「24話 旅立ち 」
トルペタ君と旅をすることが決まった後、コルペタさんに改めて挨拶をした。
コルペタさんはトルペタ君に襲われたら男の弱点を蹴り上げるんだよ!!!!と行き過ぎたアドバイスをくれた。
トルペタ君は必死に否定してたけど私は一応襲ってこないことを信じてるよ。
それとコルペタさんは大量の食糧を用意してくれた。コルペタさんにはアイテムボックスのことがばれていて、テーブルの上にはアイテムボックスにしまう要の食糧が次々にできていった。
それをありがたくいただく頂いたんだけど、いつばれたんだろう。旅に行くことを視野に入れてトルペタ君が話したのかな?
そのあとはコルペタさんとトルペタ君と3人で盛大にパーティをした。2日連続の飲酒だったけど今回も盛大に酔っぱらった。
何か醜態をさらしたような気もするけどあんまり覚えてない。
またパッドの芸でもしたのかな?
それとコルペタさんが私の体に合わせて服を縫い直してくれ、譲ってくれた。
ピッタリサイズのシャツとズボンとなったため動きやすい。皮のベストは革装備を付けるときに邪魔になるためコルペタさんに返した。
そうして迎えた旅立ちの日、私は依頼していた武器と防具を取りにゴーゲンの工房に来た。
外から直接新工房に入る扉を開けてゴーゲンに問いかける。
「こんにちはー!ゴーゲンできた?」
「おう、できてるぜ。えーっとだな、まず武器だが小太刀で、名は飛び兎。バーニア族の俊敏さを活かすなら無駄な装飾はいらねぇだろ。柄は軽くて手になじむチェラリの木を使ってる。俺の嫁がチェラリの木も彫ってくれたぜ。刀身は普通の鉄だがうちの炉で作ったから普通の鉄よりは上質なもんになってるはずだ。」
「うわぁ...。」
ゴーゲンに渡された小太刀を手に取る。
刃渡りは手のひらくらいで柄は握ると丁度包み込めるサイズの...ドス。
しかも柄は漆塗りのような光沢を帯びた黒と茶色の間。柄には枝垂桜が彫ってあって彫ってある部分はピンク色に染色されている。
これ極道感強くない...?しかも名前、飛び兎って!確かに酔っぱらった時に飛び跳ねたり騒いだりしたけど!!
「ちょっと解析するね、<解析>アナライズ!」
「鑑定もできんのか、うちで働いてほしいくらいの人材だなおい...。」
-------------------
名称:飛び兎(小太刀)
品質:B+
祝福:可能
武器性能:攻撃力+43
構成素材:鉄、チェラリの硬木、漆、チェラリの染色剤
説明:鍛冶師ゴーゲンがミウシアに贈った小太刀。
補足:特殊な製法により作られたため、通常の鉄よりも刃こぼれしにくい。
-------------------
ゲーム基準だと最初の町で装備できる武器が最高+14とかだったからこの攻撃力は正直破格だと思う。
見た目も慣れてしまえば和な感じでかっこいい。和服と合わせたら極道の妻みたいになってある意味かっこいいかもしれない。
祝福って何だろう?後で聞いてみよう。
「あとはこれが鞘でい。」
ゴーゲンは飛び兎の柄と同じ柄で装飾された鞘を渡してくれた。
うん、派手。地味だけど派手!
「すごいねこれ、攻撃力とか普通の鉄製の武器とは思えないよ。」
「あったりまえだろ!俺の手にかかればこんなもんでい!あとは防具だが、飛び桜と合わせて黒染めの革を使ったぞ。普通のリザードの革だが旅立ちとしちゃあこんなもんだろ、胴、腕、足セットだ。頭は...耳の根本がわかんなくてつくってねえや。息子が胴当ては作りやすかったっていってたぞ。控えめでな!」
ゴーゲンを軽く蹴っ飛ばし革防具にもアナライズをかける。
いつか息子も蹴っ飛ばしてやる。
「ったく...<解析>アナラ~イズ!」
-------------------
名称:フォレストリザードの胸当て
品質:C
祝福:不可
武器性能:防御力+10
構成素材:リザードの革、鉄
説明:鍛冶師ライゲンが作った革の胸当て。皮を鉄の鎖でつなぎ合わせているため多少無理な体勢になることもできる。
補足:なし。
-------------------
腕と足も似たような説明だった。防御力に関しては腕が4、足が6で胴と合わせて20程度。序盤なら十分だった。
ゴーゲンの手を取ってブンブンと上下に振りながらお礼をする。
「ゴーゲン~~~~ありがとう!息子さんにもお礼言っておいて!!これだけよくしてくれて出世払いじゃ申し訳ないからせめてフォレストワームを贈らせて!!!」
私はインベントリに入れっぱなしだった袋にフォレストワーム(生きたまま)をぱんぱんに詰めて手渡しした。
「おう、ありがとな!メイプルの木で育ったフォレストワームって割と高いんだぜ~~?メイプルの甘味が移ってるから王都じゃ珍味扱いされててよ。まだ余ってるなら王都に行ったときに売ってみな。今日渡した武具代くらいは稼げると思うぜ!」
「あ、そうなんだ。いいこと聞いた!王都に行ったときには売ってみるよ!あ、あと一つ聞いて言い?さっきアナライズした時祝福って項目があったんだけどこれって何かわかる?」
「おいおい、そんなことも知らねえで旅なんざしようと思ったのか?いいか、祝福っていうのはな...
