「23話 身支度 」
ぶぶぶ、ブックマーク件数29件!?
まさかこれほどの方に見ていただいているとは思っても見ませんでした。
いつも見てくださっている方々、興味を持って見始めてくださった方々、ありがとうございます。とても感謝しています。
これからもどうぞよろしくお願い致します。
「あああああ頭が痛い...。」
胃のムカムカと頭の痛さを感じながら目が覚めた私はだるい体に鞭を打つようにして無理やり起きた。
どうやらいつの間にかトルペタ君の家の倉庫に帰ってきていたらしい。
昨日いつ寝たのか、どうやってここまで来たのかはわからないけど確か今日はゴーゲンと約束していたはずだ。
ゴーゲンの家の炉を確か移動させるみたいな感じだったと思う。
お酒の席とは言えはっちゃけ過ぎて被っていた猫が取れてしまったため今更ゴーゲンをさんづけで呼んだり敬語で話したら逆に変に思われるだろうなぁ。
「うま~~~~」
アイテムボックスを頭上に展開しちょろちょろとメープルウォーターを出す。
そのまま口の中に入っていくメープルウォーター。うん、ほんのり甘くて胃にやさしい。
倉庫からトルペタ君の家に戻りすでに朝食を食べていたコルペタさんとトルペタ君に挨拶をしてゴーゲンさんの家に行くことを告げた。
トルペタ君も一緒に来るかと思ったけど来なかった。なんか覚悟を決めた顔をしていたけど何かあったのかな。
家を出てからゴーゲンさんの家がどこにあるのか知らないことを思い出したけど丁度外には昨日一緒に飲んだオッサンの一人がいたため案内してもらった。
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「おう、ミウシア!体調悪そうだな、酒飲むか?」
「何言ってんの...そんなんで体調がよくなるのは血が酒でできてる人くらいだよ...。」
正気なのこのオッサン、本当に心配した表情してる。
「と、とりあえず、頼まれてた炉移動しちゃうから案内して~。あと口調はこのままでいくから、初めて会った時の丁寧な私は忘れて~。」
「お、おう。最初からその口調で話してればよかったんじゃねぇのか...?」
「乙女にはいろいろあんの~世間体とか社会人として~とか」
心は乙女じゃないけど。
ゴーゲンからセケンテイ?シャカイジン?まだ酔ってんのか?って言われたけど説明してもわかんないだろうから放置した。
ゴーゲンの家はゲームとかの鍛冶屋と家が一緒になったような見た目をしていた。
家の右側には煙突がありそこが工房なのかな。
にしてもでかい。トルペタ君の家を二つ繋げたくらいでかい。家は真ん中から右半分と左半分の新しさが違う。これはきっと息子夫婦とゴーゲン夫婦でわかれてるのかな?
炉を移動しても煙突は移動できないことを伝えると炉を移動してから屋根をぶち抜くから気にすんな!って言ってた。
工房に入ると狭い部屋にたくさんの工具と部屋の7割くらいを閉める炉があった。
炉は石をレンガのように敷き詰められてできていて真ん中が空洞になっている、その空洞には木炭のような燃料がたくさん入っていて燃やした時の煙はそのまま外に行くよう煙突に直結してた。
これ思うんだけど私がアイテムボックスにしまおうとしても炉だけじゃなくて家も同時に入ってきそうじゃない?
