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「145話 トルペタの戦い 前編 」

お久しぶりです、少しずつですが書き進めています!

200話行かないくらいで追われると思いますので最後までお付き合いお願いします;;

SIDE:トルペタ

鷹の魔族、ピュクドリアに掴まれたまま飛び立たれてから数分、どんどん滝が遠ざかっていくのに焦りを感じた。

流石にこれ以上遠ざかるのはまずい、後で合流しづらくなる。


「おい!いい加減に降ろせって!!」

「うるせえ!!アイツらの戦いに巻き込まれたくないんだよ!!...この辺でいいか。オラよ!!!」

「はっ....。ちょ、ちょっと!!」

降ろせとは言ったけど、上空数十メートルで降ろせとは言ってないんだけども!?


「おーい!なんで飛ばねぇんだ!?」

馬鹿すぎる!俺は人間で鳥じゃない!このままだと勝負の前に戦いが終わるって!

刻一刻と迫る地面に焦りを感じながらも、オクトエレメントボウに風属性のマナを流し込んで形状を変化させていく。

ボウガンへと変化したオクトエレメントボウに特製の矢を装填する。

風属性のマナを矢じりに向けて過剰なまでに流し込む。


「いきなり使うことになるなんて...。エクスプロードショット・ウィンド!!」

真下に向けて1本矢を打ち込み地面に着弾した瞬間、矢を中心に爆発するような突風が吹き荒れる。


爆風によって落下速度が低下する。

ここまで速度が落とせれば...。

バッグから青い矢じりの矢を取り出す。


青い矢じりは師匠から貰った流魔鋼を使って作った。

これには師匠秘伝の技、材質変化の魔法陣が刻まれている。

始動キーは『アルケミー』


「『<錬金>アルケミー』ショット!」

自分の真下の地面に向けて矢を射った。

矢が地面に突き刺さった瞬間、地面に魔法陣が描かれて魔法が発動する。


「だっ、大丈夫だよなああああ!師匠頼むうううう!」

実はこの魔法を試したことは一度もない。

ここにきて失敗とかミウシアさんたちにどんな顔したらいいかわからないよ。


もう地面がそこまで近付いてきたのをみて、俺はぎゅっと目を瞑る。



次の瞬間、ポヨンッと体が柔らかいものに包まれ、衝撃が吸収されるのを感じた。


「.....よかった、成功だ。」

ぷにぷにっとした地面を感じながらゴロンと大の字に寝っ転がって空を見上げる。


空が青いなぁ。

あ、鳥が飛んでる....。


「そうだ、今は戦闘中だ!...えーっと、<解除>リリース!」

魔法を解除する始動キーを唱えるとたちまち地面が硬くなり、先ほどまでの寝心地から一転した。



「っしょっと...。うーん、降りてくる気配がないなぁ。」

起き上がって鳥..ピュクドリアの動きを再度観察すると、はるか上空でのんびり飛んでいる鷹が見えた。


頭悪そうだったし、.....もしかして俺のこと忘れてる?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「今日はいい天気じゃねぇか~~~。こうやってゆったり飛ぶのもオツってもんよ~~~~。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ならこっちから先制攻撃をするだけだ。

