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「128話 船旅 」

レオがアシッドドラゴンスライムの核のような物を壊した後、私達は安全を確認してレオの元へと駆けて行った。


「おいレオ~~!!やるじゃねぇか!!!」

レオの活躍にテンションが上がったフレアが後先考えずに肩を組んで頭をぐりぐり撫でる。

これ後で我に返って照れるんだろうなぁ。


「レ~~~~オ~~~~~~~~~~!」

と思ったら遅れて走ってきたカナちゃんがフレアをドーンと押しのけて魔法欲の塊丸出しでレオの肩を掴んだ。


「あの緑の炎は何です!?ホワイトファイアのようでしたが、最後に爆発していましたし性質も少し違いました。あれは私やトル君のバースト<爆発>に似ていましたがただの爆発ではなく魔法の効果を広げるような感じがしました。もしや魔法に対しての補助魔法?ありえますね、補助魔法は人間の体にあるマナに作用して結果的に肉体が強化されたりマナの制御効率が上がりますから。であればレオの補助魔法はマナの塊である魔法そのものに干渉できるでしょう。これは凄いことですよ!」

「ちょ、カナっち...オレなんも言ってないけど.....。ぐるじい...。」

全部自己完結しちゃってんじゃん、よくそこまでポンポン思いつくなぁ。


「あはは...いつもこうなんですか?」

「自分の知らない魔法が出るとこうですね....。」

「魔法オタクだからねぇ....。」

ニカはこのモードのカナちゃん初めて見るから驚くのも無理はないよね。

最近あんまりこの光景を見なかったのは、魔法の知識が豊富になってきたからなのかなぁ。

それなのにこのテンションになるってことは、レオは凄い魔法を使ったってことなんだろうか。

私には緑色の花火が綺麗だなーとしか思わなかったけど。


アシッドドラゴンスライムの核のかけらを回収して、港に向かって旅を再開した。


「ま、まぁ初戦は圧勝だな!案外大したことないんじゃねぇか~?」

あ、フレア顔赤い。

さっきノリでレオの肩組んだこと思い出して照れてるっぽいなぁ。

そんでレオもそれに気が付いてちょっと照れてるし、やっぱり押せば行けそうじゃない?

そういえばカナちゃんとトルペタ君はどっちから告白したんだろ?


