「28話 定番のイベント? 」
トルペタ君がボウガンの強化のため鍛冶屋に行ってる間、私は町を散策することにした。
クルシュ村と比べて格段に広いこの国を散策するのは迷いそうだと思っていたけど街頭に2-15とか番号がふってあるため迷うことはなさそうだった。
にしても日本と違って車が走ってないから歩行者天国みたいな感じで道の真ん中を歩けることがうれしい。
素材を交換して手に入れたお金の残りは120Nia、お洒落な服を買うのにはとてもじゃないけど足りない。
せっかくこんなスタイルがいい体になったんだからお洒落したかったんだけどなぁ、町の中くらい革当てとか装備しないでお洒落したいよ。革当てだけ外しちゃお。
うろうろすること数時間、迷子のドワーフ族の子供(大人と見分けがつかなかった)を助けたり重たそうな荷物を持ってるドワーフ族の女性(年齢わからなかった)の荷物を家まで運んであげたり、ナンパされてるドワーフ族の女性(ナンパをしてる人含めて皆子供にしか見えない)を助けたりしてお助け成分を補充した。
途中ですれ違う人たちは皆お洒落かかっこよく決めた冒険者、今日は気候が比較的安定していて気温が低くても日差しが強い。
ちょっと日陰で休もうかな。
建物と建物の間の路地裏に入って日差しを避ける。
壁に背を預け一息ついてから路地裏を眺める。
「やっぱり治安が良くても路地裏は絡まれそうだなぁ~「・・てくださいです!!」~?」
路地裏の奥のほうから若い女性の叫び声がかすかに聞こえた。
私は考える間もなく全力で走りだした。
いつもよりも体が軽いのは称号のせいなのだろうか、すさまじい速さで路地裏を曲がる。
奥には女性を挟み込むように2人の冒険者風の男性達が絡んでいた。
私は体制を低くしてさらにスピードを上げたまま手前の男性の背中に飛び膝蹴りを食らわせる。
「な、なんだお前は!?」
一人目が倒れたことで初めて私の存在に気が付いたもう一人の男性が驚愕の声を上げる。
私、女性、男性の順番に並んでいることを確認し、横の壁に向かって飛んだ。
そのまま壁を蹴り上げて高く飛び慌てる男性の頭にかかと落としを食らわせた。
1人目は地面でもがき、2人目は地面で動かなくなってる。
「やばっ」
急いで動いていない男性の脈をとると・・・大丈夫、生きてた。
ちょっとやりすぎたかな、一応手加減をして蹴ったつもりなんだけど。
器械体操の練習をたくさんしたおかげでなかなかトリッキーな動きができるようになってきたなぁ、と自分の成長を実感していると女性から声をかけられた。
「え、えーと...。」
恐る恐る私に声をかけてきたその女性は学生服に魔術師っぽいローブ、藍色の髪の毛で片目が隠れたおとなしそうなヒューマン族の女の子だった。
両手で長い杖を持って上目遣いで話しかけてくるその姿は小動物のような可愛さを持っていて思わず頭をなでたくなる。
「大丈夫だった?怪我はない?」
私が笑顔で話しかけると女の子は申し訳なさそうに答えた。
「お姉さんはもしかして私が襲われてると思って助けてくれたです・・?」
「う、うん...えっ、もしかして違うの!?」
まさか、そんな、それじゃあただの暴行じゃん!女の子を助けることに夢中で襲われてない可能性なんか考えてなかったよ。
「です...。」
どどどどどどどどどうしよおおおおおおおおおおおお!
