表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/163

「125話 速さ特化VS防御特化と可哀そうなレオ 」

「くそ~最初から突っ込んでれば....。」

「そしたら至近距離で目くらましですね!」

「ぐぬぬぬぬぬ」

戦いを終えたフレアとトルペタ君と入れ替わるように、私とニカが前に出た。


え~、本当にやるの?

硬いし光属性だし、闇/水のソウル・スピリットはしない方がいいかなぁ。

そんなことを考えながらトボトボ開始位置について前を見ると、そこには全身ガッチガチに装備を固めたニカがニコニコ笑っている。


「ニカ、なんでそんな笑ってるの?」

「だって、前手合わせした時からだいぶたつじゃないですか!どれくらい強くなったかな~って思うだけでもう楽しみで....!」

にへ~っとだらしなく笑うニカを見て思った。ニカもやっぱり戦闘狂だと....。


「では始めるです!」

カナちゃんの開始の合図と共に光/火のダブル・ソウル・スピリットを発動させる。

ニカもソウル・スピリットを発動させたようで、髪の毛は金から白へ、体全体が淡く発光して周囲を明るく照らしていた。


盾をまっすぐに、剣を後ろに構える防御に特化した姿勢で私の攻撃を待つニカ。

攻めてこないなら準備に時間をさける。


二つの短刀の柄を合わせて光のマナで繋げ、火のマナで光を覆う。

最後に両端を刃上にマナを固形化して光と火でできた槍の完成。

シャドウオーガにも使ったこの技は、即興で思いついた殺傷能力の高いスキルだ。


名付けるなら...何だろう。

カナちゃんに任せよ。


「はぁっ!」

槍投げの要領でニカに当たらないギリギリの所に向かって投擲、その後槍よりも早くニカの後ろ側へと走る。


「ッ!」

向かってくる槍を盾で弾こうと構えるも、当たらないギリギリでニカを通り過ぎる。

と、同時に高速移動で槍に追い付いた私は飛んでいる槍を掴んでそのままノーガードになった鎧のつなぎ目、左脇腹へ振り払った....はずだった。


ニカの鎧に当たる前に六角形の鱗のような障壁に当たり、ガキィン!!と大きな音をたてて槍が反発するように大きく弾かれた。

大きくのけぞった私にニカの大きな盾が襲い掛かる。


「いっ....!」

咄嗟のことで避けきることができず、腕を交差させて体へのダメージを軽減するも、体制を崩したところで受けてしまったため、そのままお尻から地面に倒れこんだ。


「このまま決めさせてもらいます!え、えと、ボルトスティング!!」

雷を纏わせた剣はニカと同様周囲を明るく照らしていた。

ニカはバチバチと音を立てた剣を構えて鋭い突きを繰り出した。


私はその攻撃を、地面に手を突いたまま短刀を繋げて作った槍を剣の側面に当てて軌道を変えた。

雷属性のマナ同士の衝突によりまるでゲームのエフェクトのような雷がバチィ!という音と共に発生した。

剣を弾いて見えた脇腹を槍で突こうとするも、すぐに盾で塞がれてしまう。


このまま攻めても無駄だと思い、一旦距離を開けるために後ろに下がった。


「はぁ、はぁ...障壁が、あるなら、盾必要なの?」

何なら障壁で防がれた方が反動があって隙ができちゃう。

全方位高硬度防御とか強すぎない?


「ふふ、この障壁も維持が疲れちゃうんですよ。有限ではありませんので。」

ずっと攻撃してればいつかは破れるのかな....?

でも暗黒大陸丸々覆うような結界を数カ月使ってたくらいだし...。


「...ちなみに私がこのペースで攻撃して壊れる可能性は...?」

「そうですね....ミウちゃんの攻撃だけに集中するなら、ざっと2年くらいでしょうか?」

チートや!!

どうしろって言うのさそんなの!!!


