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「15話 拠点造り 」

サスティニアに来てから2日目、心地よい鳥のさえずりで目が覚めた。

「ん、ん~~~・・・!?うわあああ!」


大きく背伸びをするが枝に手が当たり、即席で作った枝の組みの家が崩れ、メープルの枝と葉に押しつぶされ目が一気に冴える。

私は上にのしかかった枝葉をどかしながらはいずり出る。


「気持ちよく寝てたのに全く・・・。今日こそはちゃんとした家を作るぞ!・・・・よ!」


まだ言葉遣いが安定しないなあ。


そう簡単に精神的に切替ることはできないと思っていたためより強く意識して頬をかるくぺちぺちと叩き気合を入れなおす。


アイテムボックスからメープルウォーターを取り出して手を洗っている時にあることに気が付き腰についたクラフトツールからフラスコを取り出した。

フラスコにメープルウォーターを入れ、フラスコから作業ツールにあるフラスコとガラス管を取り出しもう一つのフラスコをガラス管で繋げる。

そこにメープルウォーターの入ったフラスコを火であぶりながら手にマナを集め呪文を唱える。


「<時間加速>ヘイスト!」


その瞬間一瞬でメープルウォーターが蒸発し、メープルの甘味粉末と蒸留水に分かれる。

称号による作業速度UPとヘイストによる対象の時間を早くする効果を使い、一瞬にして作業が終わる。


「よっし成功!」


そのあとも作業を続け大量のメープル糖と綺麗な水ができた。その水を使い顔を洗ったり少し照れながらも服を脱いで体を手でこすりながら洗い、ドライの魔法で乾かしていく。

誰も人なんていないし外で裸になること自体は恥ずかしくないけど、やっぱり女性の裸を見るのは恥ずかしい・・・。


なにはともあれさっぱりしたところで家づくりを始める。


作業速度はヘイストを使用すれば効率を上げることができると思って試しに自分の体にかけてみたところ、ものすごく早く動けた後、信じられないくらいの筋肉痛が続いたため自身にかけることはあまり考えないほうがいいと思った。

もはや見様見真似で木を組み立てていくしかない。


乾燥させる必要があったかな?これは薪を作るときのやり方なのかはわからないが記憶を頼りにやっていくしかない。


私はアイテムボックスから約100本近くの原木全てを取り出した。


そのすべての木を覆うようにマナを制御し、ドライの呪文を唱える。

「<乾燥>ドライ!」


その瞬間私の体からスッっと力が抜けていく感覚が起き、いきなり起き上がった時のようなふらつきが一瞬起きる。

MPをステータスで確認するとMPが900/1000まで減っていた。1割の消費で一瞬の立ち眩みが起きるため、これ以上一気に消費したときは気絶する可能性もあるので警戒しておく必要があるようだ。


頭をふるふると振りアイテムボックスから蒸留水をちょろちょろと出して手を受け皿として水を飲み一息つく。


十分に乾燥した木材をカットしようとした時にさらなる壁に当たった。


「これやみくもに切ったら取り返しつかなくなるよね」


またもや壁にぶつかった。設計図みたいなものがあればなんとかなるのに。

簡易的でいいからとりあえず住める場所を作りたい。


悩んだ末眷属達に助けを求めることにした。

しかし仮に作り方を教えてもらうとしてもチャットだけでは難しい。


(サポートさん、眷属に画像とか映像を通信できるようにサポートしてもらえないかな。)

『チャットシステムを更新します。システム命令魔法の<画像送受信>ピクトチャット、<映像通信>ライブチャットができるように更新しました。使用の際は対象を思い浮かべながら呪文を唱えてください。サポートを行える回数が終了しましたので初回サポートを終了いたします。お疲れ様でした。』


「え!!ちょっとまっ!」


プツッという音共に脳内からサポート音声が消えた。


ティアはサポートについて回数制限があるなんて一言もいってなかったのに、説明が少なすぎる・・・。

予想外のことが起きた。なんとサポートの回数が決まっていた。初回特典的な使用だったのかも。


まぁこうなっては仕方がないしとりあえず今は連絡を取ってみよう。


せっかくだしビデオ通信してみようかな。

一番詳しそうなウォルフのことを思い浮かべながら呪文を唱えた。


「<映像通信>ライブチャット!!」

目の前に透明のウィンドウが現れ、真ん中に「~通信中~」と文字が浮かび上がる。

数秒立った後、ウィンドウに焦っているウォルフの顔が映し出された。


「ウォルフ~見えてる~?」

手をぱたぱたと振りながら笑顔で話しかける。

平気、私はミウシア。武蔵じゃないしオッサンでもない。だからちょっとあざとかったりかわい子ぶったとしてもおかしくないはずだ。頭の片隅でいまだちらちらと武蔵だったころの顔が浮かんでしまう。


『ミミミウシア!どうしたの!?ていうか映像!!ミウシアが見える!!!』


「え、えっと。今この木・・・見えるかな?この木を使って、釘を使わないで木材の家を作ろうとしてるんだけどどうやったらいいかわからなくて・・・。」


ウィンドウをちょっと上にやって私と後ろにあるメープルの原木を見せながらウォルフに尋ねた。


『さすがのあたしも家を作ったことはないわね・・・。ちょっと皆にもきいてみる!待っててちょうだい!』


ウォルフとの通信を切り今日の朝食(芋虫)を焼いているとさっそく「ウォルフからライブチャットの申請がありました」とメッセージが目の前に出てきた。もしかしてもうできたのだろうか、とんでもなく早い。さすが技術の神。

申請に答えるも反応が無い、通話に出るときも呪文を唱える必要があるらしい。


「<映像通信>ライブチャット~」

『ミウシア?バカジアにアドバイス貰いながら作ったから時間がかかっちゃったけど設計図ができたわ。・・・ってげぇ!?ちょっと、それ、そ、そ、それは』

ウォルフがわなわなと震えながら私に指をさしてくる。

(あ、あぁもしかしてフォレストワームのこと?)


「うん?これ?今日の朝食だよ、私も最初はそんな感じだったけど案外いけるよ、気持ち悪いけどね。」


それを見てしかめっ面になった後憐れむような顔で私をみるウォルフ。

・・・私だって食べたくないよ。

フォレストワームが刺さった枝をウォルフに近づけながら見せる。


『そ、そうなんだ、大変だね・・・。あっ、こっち寄せないで中身見えちゃう!!ごめんね、直接食べ物を送れればいいんだけど・・・。とりあえず設計図送っておくわね。・・・・どうやって?』


「ん~、ちょっとそれ見ながら<画像送受信>ピクトチャットっていってみて!」


『なんか恥ずかしいわね。<画像送受信>ピクトチャット!』


映像の隅っこのほう『画像を受信しました』と出ていたので触れてみると別のウィンドウが出てきて設計図が映し出された。


「あ、大丈夫そう!ありがとね!」


『ま、また用事が無くても全然このライブチャット?してきていいから!あ、あとほかの眷属達にもしてあげたほうがいいわよ、きっと喜ぶでしょうし。』


ウォルフとのライブチャットを切り、送られてきた画像を確認する。

そこには子供用の付録を作るときの説明書のようなデザインで家の作り方が書いてあった。

ちゃんと最初に用意するパーツとその長さ、個数が書いてある画像と、それの組み立てに関する画像に分かれていて、初心者の私でもなんとか組み立てられそうだった。


その後、足りない分のメープルの木を切ったり、原木からパーツを切り出したりして切り株のない空間に地面から少し空間を開けた山小屋のような簡単な造りの家を完成させた。




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