「16話 森での生活 」
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まさかこの小説を評価してくださる方がいるとは思いませんでした!
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拠点を作ってから早数カ月、冬のような寒い季節を迎えていた。
拠点を作ってからは食料を取るために周囲の散策を行い、キノコや山菜を発見したが、魔物には出会っていなかった。
ここ一帯は魔物が生息しない安全な地域のようだ。一応フォレストワームは魔物に分類されるが幼体のため害はない。
食べても問題がないキノコの判別についてはゲーム時代の錬金術師の魔法、<解析>アナライズを使用。
アナライズの魔法はゲーム内で最も使用した魔法だった。
対象の情報がウィンドウに表示されるというもので魔物に使えば相手との戦力差がわかるし、素材に使えば何に使えるかがわかるため、ずいぶんとお世話になった。
魔法を使用した時のサポートはどうやら常時発動となっているらしく、サポートが切れていても新しい魔法の作成は問題なく行えた。
サポートによる自動魔法陣生成によってイメージすれば魔法を使用できるため、新しい魔法を生み出すことができるがその時付けた魔法名を思い出せなかったりすることもあったので魔法の名前が出ていてほしかった。
それともう一つ魔法について判明したことがあった。ゲーム時代での魔法は職業専用の魔法であり、違う職業の魔法は使えなかったがこの世界では職業に関係なく魔法が使えた。
食事については相変わらずフォレストワームを主食としていた。苦手だろうと繰り返せば慣れるもんで今ではおいしく食べられるようになった。
メープルシロップの作成に成功したこともでかい。方法は簡単で、メープルウォーターを煮詰めたらできた。
キノコをメープルシロップで食べたりフォレストワームにかけて食べたりすることしか今はできないけど、後々はお菓子作りをしたいなぁと思っている。
一番困ったのは体の変化だった。
私は女性の体を甘く見ていた。まさか毎月あんな地獄を世の女性は耐え抜いているなんて・・・。
初めてのその日は葉っぱ集めて作った寝床で横になりながらどこへ向ければいいかわからない空しいイライラを感じて眠るしかなかった。
それに女性らしく女性らしく、と意識しすぎてしぐさを改善したんだけど、意識しすぎて男に媚をうってそうなあざといしぐさが定着しちゃった。男が想像する女性らしさを表現したらしょうがないよね....。
後は身体能力の向上について、これにはびっくりした。
力は自分の腕の太さほどの木の枝を手で握りつぶせるし、脚力は多分自転車を本気でこいだ時の速さくらいだと思う。あと疲れる気配は無い。
力D速さD+なのにこれとか、この世界の標準が知りたいところだなあ。
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名前:ミウシア
種族:バーニア族(半神)
職業:無し
HP:100/100
MP:1000/1000
力:D
防御:E
魔力:D+
早さ:D+
運:A+
称号:善意の福兎(6柱の神の祝福により効果UP)
・自分以外のHPを回復する時の回復量+100%
・誰かのために行動する時全能力+50%アップ
・アイテムボックス容量+100%
・製作、採取速度+200%
※このスキルはスキル「鑑定」の対象外となる。
※このスキルを持っていると全NPCに好意的な印象を与える。
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今日はいつもよりも寒く、朝早くに目覚めた私は、石で作った暖炉だけの小屋でちょっぴり煮詰めた温かいメープルウォーターを飲みながらカリカリに焼いたフォレストワーム片手にシーア、デストラ、ヒュムとビデオ通話をしている。
真剣な表情で2つのダイスを転がすデストラ、それを眺めるヒュムとシーアと私。
『え~っとダイスは99!致命的失敗!トラちゃんはスライムに向かって切りかかるけど足を滑らせて顔からスライムに突っ込みました!2ラウンド以内に脱出しないとおぼれて死んじゃうよ!』
『この私がスライムごときにこの醜態・・・!ミウシア教官、ヒュム殿、私を置いて先に行ってください!!!!』
「ははは、馬鹿だなぁ、私がかわいいデストラを置いていくわけないでしょー、シーア、1ラウンドかけていいからデストラをスライムから引きはがすね、えいっ!」
木で作ったお手製の10面ダイスを2つ転がす。
出た値は23、私の力は50だから成功だ。
『感謝いたしますミウシア教官!今後このようなことが無いよう精一杯努めますので見ていてください!!』
『デストラ、お前は固すぎるぞ、ゲームなんだからもっと楽し・・・・んでるんだよな、それで・・・。』
デストラを呆れながらも楽しそうに笑うヒュムを見ながら私は眷属達が仲良くしているこの時間を最高に喜んでいた。
今私たちが遊んでいるのはシーアが作ったTPRG「ミウシアクエストファンタジー19」。テーブルトークRPGと言って卓上で会話だけで行うゲームだ。
家ができてから食材---フォレストワームとかキノコとか山菜とかを集めるだけの淡々とした時間が退屈すぎて、いろんな眷属と通話をして暇をつぶししていた時、シーアにTRPGについて尋ねられたので詳しく説明を行った。
どうやら眷属を作った時に流れ込んだ私の過去の記憶からTRPGの存在を知ったらしい。
軽く説明しただけなのに張り切って作りこんでしまい、ルールが書いてある説明書は300ページを超えていた。
今日は通算で30回目のセッションだった。話疲れるまで楽しんでゲームに一区切りがついたときにヒュムから質問があった。
『ところでミウシア殿はサスティニアをどのくらい旅したんだ?』
「えっ、えーーーーーーーーーっと・・・今旅立つために食料を集めてるとこ・・・だよ?」
学生のころ親に宿題はやったのかと聞かれたときの感情を思い出した。
全然進んでいないと素直に言えばヒュムのことだからきっと無理をして手伝おうとするだろう。
皆を作った親として、皆に頼りすぎるのも忍びない。ウォルフには頼りまくっているけど。
「あっ、そろそろ今日のノルマの食糧集めする時間だ!みんなまたね!!!」
早口で皆に別れを伝えて通話を切る。
(やばい、早くここから旅立たないと・・・・。)
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後ろめたい現状を指摘されたミウシアが急いで通話を切った後。ヒュムはミウシアが何かをごまかしていることに気が付いていた。
(あ~、ミウシア殿の旅はあまり進んでいないようだな・・・。私が何とかしなければ。)
しかしほかの二人は全く気が付いていなかった。
(ミウちゃんどしたんだろ?忙しいのかな?・・・・次までにもっともっとたのしい遊び考えないと・・・・。)
(ミウシア教官は忙しい中でもこうして私たちとの時間も作ってくださるとは!・・・私にできることで何か協力できないだろうか・・・・。)
気づいてはいなくとも、徐々におかしな方向に走り始めていく眷属達であった。