手数で押してみようと思ったけど、これじゃあ無理そうだなぁ。

攻撃で何とかするよりも行動不能に持ち込む方がいいのかな、レオとかなら状態異常系の魔法で何とかなりそうな気もするんだけど...。

状態異常...よし。


槍に纏わせていたマナを体内へ吸収し、元の短刀へと戻す。

そして光と火属性のマナの維持を止め、属性を闇/水へと切り替えた。


「ふふ、やっぱり黒髪のミウちゃんも、水色の髪のミウちゃんも可愛いですね。」

「あ、ありがと...。じゃなくて!余裕ぶってるの後悔させてあげるから!!」

くそ~~不意打ちで照れる。絶対に余裕なんてなくしてやる!


水属性のソウル・スピリットはマナ操作の精度が上がって、魔法が強化される。

杖じゃなくて短刀だから大きな魔法はできないにしても、下級魔法が強化されてるハズ。

それに、もしかしたら障壁で防げるのは物理だけかもしれない。


「<水生成>ウォータークリエイト!」

手の上にバケツ2杯分の水が出現、それをマナ操作で手の上に固定して....。

一気に回り込む!


手の上に大きな水の球を出したまま、ニカとの距離を一気に詰めた。

盾を私の方に向け直すのを見てから一気に最高速度でニカの後方に回り込む。


「<沸騰>ボイリングウォーター!」

江戸っ子おじいちゃんの入るお風呂の湯くらいをイメージして沸騰させない程度に水の球を暖めて....。

無防備なニカの背中にばしゃっとな!


「ひゃああああ!!!熱いです熱いです!!!!」

少しばかり冷え込む外で、温度差の高い熱いお湯を浴びたニカは剣も盾も捨てて転がりまわる。

可哀そうだけど、勝負だから....。

それにこのお湯は冷めにくい。というか冷めない。

だって今も尚<沸騰>ボイリングウォーターに必要なマナを注ぎ続けてるから効果が継続中なのだ。


「降参したら冷たくしてあげるけど、どうする?」

「わっわわわわかりましたから!!!早く!早く冷やしてください!!!お願いしますううううううう!」


「あんな勝ち方でいいのか....?でも正攻法じゃあルクニカを負かせないしなぁ...。」

「仲間にも容赦ないミウシアちゃんパネェ....。」

「俺も久しぶりに熱いお風呂に入りたいなぁ...。」

「トル君、その感想は的外れです...。」

外野からの冷ややかな視線を感じながら、私は<沸騰>ボイリングウォーターの効果を切って<冷房>クールボディの魔法をかけてあげたのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:アルカナ