「あ~、ゴーゲン。もし失敗したらごめんね。最悪家ごとアイテムボックスに入るかもしれない。」
ゴーゲンは驚いた後私の肩をつかんで前後にがくがくと揺らした。
「そ、そのばあいちゃんと取り出せるんだよな!?取り出せなかったら俺だけじゃなくて俺の家族が家無しになっちまう・・・。」
ふ、二日酔いの体をゆらすなぁ...。
ゴーゲンを振りほどき息を整えてから
「ふー。平気だよ、最悪の事態が起きてもまた元通りにできるから。早速取り掛かるけどこの炉は家と一緒に作ったの?それとも個別に作ったの?個別だったらたぶん大丈夫たと思う。」
「ならいいんだけどよ。炉は個別に俺が作ったもんだ、炉の下側には火竜の火袋っちゅう火力増幅材が仕掛けてあって木炭だけじゃあたどり着けねぇ火力にたどりつくことができんだ。炉だけは壊さねぇでくれ!」
私は炉と家を別のものだと意識してアイテムボックスを炉の天井に広めに展開した。そしてそのままゆっくりアイテムボックスの空間口を下におろしていく。
アイテムボックスが通り過ぎた空間に炉は無くどんどんとアイテムボックスに収納されていった。
そして地面までたどり着いたころには炉があった空間には何もなく、狭いと思った部屋も炉がなくなったことでとても広く感じた。
「おおおおおお!」
アイテムボックスを確認すると項目に炉だけが増えていたためうまくいったんだと思った。
以前メープルの木をアイテムボックスに収納した時、木と枝と葉とワームに分かれて収納されたけどおそらくこの世界の人が別個のものと判断しているものは別個でアイテムボックスに入るんじゃないかな。
このアイテムボックスはこの世界の魔法ではなくゲームを再現したシステムの一つとして扱われている。
そのためこの世界とアイテムボックスというシステムを紐づけてできた魔法はアイテム個々の判断をこの世界の人の認識から行っていると私は判断したのであった。
何はともあれ成功してよかった。
「っし成功。んじゃあ炉を置く場所に案内して~」
「おお!こっちだついてきてくれ!!」
ゴーゲンの後をついていくと今いた工房の二倍以上広い石畳の空間についた。
丁度家全体の真ん中くらいの場所にあるその部屋は両側にドアがあり、おそらく日本でいう二世帯住宅的な造りをしているみたいだった。
部屋につくとゴーゲンは懐からチョークのような石を出し炉を置く場所をマークしていく。
その場所にアイテムボックスを展開し、先ほどとは逆再生で炉を設置した。
「これですぐにでも嬢ちゃんの武器作成ができるぞ!明日また来てくれ、注文は長めで軽い短剣だったな。」
短剣が手に入れば旅の準備が...終わらない。食料と防具が必要だ。
「うん、お願い。あとできればなんだけど防具とか売ってる場所教えてほしいな」
「お、一緒に作っといてやるよ。息子が革細工齧ってたことがあるんだ。出世払いでいいぞ。」
その後採寸をしてもらって(ゴーゲンがちょっと照れてたけど)トルペタ君のお家に帰った。
そういえばトルペタ君が何か決心した顔してたけど大丈夫かな、ちょっと話してみよ。
「ただいまもどりました~~!」
「おかえりミウちゃん。」
なにか料理をしていたコルペタさんが振り返って笑顔で返してくれた。
やっぱり家に帰ってきて誰かが迎えてくれるっていうのはいいもんだなぁ。
トルペタ君はどこに行ったんだろう?
「コルペタさん、トルペタ君がどこにいったかわかりますか?」
コルペタさんはちょっぴり暗い顔をして答えてくれた。
「トルペタなら倉庫で何か作ってたよ。...ミウちゃん、トルペタの話をきいてやってはくれないかい?ミウちゃんがどう答えてもあの子は受け入れるだろうから。」
「?はい。わかりました!」
トルペタ君、どうしたんだろう。
コルペタさんの態度と口調から察するにあまりよくないことのような気もした。
一度家を出て倉庫に入るとトルペタ君が何かを作っていた。
あれは、ボウガン?もしかしたら自分用かもしれない。
「トルペタく~ん、何作ってんの~?」
「あっ、ミウシアさんおはようございます...といってももう昼ですよね。これは父が歯車を利用して開発したボウガンというものです。他種族に比べて非力な俺でも簡単に打つことができるんですよ。」
私もあまりよく知らないけど確か弓と違って弦の部分を引っ張った状態で固定して引き金を引いて打つみたいな感じだったかな。
「トルペタ君はボウガンも作れるんだね、すごいなあ。」
「へへへ...あ、あの少しお話があるんですけど今大丈夫ですか?」
来た。もしかして告白?なわけないか...。