でもこの距離じゃあ普通に矢を撃っても威力が弱まるのは間違いない。


「...しかけといたのが上手くいきそうだな。」

俺はバッグから黒い鉱石を取り出しながらオクトエレメントボウに闇属性のマナを流し込んで形状を変化させた。

弓が手甲と小さい弓へと姿を変えた。

ミウシアさんのデザインした闇属性の小弓、コレ本当にかっこいいなぁ。

手の甲に固定されてて使いやすいし、とっさの防御もできる。.....髑髏の装飾とか凄い合いそう。



取り出した鉱石にマナを流し込み、数十本の黒い小さな矢を創り出し闇属性のマナを込める。

その後数本づつまとめて、弦に構える。


「よし、準備は整った。」

ゴーグルを装着してピュクドリアに照準を合わせる。

奴の片足が黒く変色しているのを確認できた。


「<磁場生成>マグネットフィールド」

カタカタと矢が真上に引っ張られるのを感じ、うまく発動してくれたことを理解する。


「...っ!...そこだ!!リバース・アローレイン!!」

1..2..3..4..5回で計30本以上の矢を真上に撃つ。

撃った矢は上空に向かって一斉に飛んでいった。

真上に撃ったはずなのにぐんぐんと加速してピュクドリアへと向かって行く。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あ~~暇だぜぇ。戦いてぇなぁ~。....なんか忘れてギャアアアアアア!!いでででででででででなんだこれクソがぁああ!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ふらふらと飛んでいたピュクドリアは突然の地上から降る矢の雨から避けることができなかったようで、数本は命中した。

しかし、当たったのは数本。その後はその大きな翼で一気に加速し、向かってくる矢を躱していった。


でもこの攻撃は何もダメージを与える事だけが目的じゃない。


逃げ回るピュクドリアはさすが魔族の隊長クラスといったスピードで難なく矢を避け出した。

しかし避けたはずの矢が再度向かってくるのを確認すると、持ち前のスピードで次々と振り切って行く。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あのクソガキ、卑怯な奴だぜ....だがこんなスピードでオレに攻撃が当たると思ってんなら甘ぇ奴だぜ。オラオラ!並走しちまうぜ!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


矢が数本刺さったまま、追尾してくる矢を追い越して今度は逆に並走をしだした。

見事に術中にはまってくれて笑みがこぼれる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あぁ?なんだこれ、クソ、くっついてくんな!!!飛びにくいだろうがァ!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


並走して同じスピードになった矢は、徐々にピュクドリアに近付き、体にピタッとくっついた。

足や体、そして羽へと付着した矢が飛行の妨げになり、徐々にその高度を下げていく。


「後は高火力の弓で....。」

オクトエレメントボウに火属性のマナを流し、大きな弓へと形を変える。

この弓は幼い頃に死んだ父親が作った大きな弓をモデルで、少し思い入れのある形にしている。


ピュクドリアがゴーグル無しでも目視できるほど低い空を飛んでいるのを確認し、俺は火属性と相性のいい獄炎鉄で作った矢を構えた。

ギチギチと弓そのものがしなり、弦が悲鳴を上げていく。

火属性のマナを弓と矢に纏わせて、広範囲で焼き尽くす。


「プロミネンス・アロー!」

手から離れた瞬間、矢は炎を纏いながら回転してまっすぐと空を切り裂いた。


そしてふらふら飛んでいるピュクドリアに近付くにつれて炎の範囲は広がっていく。

その翼を焼き切るために。


「.....あれ...?あいつは...いっっ!!??」

仕留めたと思った矢先、ピュクドリアの姿を見失った。

そして同時に足に激痛が走る。


「ぐっ..イィィ....あぁ...うそッッ、だろ....!」

右足に目をやると、太ももが側面から大きくえぐり取られていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:ミウシア

「ミウちゃん!壁の中ですッ!」

「ひぃぃぃ!かぼちゃのお化けェ!ホーリーソード!」

いつになったらお城につくんだよォ!!

って叫びたくなるくらい、ニカと階段を駆け上がること数十分。

小さい虫の魔物やら、かいだんの隙間を埋めるくらいぎっちぎちのスライムやら、壁をすり抜けるかぼちゃのお化けみたいな魔物やらに襲われながらも何とか進めている...んだけど。


「ニカぁ、今どれくらい登ったっけ~。」

「どうでしょう...外から見た感じ、まだあの高い崖を登りきるほどは上がってないと思いますが.....。だってほら、思ったより階段の一段一段が緩やかじゃありませんか?」

そう言って階段の段差を指差すニカ。

確かに、オウカの神社前の階段の半分くらいしかない。

道理で登りやすいわけだよ。


足を進めながら階段を見ていると、とあることに気が付いた。


「.....ねぇねぇ、ニカ。この階段、真ん中の部分だけ少し削れてない?しかもずっと。」

何故か全ての階段の中心部に何か硬いものが当たったような傷がついている。

この床の材質ってただの石じゃないっぽいから、ある程度硬いと思うんだけどなぁ。


「?たしかに、言われてみればそうですね...。しかもほぼど真ん中...。壁にも似たような傷が有りますね。これも階段の傾斜に沿って同じ位置です。」

んん~?壁と階段の真ん中に傷?