「もう、ミウちゃんのバカ。」

「ニカ~~ごめんね~~~!ニカが防御力高すぎるんだよ~~!」

なぁにをイチャイチャしてやがるですかね。

これで隠せてるつもりなんだから笑っちゃうです。

恋は盲目なんですね....いやいやいや、朝のことはもう忘れるです。何も言ってないし誰も何も聞いてない。です。


「じゃ、最後はオレとカナっち?」

「ですね。」


流れ的にそうなりますよね。

昨日あんな体験をしておいて昨日の今日でこんな事になるとは思いませんでしたが...。

今でもあの時のことを考えると体が震えてきます。

こうやって普通にしていられるのも皆のお陰です、特にトル君...。

ああああ!恥ずかしくなってきたので考えるのを止めましょう!今はレオに集中するです。


「もういい?カナっち、なんか考え事でもしてた?表情がコロコロ変わってたよ。」

「い、いいいいいつでもこいです!!....本気で行きますよ?」


「よし、じゃあ開始!」

フレアの合図と共にアクア・スピリットを発動させて、素早くレオの目の前に魔法陣を展開しました。


「あぶねっ」

流石に目の前に魔法陣が出てきたら警戒しますよね。でもこういう時のための対策もすでに習得済みです。

杖を軽く振って、魔法陣をレオが後ろに下がっただけ横にずらすです。


「うっそ、フュー、フォリア!」

「遅いです!氷の牢獄よ!<氷牢獄>アイスプリズン!」

レオの背中に緑色の光が現れ、その場から飛び上がろうとするも私の魔法が先に発動したです。

水と火の複合属性、氷でできた檻で相手を封じ込める殺傷力の無い魔法ですね。


突如氷の檻に閉じ込められたレオはその推進力のまま檻に頭をぶつけたです。


「ったああ!!!」

檻に頭をぶつけたレオはそのまま檻ごとガシャン!!!と大きな音を立てて地面に落ちてきたです。

しかも落下の衝撃で体を強く打ち付けてますね。


「あぁ~~~...。」

檻の中からレオのうめき声が聞こえて、ミウが心配そうに近づいていきました。

もう終わりです...?


「れ、れお~?おーい.....だめだこりゃ。カナちゃんの勝ち!」

檻の中を覗いてレオに声をかけても返事が無かったようで、私の勝ちになりました。


一個しか魔法使ってないんですけど...とっておきも見せたかったです....。


その後、倒れたレオをフレアがおぶって解散となりました。

これからこういう訓練が続くんですね、状況が違えば今回の勝敗は変わっていたかもですが、今回は速攻あるのみでしたね。


皆との訓練が楽しみです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

SIDE:ミウシア

「ふあ~~~。よく寝た....よく寝すぎたぁ。」

ほんのりとまだ木の匂いがする自分の部屋で目が覚める。


まだ眠い目をこすりながらアイテムボックスからもはや普段着と化した和服を出して着替えを始めた。

ちなみに、寝るときは王都で買ったふわもこの女子力が高い特注のパジャマ。

これで寝ると全然違うんだよね~


着替えながら昨日のことを思い出した。

昨日はニカに悪いことしちゃったかなぁ、がちがちに着込んだ鎧に冷めない熱湯かけるとかいじめだよね。

でも相手を殺さずに勝利するには派手な技なんて案外いらないもんだよね。


カナちゃんだってレオの行動を利用して自滅させてたし....フレアとトルペタ君はちょっと白熱しすぎてたけどね。


ちゃんとルール決めたほうがよさそうだよね、刃物を持ってる人はみねうちとか、魔法使う人は尖ったものは出さないとか。

仲間内で大けがとかシャレにならないしね~。レオが直してくれるのかな?でもどの範囲までなら直せるんだろ。


着替え終わった私はくるっとその場で回って着崩れないか確認をした。

この磁石で帯固定みたいな技術本当にすごいなぁ、戦闘時も全然ずれないし。


部屋を出てリビングに向かうとニカ含めてもう皆揃ってて、装備の手入れをしていたり、ご飯を食べたり、筋トレしたりしてた。

筋トレしてたのはまさかのレオ、どうやら昨日のことでフレアに筋肉量を増やせと指摘されたそうな。


半泣きで震えながら腹筋をしているレオと対象的に、ニコニコ笑顔でレオの足を抑えるフレア。


私が起きてくるのを皆待っててくれたみたい。ようやくフレアから解放されたレオにもっと早く起きてきてよ~~~って泣きつかれたけど、一体いつからやってたの....?



皆でそろって王城に行って今後の説明を受ける。


王直筆の手紙を託されたニムゲとトゥリプスは竜人化を解いて竜種として王城を飛び立っていった。

これ王都の人滅茶苦茶驚かない?と思ったら人間の仲間になった竜種として国中に広めてたそうな。

仕事が早い。


王達のバックアップを全力で受けて私達はこの一カ月猛特訓をすることになった。

王城の訓練所を貸し切って私達専用にしてくれるって。

王都に住む回復魔法の使い手を総動員で集めてくれて、レオほどじゃないにしても怪我がすぐ直る環境を用意してくれた。


明日から頑張らなくちゃ....!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