私が頭を抱えて崩れ落ちていると最初にとび膝蹴りを食らわせた男性が起き上がってきた。
「いてて...おいいきなりなにす「すみませんでしたあああああああ!」ん...だ。」
男性が起き上がった瞬間即土下座。まず誤ってお金渡して何か素材とか渡して...。
ああもうどうしよう。
「完全に私の勘違いでしたこの子が襲われてると思ったんですよく確認もせずにすみませんでしたこれ有り金全てお渡しします、足りなければこのフォレストワームでよければいくらでもお持ちください!!!!!!」
私は土下座の姿勢のまま手を差し出しその上にアイテムボックスを展開、手のひらに120Niaとフォレストワームがぼとぼとぼとぼと。
と出した瞬間私の体に衝撃を感じた。
「すごいすごいすごい何です今の!お姉さんなんで魔法陣も始動キーもなしでそんな魔法使えるです!?マナの収束を感じなかったってことは魔法じゃないです!?でも魔法以外でそんな現象起こせるはずないです!!」
顔を上げると女の子が土下座している私にしがみついて魔法が展開された手のひらを食い入るように見つめていた。
さっきまでとキャラ違いすぎない...?
「はぁ~またか...。」
男性が頭を抱えてやれやれと首を横に振った。
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「つまり勘違いだった...と。」
もう一人の男性も目を覚ましたため、私は改めて正座しながら二人の男性の前で事情を説明した。
ちなみに女の子は横ですみません、すみません!とぺこぺこ頭を下げて私たちに誤っている。
相手側の事情はこうだ。
二人の男性冒険者は近くの屋台で果物を買って、祝福武器の短剣を通して風魔法を使って果物を切り分けて食べていたらしい。
それを見ていた女の子がさっきと同様に興奮して色々聞いてきたらしい。
めんどくさくなった冒険者二人は路地裏に逃げたが女の子がしつこく詰め寄ってくるので本気で逃げようとして一人が走り出したところで女の子に「見せてくださいです!!!もう一度!!!」といわれたあたりで私に襲われたらしい。
やめてくださいとか助けてくださいじゃなくて見せてくださいかぁ。
「まぁあんたも悪気があったわけじゃなさそうだし、フォレストワームをくれるんだったらもういいよ。」
「Niaの方はいらん。フォレストワームがこんだけあれば襲われたっておつりがでるぜ。」
な、なんと...あんなことをしたのに許してくれるなんて...。
最悪捕縛されて何かしらの罰を受けることも覚悟していたのに。
「あ、ありがとうございます~~ぅうう!」
やさしさと申し訳なさで涙が出てきた。二人の男性の手を交互に握りブンブンと上下に振る。
「お、おう...。もう少し落ち着いてなきゃ冒険者なんてやってらんねぇぞ、気を付けてな。」
「じゃ、じゃあ俺らはもう行くから。その子をまかせたぜ~。」
去っていく二人に再度お詫びを告げて見送りながら手を振った。
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SIDE:二人の冒険者
「おい、怪我を言い訳に飯に誘ったりなんかしたほうが良かったんじゃないか?滅茶苦茶可愛かったぜ。俺らくらい背が高かったがバーニア族はやっぱりスタイルがたまんねぇな...。」
「いや、なんか純真そうだったし騙すのもわるいじゃん...。」
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二人が去った後、おとなしかった女の子がずずずいっと私のほうに近づいてきた。
女の子は大体150cm前後、私を見上げる形になった。
「お姉さん!さっきの魔法!教えてくださいです!!私ずーーーっと待ってたです!!あれはどういった原理ですか?お姉さんは魔術師系統の職業なんですか?祝福武器は何ですか?」
「えっと、さっきの魔法は一応私の一族秘伝の呪文だから私が軽々しく教えられないし原理もよくわかってないんだ。ごめんね。私はまだ祝福武器を持っていないけど一応この小太刀を祝福しようと思ってるんだ。」