「フレア、慢心はよくありませんよ。もしやむを得ず相性の悪い敵と戦うことになったらどうしますか?例えば.....。そうですね、ミウちゃん位早く空を飛ぶ敵とか。」

「そ、そりゃ...こっち来るまで待って殴る!」

「だめだこりゃ。」「馬鹿ですね...。」

つい呆れて突っ込みを入れちゃう私とカナちゃん。


「フレアさんには遠距離攻撃とかありませんしね....。」

トルペタ君はフォローになってないフォローをする。

確かに、フレアって訓練でも近距離攻撃しかしてなかったなぁ。

それ言ったら私も中距離程度の攻撃しかないけども....。


「ま、何とかなるっしょ~。....てか港に着いたら船に乗るじゃん?」

頭の後ろで腕を組んで気怠そうに歩きながらレオが当たり前のことを聞いてくる。


「?そうだね、どうかした?」

「や、船操縦する人とかいるわけ?オレらの誰かが操縦すんの~?」

「...。」

ディーナのことを思い出してつい暗い気持ちになってうつむいてしまう。

考えないようにしてたけど、ディーナと旅した唯一の思い出なんだからしょうがない。


急に黙りこんだ私を見つめる視線をレオから感じる。

ここであんまり空気壊すようなことはしたくない、したくないけど...。


「私に任せてください、船の操縦なら一人で旅していた時に覚えましたから!王達にも伝えてあるので、私が操縦できる船を用意してくれてるはずです!」

明らかに様子がおかしいことに気が付いたのか、ニカが肩をポン、と優しく叩いて私の代わりにレオと会話してくれた。

ニカにはディーナの話をしたことがある。

その時親身になって話を聞いてくれた。

そしてこのフォロー。かっこいいなぁ...。


「船の操縦までできるですか....ルクニカは逆に何ができないんです...?」

「....ルクニカは酒癖がわりぃよな。あと根が真面目で馬鹿だぜ。コイツが前ミウシアと話す時だけ喋り方変えてた理由知ってっか?」

「フレアあああああ!そ、それは!それはだめ!!!だめだから!!!!」

「え?ルクニカさんのあの喋り方って理由があったんですか?」


明らかに皆が私に気を使って普段以上に明るい話を振ってくれて、自然と笑えてくる。

皆といると楽しい、暗い気持ちになっても乗り越えられる。

一緒に旅ができて良かったと本当に心から思う。

ありがとう皆。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:ルクニカ

無事に港に着いて、兵士が整備してくれた船に乗り込みました。

操縦方法も問題が無さそうで安心しました。

いざ、暗黒大陸に向けて出発です。


.....途中レオさんの発言にはひやひやしましたが、私の恥ずかしい秘密を代償にミウちゃんも笑顔を取り戻してくれました。

ミウちゃんが元気になるのなら、これくらいは....これくらい....恥ずかしい....。


皆にやにやしてきますし、ミウちゃんは「ニカは可愛いなぁ~。」って天然でいじめてきます。


うぅ....恨むべきはフレア...違う話題でもいいのになぜあの話題を選んだんですか....。

今度絶対仕返ししますからね...!


出航してから皆が船室に入っていく中、ミウちゃんだけが残って私の方まで様子を身に来てくれました。

ああ、優しくてかわいい私のこいび...恋人と言い切っていいんでしょうか?

お付き合いを約束したわけでもないですし、もしかして本で見た事がある...いわゆるそういう関係ですか!?

いやいや、ミウちゃんに限ってそんなことはないです。....でも街中で綺麗な女性を見かけると目で追ってたような....。


「ニカ~。船の調子どう?...って、どしたの?難しい顔しちゃって。」

「あああ、いやなんでもナイデス!」

「カタコトになってるけど....。まあいいや。...ねぇねぇ、私にも船の操縦教えてよ!」

少年のように目をキラキラ輝かせるミウちゃんを見て高鳴っていた鼓動が落ち着く。


「ふふ、良いですよ、まずはこうして....。」

「おーい、部屋割りについて決めておこうぜ~。」

フレア!!!空気読んでください!!

声がしたほうをキッと睨むと皆がそろって甲板に出てきていて、私の殺気にアルカナさんとトルペタさんとレオさんがビクッと一瞬たじろぎました。

私としたことが、フレアだけかと思って皆さんに殺気を飛ばしてしまうなんて気を抜きすぎですね...。


「ミウちゃん、後でまた教えてあげますね。....部屋割りですか?そういえば船室はどのようになっていたのでしょう?」

「2人ほど寝れる部屋が3室あったです。」

「アルカナとトルペタは同じ部屋でいいよなぁ~?」

フレアが全力でからかうとアルカナさんは無言でフレアの腹部に鋭い突きを入れました。

油断していたのか、腹筋を固めていなかったフレアが藻掻いています。いい気味ですね。


「ふ、フレアさん...やめてくださいよ....。普通に男性と女性で2人ずつわかれればいいじゃないですか。」

トルペタさんも照れてますね、ふふ、微笑ましいです。


「つまりニカニカとミウシアちゃんの愛の巣が出来上がる、と...。それはそれで....。オレ二人の部屋の隣の部屋でヨロ~!!」

「男女で分けてもそういう問題が発生するですね....レオとトル君、私とミウ、フレアとルクニカで別れるです。」

「~~~~~っ!....はい。」

ミウちゃん、残念そうにしてるけど、私と同じ部屋が良かったのでしょうか。

本当に可愛いですねミウちゃんは、でも今回はアルカナさんの提案に乗るしかないでしょう。


「旅が終わったら、たくさん一緒にいましょう?」

「....うん。」

近くにいるミウちゃんにだけ聞こえる声で囁いたんですが、なぜかさらに暗い顔をしてしまいました。

旅が終わったら二人で船の旅も面白そうですね、ふふ、先のことを考えると魔族のことなんて忘れそうになりますね。

それにしても、ディレヴォイズ。前世の私を殺したあの魔物。私を騙して闇討ちしたくらいですから、誇りとは無縁の存在と思っていましたが、この数千年で変わったのでしょうか....?


「まぁそれが無難だなー。よし、レオ、トルペタ、アルカナ。さけでも飲もうぜ~。」

「道中何があるかわかりませんのでお酒はだめです!とりあえず部屋で体を休めるです。....お邪魔ものはさっさときえるです~。」

「じゃ、トルペタ!レオ!飲むぞ!あたしの部屋に来い!」

「お、お手柔らかに~。」

「では、ミウシアさん、ルクニカさん、ごゆっくり....。フレアさん!俺は飲みませんからね!」

気を聞かせてくれたのでしょうか、4人は部屋割りを決めるとそそくさと船室へと向かってしまいました。


「じゃあ、教えますね。まずこの球にマナを...。」

魔族のことはひとまず置いておいて、とりあえず今はこのひと時を楽しみましょう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:アルカナ