「うん、どうしたの?」
言葉遣いに慣れても自分に向けられた好意のまなざしが自分自身ではなくミウシアという外見に向けたものだと感じてしまうのはしょうがないのかな。
もし告白されても断ろう。男と付き合うのは気持ち的に無し、な筈なんだけどこの体になってからどうも武蔵とミウシアのストライクゾーンが混じってオールレンジになってる気がする。一線を越えちゃダメだ、一応男だったからね...。
「あの、俺、ずっとこの村から出て旅をしてみたいって思ってて、でもきっかけが無くて...。そんなときにミウシアさんに会って俺思ったんです。ミウシアさんと旅ができたら楽しいだろうなって。...あ!違いますよそんな俺ごとき下々の民がミウシアさんみたいに綺麗で魔法も使えて神から祝福された人に告白なんかしてないですから!!!えと、僕も旅に連れて行ってください!!!」
ん~~~~~なんか今さらっと聞き逃せないことを言ってたような気もしたんだけどトルペタ君早口すぎて途中よく聞こえなかった。
正直一人旅よりも二人旅、しかもこの世界のことを知っている人と行動できるならむしろこっちから頼むくらい大歓迎なんだけど。
「私は全然いいよ、むしろ旅に一緒についてきてくれるならすごく助かる。世界中を回ることが目的だから常に一人だと寂しいし。」
「っほ、ほんとですか!!!絶対に役に立って見せます!!...よかった、背中を押してくださって感謝しますウォルフ様...!」
トルペタ君後半ボソボソ言ってたけど私に向けた言葉ではないようなので聞き直さないことにした。
じゃあ誰に向けたんだよって思ったけど多分「おぉ主よ...!」みたいな感じでしょ。
「あ、だからコルペタさんがちょっと暗い表情してたんだね。もう話はしただろうけどそっちの事情は大丈夫なの?」
「はい、母とは話しましたがうっすら気付いてたみたいです。俺昔から冒険がしたいって言ってましたから。これからよろしくお願いします。ミウシアさん!!」
そういって手を差し伸べてきたトルペタ君に答えるように私も手を差し出し握手...私今手汗とかかいてないかな大丈夫かな。
服でごしごしと手の水分を取ってからこれから一緒に旅をする仲間と握手をした。
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SIDE:デストラ
ミウシア教官御守り計画の要である天啓。
私は各魔物の長にミウシア教官に害を与えるなと天啓を下そうとしていた。
そもそも天啓とは下界の生物の脳内に直接語りかける方法だ。
神力を混めるため他のものに偽装はできない。よって神からの天啓であることを疑うものはいないのだ。
しかし同じ生物に天啓を下すことは2度とできない。天啓を受けたものはその神力が身に混じるのだ。だが2度の天啓を受けると神力が上がりすぎて星のバランスが崩れてしまう...。
つまり、1度切りなのだ!1度で知能の低い魔物にミウシア教官を襲わぬよう伝えねばいけないのだ!
私が人々を束ねていたのは数千年くらい前の話、今や兄妹たちと日々遊ぶだけ。
緊張してしまう。
「時が来た。いざ、各種族の長、一斉に天啓を下す!」
『マ物ノオサ達ヨ。バーニア族のミウシアという少女をオソってはならん。オマエ達の忠誠をワレにササゲよ。さすればチカラをやロウ。』
「...魔物の言葉は難しいな。」
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◇竜の住む山
我は竜を統べし者。若い雌と戯れていた時、我の頭に神から啓示があった。
『魔...の長...よ。バーニア...ミウシア...襲...。お前......我...捧げ...。...力...ろう。』
我らが神よ、承知した。必ずやミウシアという下等兎を神の贄として捧げよう。
◇ゴブリンの住む山
オレはゴブリン族の王。オレに神の啓示があったのはニンゲンを犯し、食らっている最中。
『魔...の長...よ。バーニア...ミウシア...襲...。お前......我...捧げ...。...力...ろう。』
神、バーニアのミウシアを神の供物として捧げる。
◇コボルトの住む洞窟
俺は(以下略
◇獅子の住む草原
俺様は(以下略
◇熊の住む山(以下略
◇亀の住む池(以下略
◇ミミズ(以下略
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デストラやほかの神がこのことに気が付くのはしばらく後のことだった。