私は腰についた飛び兎を鞘ごと手に持ち見せた。
「一族秘伝!?ん~無属性魔法です?それでも魔法陣は出るはずですし始動キーが無いと反応しないはずです。魔法陣と始動キーの代わりになる何かが...体内、それか皮膚に直接魔法陣?...?」
「えっちょっっやめっ!!」
ブツブツと呟きながら女の子が私のシャツをペロンとめくりお腹、脇腹、背中をつつつと指でなぞっていく。
「うひいいいいいいやっ、やめ」
ピーンと耳が立って髪の毛が逆立つのを感じる。
くすぐりは弱いからやめってええええええ。
向こうからしたら同性だから遠慮がないんだろうけど、こっちからしたら異性なので下手に拒んで女の子の体に触ってしまいそうで怖い。
「魔法陣が書かれてるとして、体中で一番マナが集まりやすい胸部あたりだと思ったですけど。もしあったとしても始動キーは何なんです?普通だと魔法陣に鍵をかけて始動キーで開錠、魔法発動。これを本人の意識だけでまとめ上げるとなると意識、脳内?脳内で発動しようと考えたときに生じる何らかの信号が体内のどこかにある魔法陣に反応して魔法が出てるです?」
だめだ、会話が通じない。お腹を触り終えたと思ったらシャツを引っ張って無理やり屈まされて次は頭とか耳を触り始める。
「ひゃっ、も、もうやめなさい!!!!」
手を振りほどき少女のわきに手を入れ持ち上げる。
抱き上げられた犬のように左右にぷらーんぷらーんと左右に揺らして落ち着かせる。
「あ...す、すみませんです!私、魔法のことになると何も見えなくなってしまうです...。あの...もうおろしてもらって大丈夫です...。」
ゆっくりと地面におろして手を脇の下から離す。
ふと気が付けば空はもう夕暮れ、あんまり遅くなるとトルペタ君が心配するだろうしもう帰らないと。
「あ、ごめん、私この後用事があるからもう行くね、あんまり見境なしに首突っ込むと危ないから気を付けてね!!私も人のこと言えないけど!」
そう少女に行って私は人のいる道に向かって駆け出した。
「あの!わ、私の名前はアルカナ・マジックって言いますです!また、またどこかで会えますですか!?」
後ろから少女が私に向かって話しかけてくる。
アルカナちゃんっていうのか、時間があればもうちょっとお話ししたかったけど。
走りながら振り返ってアルカナちゃんに向かって叫んだ。
「私はミウシア、まだ2日くらいはこの国にいるからどこかで会えるかもね!!」
そのまま2-15の街頭を探しながら走って宿に向かうのであった。
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◇SIDE:アルカナ・マジック
ミウシア...さん...?
「そんな、ヒュム様が言ってたお方はあのお姉さんだったです...?」
数日前に見た夢に出てきた美しい青年、平和の神ヒュム様は私にこう仰ったのです。
『ミウシアというバーニア族の少女と共に行動すれば君が求める魔法の神髄に近づくことができる。』
あのお姉さんについていけば私はもっと魔法を極められるはずです。
「だとしたらやっぱりあの秘伝の魔法に何か秘密が隠されてるんですかね、体内に魔法陣、始動キーを刻み付けるです・・・?でもマナで描かれた魔法陣じゃないと起動しないと思うんですけどそこに何か秘密があるですか?体内じゃなくてもっと精神的な、魂に刻まれた魔法陣?むむ、ここで考えてても始まらないです。」
お姉さんを今すぐ追いかけたいですけど用事があるって言ってたし迷惑はかけたくないです。
もうすでに迷惑はかけちゃってるんですけど...。はぁ、どうして私はこうなんですかね...。
次に会った時はちゃんと謝るです。
...会えますかね?会わなくちゃですね。
ミウシアさんはなんて言うか普通じゃない感じがしますです、恐ろしく早い動きで華麗に戦ってたですし冒険ランクも多分Aくらいはあると思うです。
私が魔術学校で学べることはもう無いです。
そしたら私がやるべきことはミウシアさんについていくこと、つまり冒険者ですね。
私は退学届けを魔術学校に送り、冒険者として上へ進むことを決めたのです。




