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「13話 食料集め 前編」

眷属達の祝福によって称号の効果が数十倍にはね上がっていた俺は称号の効果の一部のアイテムボックス容量+100%と製作採取速度+200%をフル活用するために拠点の作成に取り掛かっていた。


俺の目的はこのサスティニアの各地を巡ることだが今のままでは移動している間に食料が尽きてしまうだろう。

幸いアイテムボックスに入れたものは時間経過がおきないためここに拠点を造り食料をためることにした。


RoAで苦労して作ったのこぎり、木材職人の最強武器である「古の鋸斧」を使って拠点を作るために周囲の木を伐採していく。

こののこぎりは少々変わっていて、持ち手が念じると斧形態と(のこぎり)形態に切り替えることができる。

設定ではウォルフによって作られた神のクラフトツールであり人間に作成することは不可能で不滅属性により劣化しないみたいな感じだったと思う。


「うっわ、小枝でも切ってるのかと思うくらいぽきぽき木が切れていく・・・。武器が凄いのか体が凄いのか・・・・。」

ゲーム内では実際に力を加えることが無かったうえに、感触だってせいぜいコントローラーのバイブレーションだけだったため斧を素人丸出しフォームで振り下ろしていくだけで太い木が切れていくのがとても心地よく感じる。


「それにしても胸が全く邪魔にならないな。この感じ、胸のサイズはA・・・・いやAA・・?女体化した時の定番を一切感じない・・・。」

ぺたぺたと自分の胸を触るが男だったころの劣情を抱くことは無かった。

自分のだからなのか必要以上に小さいからなのか、女性になったから女性に劣情を抱かないのか・・・。

もやもやとしながらも男性の時よりもパワーがあふれる体で次々と木を伐り終えていく。


「そういやどうやってアイテムボックスに収納するんだ・・・?」

と思った矢先目の前の木を覆えるくらいの黒い靄のようなブラックホールのようなものが出てきた。


「うぉっ・・・これがアイテムボックスか。これに入れればいいのか?」

俺がそのまま木を中に入れようとしたときブラックホールが木を飲み込んだ。


「おおー、これでアイテムボックスに入ったことになるのか。めっちゃ便利じゃん!」


半径20mくらいの範囲全ての木を切り倒した時点で気付いてしまった。


お腹からぐぅと空腹の音がする。

「・・・はらへったああ。」

今のところ魔物と遭遇していないため安全に作業ができている。

が、魔物がいないということは食料が無いということだ。

RoAでは魔物を主食としていた。魔物の肉と果物や植物、それらを材料として料理をするのがRoAの基本だった。

つまり俺は今圧倒的な食糧不足だった。


(仮に魔物を探したとしても今の俺じゃあせいぜい最弱のフォレストワーム程度しか倒せないし、倒せたとしても虫は・・・。)

日本人だった(・・・)俺は虫を食すのに抵抗がある。近年では虫は高カロリー高蛋白質ということで注目を浴びつつあるようだが芋虫とかイナゴとか幼虫とかの噛むと中身が飛び出る系は絶対に食べられないし想像しただけで


ブルルッ

「うぅわぁ・・・。」


寒気がしてくる。


もう考えるのはやめよう、そうなると果物を見つけなくては・・・。

俺が先ほど切った範囲に果物がなっている木はなかった。そのため果物を探すには少し離れなければならない。

しかし果物があるということは魔物や動物もいるかもしれないということだ。リスクを考えると不用意に散策しないほうがいいとも思える。


どうしたもんかなぁ

途方に暮れながら切り株に腰を掛けて何となくアイテムボックスを開いた俺は驚愕した。

「うっわ!なんだこれ・・・・。メープルの原木が98個、葉が4954、枝が1456、メープルウォーター25・・?リッターか?うわ、フォレストワームも入ってる・・。これって木の中にいる虫もアイテムボックスに入ったのか!?」


それにメープルの木ってことはメイプルウォーターはシロップの元になる液体なのかもしれない。

俺はメープルシロップの作り方を知らないので色々試してみるしかないだろう。

メープルウォーターをアイテムボックスから試しに出してみると俺の前に再度黒い空間が現れそこから大量の水が俺に向かって吹きかかってくる。


「わっぷ!」

大量のメープルウォーターによってびしょぬれになり立ち尽くす俺。


「なるほどこうなるのね・・・。」

乾燥魔法「ドライ」を自分にかけてメープルウォーターでぬれた服を乾かそうとするもうまくいかない。


どうやらゲームと同じようにしても魔法が発動しないらしい。

自分の中のマナを探る。そもそもマナとは何なのか?自然エネルギーとゲーム設定には書いてあったがそれを感じようとしても日本ではそんなものは無かった。

今までに感じたことのないものを感じるのは容易ではない。しかし俺には加護によるサポートがついているためマナを視覚化することもできるはずだ。


必死に森の中にいるときのあの清涼感を探る。

空気の流れ、風の中にあるマナ。その力を肌で探る。


『マナの視覚化を制御します。』

サポートメッセージと共に視界にマナの流れが浮かぶ。


その瞬間、濡れた体に当たる風の中に青白く光る粒子を見つける。


「すげー綺麗・・・。」

視界にその青白い粒子であるマナが風に乗って漂う光景が浮かぶ。

それはとてつもない幻想的な光景だった。


手の平にマナが集まるイメージをするとマナの粒子が手のひらに集まるが、集まるだけで何も起きない。


ゲームでは手のひらに魔法陣が浮かんで魔法が発動していたが、これを魔法陣として構築しなきゃダメなのか?物体を乾燥させるイメージの魔法陣なんてわかるか!!!


『イメージを魔法陣化します。以降魔法を使用する際のイメージを魔法陣に自動変換されます。・・・・成功、乾燥<ドライ>展開。』

サポートさんは相変わらず万能だった。


「<乾燥>ドライ!」

手のひらに浮かび上がった魔法陣が発動しみるみる内に服と髪の毛が乾いていく。


これで今後もイメージの魔法陣変換が可能のお陰で魔法の発動には苦労しないだろう。念のためMPをステータス画面で確認するが1ポイントしか減っていなかった。


「よっし!」

思った以上にMPを消費しなかったことがうれしくて思わずガッツポーズをとる。


魔法に夢中になってしまったが今の問題は食料だ。

乾いた髪をサラサラと手櫛しながら考える。


(食べなきゃダメか・・・。)

このままいくと虫を食べることになる。この世界ではおそらく虫も普通に主食となっているだろう。

それならば早めに慣れておいたほうがいいのだが・・・。

俺は試しにアイテムボックスからフォレストワームの幼虫を一匹取り出す。


目の前の地面にポトリと何かが落ちる。

今となっては細くなってしまった自分の親指と同じ大きさのフォレストワームだ。

白くうねうねと体を縮めたり伸ばしたりしている姿は思わず身震いをしてしまうほどだった。


「うん、これは絶対ムリ!!!!!!!!!!!!!」

その気持ち悪さについ叫んでしまうのであった。






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