船の上というのはどうも落ち着かないです。

こうしてベッドの上で寝っ転がっているだけで目的地に着くんだから、操縦をしているルクニカに感謝しなきゃですね。

それにしてもあの二人は緊張感というものが無さすぎです。

海の上でも陸でもいちゃいちゃと、私だってトル君ともっと一緒にいたいです...。


「はぁ....。」

それにしても、この旅は無事に終わるんでしょうか、私達確かに強くなったですが、魔族の王であるディレなんちゃらに勝てる気がしないんですが....。

それも1対1でですよ?無茶です。

杖が、マナが無ければゴブリンさえ倒せないただの人間に、魔族の王であり竜の王でもある最強の魔物を相手しろだなんて、王もアホばっかです...。


そんな愚痴を脳内で繰り広げていた時、突如船が大きく揺れて私の体をベッドから追い出しました。


「いっ....もう!なんです!?」

落ちた衝撃でずきずきと痛むおしりをさすりながら、揺れた原因はミウが面白半分で船を操縦したとかでしょう。

ミウはあれで子供っぽいところがあるですからね。まったく、ゆっくり休むことすらできないじゃないですか。


一言文句を言ってやろうと船室をでて甲板に上がると、そこには予想外の光景が広がっていたです。


「.....何ですかこれ...。」

海から生えた人間より大きな頭、テカテカと光を反射している肌、狂暴な歯。

それはどこからどう見ても竜種、それも海に住むタイプ。


「ちょ、ちょっと、カナちゃん!アイツ!何とかできる!?私たちじゃこっちから攻撃する手段がないんだ!」

「人の子たちよ。ディレヴォイズ様に、いえ、全ての竜種を愚弄する愚かな人の子よ。私が葬って差し上げましょう。契約通り、一人ずつおいでなさい。」

喋り方がすっごい偉そうですね。

確かにルクニカもミウも、相性が悪そうな相手です。

フレアたちはどうやら、忠告を無視してお酒を飲んで潰れているようですね、後できつくお仕置きするです。


「わかりました。私がお相手するです。戦う場所は....。」

船の上では攻撃が来た時に船が傷ついてしまいますね、それなら海上で戦った方がよさそうです。

それに、凍らせてしまえば波なんてありませんから船の揺れを感じることはなさそうですね。


「<氷地>アイシクル・グラウンド!!...っと。ここでいいです。」

船の半径3mほど海の表面を凍らせて船から飛び降りた私は、杖を構えて竜種に向き直りました。


「フィリアウス・アスレーウストリア、テンペスト・サーペントという種族です。人の子よ、せいぜいあがいて見せなさい。」

「アルカナ・マジック、魔創士です。」

お互いが名乗りを上げたところで、フィリアウスが頭を海の中へと引っ込めました。

海中からの攻撃で一気に決めようとしているですね。

狙いは真下からの直接攻撃でしょうか。


水属性のマナを体内に取り込み、スピリット・ソウルを発動。

足の下にある氷のさらに下、フィリアウスがくるであろう水中に座標を合わせて魔法陣を展開。

属性は火と闇、火属性で水を急速に冷やしながら、闇属性で凍るのを停滞させる。

フィリアウスの攻撃がいつ来るかわからない以上、詠唱は短縮せざるを得ませんね。


「<氷塊牢>アイシクル・バインド!!」

杖をコォーンと氷に叩きつけて、氷の下の広範囲の水に魔法をかけるです。

後はフィリアウスが魔法をかけた水に触れて、勝手に氷の塊になるだけですね。


地上で丸ごと氷の塊で閉じ込めるよりもはるかにマナ効率が良くてとても使い勝手がいいです。


「<多水球>マルチプル・ウォーターボール!」

万が一、突破されたとしてもこのとっておきで決まりですね。


「.....来ませんね。」

フィリアウスが海に潜ってから数分が立とうとしていますが、一向に襲い掛狩ってくる気配がありません。

真下と思っていましたが、外れです?


そう思った矢先、突如黒い雲が上空に発生し、大雨が降りだしました。


「なんてタイミングの悪い....。」

私は微量の水属性のマナで自身の体を覆い、雨を誘導して体が濡れないようにしたです...けど。

いくら何でもおかしいです、タイミングが悪すぎます。

まさかフィリアウスの仕業?でも天候を操るなんてそれは竜種というよりは神に近い存在に....。

....そういえばフィリアウスは種族をテンペスト・サーペントと言っていましたね、


テンペスト・サーペント、嵐を起こす海竜...。

嵐を起こすと言えば有名な英雄譚の主人公たちが海で戦った敵の中に嵐を使いこなす魔物がいたような....。

確か名前は....。


「リヴァイアサン...?」

あれは作り話、空想上の生き物です。

でも、もし元となった生き物がいるとするならば.....。


「はぁ....。倒せるんですかねこれ....。」

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