「....ミウちゃん私、嫌なこと想像しちゃったんですけど、聞きたいですか?」

それを聞いてはっとする。

どういうものがここを通ったら、そんな傷がつくのか。

まさか....。


「待って、私も思いついちゃったんだけど、それって.....。」


ゴン!!!!!!!!!!!!

ガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!

「ひぅ」「きゃっ」

階段の上の方から大きな音が鳴り響く。

突然の物音に固まる私とニカ。


「もしかしてこれって本当にそういうこと?」

「多分これはおそらくそういうこと....。」

目配せをして先を見つめる。


ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン

と耳を塞ぎたくなるような大きな音を立てて大きな黒い球が階段を転がり落ちてきた。



「うゎあああああああ!!!」「だと思いましたよぉぉぉぉぉおおお!!!」

くるっとUターンして階段を下りる私達。


「せっかくっ!上った!のに!折角!上った!の、にいいいい!!!」

「ミウちゃんっ、私っ、止めますっ....はあああ!」

ニカがその場で足を止め、玉に向きなおる。

瞬時にホーリー・スピリットを発動させ....じゃない、電気?雷属性に変異させたスピリット化だ!

ニカの髪は金髪のまま、パチパチと静電気のような音を立てて膨張している。

スーパー何とか人程逆毛だってないけど、すこしもふっと膨張してるのがかわい....そんなこと言ってる場合じゃないよね。


「ミウちゃん、私が止めたら何とかしてください!」

「えっ」

不安定な足場でも維持できるように、雷属性で貫通力を上げた剣を地面に突き立て、足を添わせる。

盾を前に構えたニカは転がって加速した衝撃を抑えるために前方の空間に障壁を重ねて展開した。


「あの質量、硬い地面を傷付ける硬度、この枚数で防げると良いのですが...来ますっ!!」

「何とかしてってなにさーーーー!!!」

ガン!パリィン!と障壁と玉が当たる音が響き渡る。

どうやら障壁は全て突破されず、耐えられたみたい。


「....何とか障壁が持ちましたが、長くは持ちません...ミウちゃん!お願いします!」

「え~っとあ~~~~っとうーーーーーんと....あ!ニカ、剣と盾と一緒に寝っ転がって!」

この通路と横幅に余裕はない、けど上にはまだ空間に余裕がある。

それなら何とかなるはず。


「えっ、あ、はい。...こ、これでいいですか?」

「おっけー!じゃあ私も....よし、<岩作成>クリエイトストーン!」

私とニカを覆うようにアーチ状に石を創り出す。

これで玉の進路が確保できたはず!


「ニカ、障壁消して!」

「なるほど、わかりました!」

パァン!と障壁を解除すると、止まっていった玉はゆっくりと動き出し....私達を覆うアーチ状の石に引っかかって止まった。


「あれぇ?速度が足りなかったのかな....<岩作成>クリエイトストーン!」

今度は玉の後方部から石を突き出して、玉を押し上げた。

すると玉が私達の上を通って、下の方へとまた転がりだしていった。


「何とかなりましたね....。一時はどうなるかと思いました。」

「ニカが止めてくれたおかげだよ。さて.....あ。」

石を作った後のこと考えてなかった.....。

圧迫されないように石を体の形に合わせて作ったから身動きが取れない...。


「ミウちゃん...?この石、もう解除してほしいんですけど....。」

「ごめんニカ。魔法の効果が切れるまで待って....。」

頭だけニカの方を向いて謝罪する。

ニカってまつげながいなぁ。

綺麗な顔立ちしてるなぁ。


「意図的に消せないんですか!?効果って...どれくらいなんです?」

「うーん、数十分くらい?」

「えぇ...。」

それから数十分間私達は階段に寝そべり、石に覆われながらただただ待つしかなかった。


皆はいつ頃合流するかなぁ....。

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