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「エピローグ」

「あ~~仕事つかれた。花の金曜日だっていうのになーんでこんな時間に仕事してるんだろう...。」

時計を見ると時刻は午後10時、けだるい顔をしながら私は自分の机の上の仕様書を眺める。

仕様書には「サスティニア計画」と書かれている。


「社・長。それ見終わったら次はこれとこれと.....あとこれね。」

気怠そうな顔をした茶髪ショートヘアーの女の子が部屋に入ってきた。

当然、頭の上に耳は生えていない。

ここは地球だからね。


「ウォルフ。確認はしたけど...。これ本当にできるの?」

私が確認した、サスティニア計画の概要はこうだ。

この地球とサスティニアを管理するシステムをマナを使用した無線通信で繋いで、マナで作り出したホムンクルスを遠隔操作する。

遠隔操作には俗にいうVRヘッドセットを使用して、最初は私達が、ゆくゆくは一般人に向けて展開していく。


.....つまりはMMORPG。


「あったりまえじゃない。私を誰だと思ってるのよ。地球の技術なんて私の手にかかればちょちょいのちょいよ?」

「そうですか...。じゃあ残りも見ておくよ....。」

私はサスティニアを離れた後、疑似神界で眷属達に全ての事情を話した。

ところが眷属達は私と一緒についてくる気満々、なんならついてくる方法まで全て用意されていた。

その後の展開は早かった。


まるで準備していたかのように宇宙神とティアが私と眷属達を普通の人間のような見た目に変え(髪色はそのままだったけど)、地球で違和感を持たれないように因果律を捻じ曲げ、約束通り私を当時の10年前の地球に送り飛ばした。

程なくして眷属達も自前の機械で地球に飛んできた。


飛ばされた先は都内のシェアハウス。

私はどういうわけか、世間から『海外から単身で日本にやってきた美人外国人』という認識をされているようだった。

勿論、眷属達とは同じシェアハウスで暮らしている。....ことになっている。


そして地球に戻ってきてから1年は、皆思い思いの生活を楽しんでいた。

私はなぜか今も適用されている翻訳機能を駆使して、翻訳家の仕事をしている。

眷属達は日本語を私の記憶から少し学んでいたけど(記憶覗かないで欲しいよね)、完全ではなかったためしばらくは勉強の日々だった。

ヒュムはさらなる知識を深めるために大学に入学した。

美形と黒髪長髪ロングが相まって、大学では相当女性にモテているらしい。

本人は勉学優先だとか言ってたけど、大学の研究室の女性と仲良さそうにしているのを知っている。


ジアはその体格を生かして引っ越し関係の職場で働いている。

彼がいると作業効率が10倍以上になるらしく、職場では神として崇められているようだ。

実際に神なのが笑いどころだよね。


シーアは動画配信サイトで自作ボードゲームを紹介して、クラウドファインディングで集めたお金で商品化をしている。

ボードゲームの面白さはもちろんの事、その容姿のお陰で再生回数がものすごいことになっている。


ルニアは....基本的に家にいる。

というのも、彼女のドジっ子っぷりが本領発揮しすぎて、どの仕事も長く続かないからだ。

その代わり、シェアハウスの掃除と料理はルニアの担当になっている。

全てを任すのは申し訳なかったけど、本人がどうしてもやらせてほしいというもんだから、断れなかった。


そしてデストラは「フハハハ!!みたか我が力を!!」...隣の部屋からデストラの声が聞こえてくる。

もっぱら部屋でネットゲームに熱中している。

元々軍の指揮官だった彼は人を率いる才能があるようで、ゲーム内では大規模のギルドのマスターのようだ。

その業界ではとても有名だとか。


そしてウォルフは....この一年間ずっと何かを黙々と作っていた。

それがこの「サスティニア計画」。

彼女は私のことを社長と呼ぶようになった。

というのも、この計画を実現してゲーム会社を立ち上げ、私を社長にしようとしているようだ。


「それでね、会社の名前はローア。私の前世で兎っていう意味なんだけど、ミウシアが社長ならちょうどいいでしょ?」

そしてその会社の名前を聞いたとき、私の長年の疑問を解消した。


「.....成程ね。」

どうやら私が、武蔵がはまっていたゲーム、「Race Of Ancient Online」の舞台のサスティニアは本当にサスティニアだったらしい。

だったら、この計画に乗らないと未来の私は私にならないみたい。


「わかった。この計画、成功させよう。」

「本当に!?私も、サスティニアが心配だったのよねー。管理システムには自信があったから私達がいなくても問題はないんだけど、やっぱり実際に見てみたいじゃない?....そうだ、ミウシア。今のサスティニアがどうなってるか知りたい?」

ウォルフがそう言って、ノートパソコンを取り出して私の目の前の書類の上に置いた。


「嘘、わかるの!?」

「わかるわよ~。管理システムとつながってるから....えっと、今はあれから数百年が立っているみたいね。....例えばミウシアと冒険していた子たちのその後だけど....。」

ウォルフがタタタタタタとキーボードを叩くと、画面に長い文章が現れる。

私は皆のその後を管理システムを通して知った。


皆は幸せに暮らして、そしてその天寿を全うしたようだ。

一部、寿命が長い種族はまだ元気に生きていることも知れた。


....そしてこのシステムを元に「Race Of Ancient Online」(レイスオブエンシェントオンライン)の製作をはじめ、(株)ローアを立ち上げることになった。


...しばらくはのんびりとした生活は遅れなさそうだなぁ。

いつになったら平凡な日常が訪れるんだろう。


休日にペットでも連れて、のんびりと公園を散歩するようなそんな日常が。

...そんな日が訪れる事を願って、今は眷属達と一緒に頑張って暮らしていこう。


この慌ただしい日常を。

これにて、「うさみみ異世界創世記~ゲーム世界を再現した世界をTS兎娘が行く~」は完結になります。

ここまで見てくださって、本当にありがとうございました。

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