い私に選択肢はなかった。

魔法、スキルはゲームでは職業毎に決められていた。

しかしこの世界は自由だ。

システムの制限に関係なくかっこいい魔法やかっこいいスキルが使えることがうれしくて思わず体が震えた。


「うん!行こう!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◇SIDE:アルカナ・マジック


退学届けを伝書鳩に持たせた私は冒険者酒場の依頼口に来たのです。

もちろん依頼を受けて冒険者ランクを上げるためなのです。


「あんまり高ランクの依頼が無いですね...。」


この地域はあまり魔物が強くないですしもう少し魔大陸に近づいたほうがいいですかね?


そんな時受付のお姉さんが話しかけてきたです。




この時の私はミウシアさんとの再会がこんなに早くなるとは思ってなかったです。

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