ゴーゲンの話を要約するとこうである。
神聖な教会で武具を持ち祈りをささげると武具に神の祝福を与えることができるらしい。
祝福を得た武具を装備するとその武具に応じた職業を名乗れる。
祝福武具は一人につき一つしか所持することができなく、また祝福した武具を他人が所持することはできない。
祝福は教会で他の武具に付け替えることができる。
祝福武具を装備しているとマナを通わせ、敵から吸収することができ、武具にマナを通すことでスキルと呼ばれる技を使えるようになる。スキルは魔法とは違い、本人のマナ量、マナ操作練度によって威力や精度が増す。
マナを吸収すると装備者の能力を上げることができ、それを数値化、ランク分けしたものをレベルと呼ぶ。
その道を極めると祝福が他の装備に移り複数持ちになるらしいが俺は詳しく知らない。
ってわけだ。」
やっぱりここはゲームの世界に似せて作っただけで、ゲームの世界ではないんだな、と改めて実感する。
「へ~~知らなかった。じゃあとりあえず教会に行けばこの飛び兎に祝福を宿すことができるんだね。ありがとうゴーゲン!」
「おう!あとトルペタのやつにこれを渡してくれ、ミウシアと同じ防具だ。」
「え、いいの...?絶対また来るね、その時は希少な鉱石たくさん持ってくるよ!」
おう、まってるぜ!がははは!またな!!と気持ちのいい反応で別れた。
このつながりは大事にしないとなぁ。転移魔法みたいなのを覚えたら真っ先にゴーゲンとコルペタさん、この村の人たちに会いにこよう。
家に帰った私は武器と防具の披露をコルペタさんとトルペタ君にしてトルペタ君に防具を渡した。
防具は黒な私に対してトルペタ君は深緑だった。
この辺は森に囲まれているため遠距離攻撃を主とするトルペタ君が少しでも敵に狙われないようにこの色にしたのだとゴーゲンは言ってた。
あれ、私のほうが狙われやすい?...とにかく素早くなりたいな。
ちなみにトルペタ君が作ったボウガンをアナライズしたら以外に強力だった。
-------------------
名称:メイプルボウガン
品質:D+
祝福:不可
武器性能:攻撃力+15
構成素材:メイプルの硬木、フォレストスパイダーの撚糸
説明:トルペタが作った子供でも容易に扱えるボウガン。
補足:特殊な技法により弦を引く力をほぼ必要としない。
-------------------
名称:メイプルアロー
品質:D
祝福:不可
武器性能:攻撃力+2
構成素材:鉄、メイプルの硬木、フォレストバードの羽
説明:トルペタが作った弓に比べ矢が小さいボウガン専用の矢。
補足:無し
-------------------
親から引き継いだ歯車を使用したギミックなのか、力を必要としないそのボウガンはとてもトルペタくん向けだなあ。
攻撃力も近接武器に比べたら低いが遠距離武器にしては高いほうだった。
「なんかこうして並ぶとトルペタ君とペアルックみたいだね~」
「ぺあるっく?って何ですか?」
小首をかしげながら初めて聞いた単語に疑問の顔を浮かべた。
そりゃ聞いたことないよね。
「お揃いで仲良しって意味だよ~!」
そして案の定照れるトルペタ君なのであった。
その後全ての準備をし終えた私とトルペタ君はコルペタさんに見送られ、これから長く続く旅が始まった。
「気を付けるんだよ!たまには帰ってくるんだよ!ミウちゃんがいいって言うまで手を出すんじゃないよ!でもいいっていってもガツガツ行くんじゃないよ!!女心をよく考えるんだよ!!」
私たちが完全に見えなくなるまで手を振りながらずっと叫んでいるコルペタさんの発言を聞いて真っ赤になるトルペタ君とそんなトルペタ君をみてちょっと赤くなる私なのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇SIDE:ジア
皆無事にゆめゆめくんとかいうヒュムを苦しめた玩具で夢に出た後、俺は遠視の泉でそれぞれが選んだ人物を確認していた。
俺が選んだのは王都でソロ冒険者をしている地方のジャイアント族の村長の娘だ。
力にどん欲で伸び悩んでいたこともあり、ミウシアについていけばもっと強くなれると解釈したようだ。
それまでにミウシアには強くなってもらわなければなんねぇけどまぁ大丈夫だろ。
ちなみに他の奴らが選んだ奴らはこうだ。
ウォルフ:旅に夢見るドワーフ族の青年
シーア:各地をふらふら彷徨い娯楽を探し求めるチャラチャラした男(これ大丈夫か?)
ヒュム:魔法の知識のためならどこにでも単独で向かうちょっと変わった女学生
ルニア:ミウシア様に近づくバーニア族は私だけでよいのでは?と言い張り誰にも声をかけない
デストラ:各魔物の長にミウシアを襲わないように声をかける
ルニアは普段おとなしいくせにこういうときだけ強情になるよなぁ、女の嫉妬ってこええもんだ。
ウォルフが選んだ奴はたまたまミウシアともう知り合っていて一緒に行動を始めたようだ。
ミウシアの奴俺らが常に監視してくると思って遠視の泉から直接アクセスできなくしてきたからな、そいつのお陰で間接的にミウシアの行動を確認できるようになったのはありがてえ。
とはいえ俺らがもう直接的に助けることはできねぇんだけどな...?
デストラが担当した魔物の長の様子がおかしい。あいつは襲わないように伝えたって言ってたがなんか戦いの準備というかやる気満々な空気がかもしでてねぇか?
俺は一仕事終えてゆっくりしてる皆の方をみてデストラに声をかける。
「おいデストラよお、お前が担当した魔物の奴らなんかやる気に満ちてるんだがこれ大丈夫なのか?」
「ミウシア教官を御守りしようとしているのではないか?私がキチンと伝えたから大丈夫だとは思うが、私も定期的に確認することにしよう。すまぬなジアよ。」
「お、おう...。」
大丈夫かあ?




